秘密 THE TOP SECRET | <ムービーナビ> by映画コーディネーター・門倉カド

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消化不良は多分に残る。他人の記憶が語る、人間の闇。


2016年8月6日公開
監督:大友啓史
出演:生田斗真・岡田将生・吉川晃司 他


【賛否両論チェック】
賛:死者の記憶を辿る捜査を通して、人間が持つ心の闇の部分が露わになっていく様子に、思わず考えさせられる。
否:グロテスクなシーンがかなり多いので、苦手な人には向かない。展開に消化不良感も結構残る。


ラブシーン・・・あり
グロシーン・・・かなりあり
アクションシーン・・・ほんの少しだけあり
怖シーン・・・雰囲気はかなり怖い



 死者の記憶を解析することで事件を解決に導く科学捜査を通して、人間の持つ闇と対峙するサスペンスです。主演は生田斗真さん。


 警察庁の若手捜査官・青木一行(岡田将生)。熱血漢の彼は、女子大生殺害事件の検死に立ち合いますが、自説を主張する青木に対し、所轄の刑事・眞鍋(大森南朋)は、あからさまに嫌悪感を露わにします。そんな青木は、科学警察研究所法医第九研究室・通称“第九”への配属を前に、最終試験を控えているのでした。


 「第九」では、殺人事件の被害者の脳を解析し、生前の記憶を映像化することで、犯人逮捕への活用する“MRI捜査”に取り組んでいました。しかしそれにはリスクも高く、実際に連続殺人犯の記憶を見た5人の捜査官のうち3人が自殺し、1人が精神錯乱に陥るという事態も起きていました。そんな第九は現在、記憶を見た唯一の現役捜査官である薪剛(生田斗真)が室長を務めているのでした。


 こうして迎えた青木の最終試験。その試験とは、先日死刑が執行された殺人犯・露口浩一(椎名桔平)の脳をスキャンすることでした。実はこの捜査は、今後第九が正式な機関に昇格するかどうかという重要な試金石にもなっていましたが、監察医の三好雪子(栗山千明)は、その大事な捜査を新人の青木に任せることを疑問に思います。そんな中、青木は薪の指示の下、3年前に自分の一家4人を惨殺した露口の記憶を辿り始めます。やがて事件当日の記憶を探り当てますが、そこに映っていたのは、被害者の1人で唯一遺体が見つかっていない娘・絹子(織田梨沙)が、母親をメッタ刺しにしている映像でした・・・。


 “死者の記憶を見る”という、一見非常に有益にも思える捜査を通して、次第にその精神を蝕まれていく捜査官達の姿や、その捜査を逆手にとって嘲笑うサイコパス達の様子に、人間の思考が持つ深い闇の部分を考えさせられるようです。


 反面、展開はやや難解で、最終的に
「・・・で、どういうこと?」
と思ってしまうような印象も拭えません(笑)。犯人達の動機や背景等、理解しがたい部分も多分に残るので、消化不良感もあります。また、スキャンのために脳を露出させるシーンがかなりグロテスクなほか、惨殺シーンやラブシーン、ホラー映画のように急に驚かせるシーンなんかもあるので、苦手な人は観ない方がイイと思います。


 それでも、ラストのシーンには希望が持てるというか、重くなった雰囲気に差し込む一縷の光のようで、ステキな終わり方です。


 科学の力がもたらす犯罪捜査の最前線を、是非体感してみて下さい。



【ワンチャン・ポイント】
※東亜優さん・・・本作では、冒頭で殺害された女子大生の遺体役で出演されています。最近の映画では、哲学者の奇妙な出逢いを描いた「森のカフェ」にも出演していらっしゃいます。


オススメジャンル&オススメ度・・・<ハラハラしたい>



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