群馬県長野原町の八ッ場(やんば)ダムを巡って、建設中止を表明した前原国土交通相と、水没予定地の住民らとの初の意見交換会が24日、地元・長野原町で開かれる。

 ダムの完成を前提に今後の生活設計を描いてきた住民たち。その前提が崩れた今、彼らは国交相に何を訴えるのか。

 ダム水没予定地の「川原湯温泉街」では20日朝、400年前から続くと言われる「湯かけ祭り」が開かれた。ダム問題に注目が集まったためか、例年よりも多い数百人の観光客を前に、川原湯温泉旅館組合長の豊田明美さん(44)は「この先、温泉街はどうなるのか」と複雑な思いをかみしめていた。

 「ダムに沈む幻の温泉」。温泉街で営業を続ける7軒の旅館は、今までダムの建設を売り物にPRをしていた。そして完成後は、代替地に移って「ダム湖を望む温泉」として温泉街を再生させる計画だった。

 ところが昨年11月、民主党群馬県連の国会議員7人が「地元の意見を集約した結果」として、前原国交相に「温泉街は現在地での営業継続を前提にすべき」という提言を提出し、豊田さんたちを驚かせた。7人の民主党議員とは会ったこともなく、温泉街が、ダム湖を核にした再生をあきらめたという事実もなかった。

 「大臣に直接会って、何が真実なのかを伝えたい」

 豊田さんはそう訴える。

 水没予定地では、巨大な十字架のように見える光景で有名になった「湖面2号橋」の建設が進む。そこから吾妻川を約2キロほど下った地点では、川の両岸に分かれた代替地を結ぶ「湖面1号橋」の工事が進む。

 川原湯温泉の対岸の川原畑地区に住む農業中島寛さん(62)は、自宅が1号橋の建設予定地にかかるため約200メートル離れた代替地に新しい家を建てている。

 最寄りのJR川原湯温泉駅は、今の自宅から徒歩15分。駅は川の対岸に移転する予定で、1号橋がなければ新たな家からは急な坂道を歩いて40分近くかかる。集落は20世帯足らずで、1号橋がないと火事や災害の時、すぐには対岸からの応援も来ない。

 しかし、民主党群馬県連は「ダム湖ができなければ不要」として、1号橋の建設凍結を国に要請。前原国交相も昨年12月の記者会見で「できる事業とできない事業はある」と語るなど建設されるかどうかは不透明になっている。「橋がなければ私たちの代替地は孤立してしまう」。中島さんは危機感を募らせている。

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