愛知県岡崎市の無料低額宿泊所の元入所者3人が9日、運営業者を相手取り、生活保護費の7~8割を居室料や運営費名目などで徴収されたのは暴利行為に当たるとして、総額680万円の損害賠償を求め、名古屋地裁岡崎支部に提訴した。
3人は41~59歳の男性で、入所期間は2~6カ月。訴えによると、3人は路上生活を送るなどしていたが、入所後は生活保護費を月約11万円受給し、うち7~8割を業者に徴収された。内訳は▽3畳半の居室料3万7000円▽朝夕2回の食費2万7000円▽施設運営費1万5000円▽管理費5000円▽水道光熱費5000円--などだった。
居室料は近隣の家賃相場より高く、食事も粗末だったとし「生活保護受給者の窮迫状態に乗じた不公正な取引。高額な費用を設定し、サービスの実態に見合わない対価を徴収した暴利行為で、契約は公序良俗に反して無効」と指摘している。
原告の一人、増田義男さん(59)は「生活保護費の大半を徴収されると、最低限の生活ができないことを訴えたい」と話した。一方、運営する岡崎市の人材派遣業「杉浦工業」は「違法なことはしていない。負担は大きくボランティアの気持ちで引き受けている。民間に任せるのではなく、国や市でやってほしい」とコメントした。
無料低額宿泊所の「貧困ビジネス」をめぐっては8日にも、入所者が千葉市の業者に生活保護費の一部返還などを求める訴えを千葉地裁で起こしている。【中村宰和、佐野裕】
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