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イギリス

イギリス

正式名称   グレートブリテンおよび北アイルランド連合王国

略  称   イギリス(UK)

首  都   ロンドン

人  口   5950万人 (1999)

G D P   2兆1259億ドル (世界第6位 (2004))

通  貨   UKポンド (1UKポンド=203円 (2006.01))

政治体制   立憲君主制

議  会   議院内閣制,二院制 (上院=貴族院,下院=庶民院)

国家元首   エリザベス二世女王 (1952.02~)

首  相   トニー・ブレア (1997.05~)

外  相   ジャック・ストロー

与  党   労働党 (左派)

野  党   保守党(右派),自由民主党

主要都市   1.ロンドン (728.5万人) 2.バーミンガム (101.8万人) 3.リーズ (72.5万人)
(Top5)
         4.グラスゴー (61.1万人) 5.シェフィールド (52.9万人)

土地利用   農地 (76%),森林 (11%)

食料自給率    74% (2002)



【近代史】

 イギリスは1760年代~1830年代に世界で最初に第一次産業革命(石炭を用いた蒸気機関、軽工業中心)を起こした国で、一時は世界の覇権を手にした。
 しかし、第二次産業革命(石油・モーターの利用、重工業中心)においてはアメリカやドイツに遅れをとり、第一次・第二次世界大戦を通して世界経済の中心はアメリカへと移っていった。

 第二次世界大戦後は「社会民主主義(民主的で緩やかな社会主義)」を掲げる労働党政権の下で、政府主導の国内復興を進め、基幹産業の国有化と「ゆりかごから墓場まで」と言われる社会保障制度の確立を行った。
 しかし各地の植民地が独立したことや、国有化によって基幹産業が市場原理から取り残されたこと、社会保障を充実するための税が国内経済を冷え込ませたことなどにより、1960年代以降は「イギリス病」と言われる深刻な経済不況に陥いった。

 1979年に首相に就任した保守党のマーガレット・サッチャーは「新自由主義(小さな政府、規制緩和、市場原理の重視)」を掲げて電話・ガス・空港・航空会社などの民営化を断行した。
 この政策の結果、失業者数が300万人へと倍増した。
 1986年以降は徐々に失業者数は減少し、1990年代後半からの失業率は他のヨーロッパ諸国家より低い値で推移しているものの、この政策の成否は定かではない。

 現在イギリスの首相である労働党のトミー・ブレアは、社会民主主義と新自由主義の中道路線を行く「第三の道」を掲げ、増税を控えつつ教育・雇用政策に力を入れている。



【工業】

 イギリスでは北海油田の石油などを背景に化学・プラスティック産業が発展している。
 英語を公用語とするイギリスは、サッチャー以後の新自由主義政策の下で課税や規制が緩和されたため、多くの外国企業の誘致に成功している。
 政府は知識主導型経済を実現するために大学を中心とした産学連携の研究開発を推進しており、研究・開発力の高さを見込んでイギリスに研究・開発拠点を設ける外国企業が多い。
 特に自動車分野ではモータースポーツ発祥の地であるイギリスに大半の企業が研究・開発拠点を設けており、この分野に投資される研究・開発費の8割程度が外国企業によるものである。
 イギリスは欧州で最大の金融取引市場となっており、首都ロンドンのシティには世界各国からおよそ550もの銀行が進出している。
 これはパリの280、フランクフルトの250を大きく上回っている。


スコットランド工業地域 (地図

 スコットランド最大の都市であるグラスゴーを中心として、スコットランド炭田の石炭を背景に綿工業、造船業が発展した。
 エディンバラはスコットランドの首都が置かれ、出版印刷業が盛んである。
 近年スコットランドはシリコン・グレン(谷)と呼ばれるヨーロッパ有数の電子工業・先端工業地域となっている。


北東イングランド工業地域 (地図

 ノーザンバーランド炭田の石炭を背景にニューカッスルとミドルズブラを中心に発展した。
 特にミドルズブラにはフィンランドのエコフィスク油田からパイプラインが引かれ、また、スウェーデンから鉄鉱石が輸入されるため、石油関連産業および金属・機械工業が発展している。


ランカシャー工業地域 (地図

 ランカシャー炭田の石炭を背景に発展した地域で、マンチェスターは産業革命の発祥地である。
 ペニン山脈があるために湿潤な気候で紡績に適しているため、綿工業・機械工業が発展した。
 リヴァプールは原材料となる綿花などの荷揚げ港として発展し、現在は造船業が盛んである。


ヨークシャー工業地域 (地図

 ヨークシャー炭田を背景に発展した工業地域。
 ペニン山脈があるために降水量が少なく牧羊が盛んだったため、リーズを中心に毛織物工業が発展した。


ミッドランド工業地域 (地図

 バーミンガム鉄山とミッドランド炭田を背景に、製鉄工業が発展した。
 バーミンガムはかつてイギリスで最も製鉄工業が盛んだった。
 しかし近年は国内資源の枯渇により、製鉄工業の中心は臨海部に移ってきている。
 コベントリーは自動車工業が盛んである。


サウスウェールズ工業地域 (地図

 サウスウェールズ炭田の石炭を背景にして、カーディフを中心に製鉄・機械工業が発展した。
 カーディフはウェールズの首都である。
 近年ではカナダやオーストラリア、南アフリカから鉄鉱石を輸入している。


ロンドン工業地域 (地図

 首都ロンドンを中心に電子工業が発展し、知識集約型の総合産業地域を形成している。
 シティは欧州の金融取引の中心になっている。



【農業】

 かつてイギリスの農業はアメリカの安い農作物に押されて衰退し、一時期は食料自給率が40%台にまで落ち込んだ。
 しかし第二次世界大戦などで食料難が発生したため自給意識が高まり、また1973年にECに加盟してからは共通農業政策によって農作物が高値で取引されるようになったため、自給率は70%まで回復した。
 この過程で農業技術が発展し、経営は大規模化および専業化・集約化が進んだため、生産量が大きく増大した。
 現在ではイギリスは穀物輸出国となっており、休耕地を作って生産過剰を調整するまでになっている。
 一方、集約的な農業は土壌浸食などの環境破壊を引き起こし、牧歌的な風景を変化させてきており、新たな問題を引き起こしている。


スコットランド

 農家一戸当たりの土地面積が最大で、大規模な放牧地が広がっている。
 牧羊が中心だが、南部では酪農も盛んである。
 東部では大麦やアブラナの畑作も行われている。


ウェールズ

 牧草地が全体の60%程度を占め、ますます増加傾向にある。
 条件不利地だが、政府の補助金によって集約的な牧羊が行われている。
 北東部と南西部では酪農が盛んである。


イングランド

 東部では畑作が中心に行われており、収益率の高い小麦やアブラナが栽培されている。
 ヨークシャー地方などは穀物飼料を用いて養豚が行われている。
 一方、西部では酪農や牧畜が行われている。




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