ジヌよさらば ~かむろば村へ~ | <ムービーナビ> by映画コーディネーター・門倉カド

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気に入るかは観る人次第。シュールすぎる笑いの世界観。


2015年4月4日公開
監督:松尾スズキ
出演:松田龍平・阿部サダヲ・松たか子 他


【賛否両論チェック】
賛:小ネタが無数に散りばめられており、気に入れば抱腹絶倒間違いなし。「自分を捨てる」という生き方に対する、登場人物それぞれの人間性も垣間見える。
否:笑いのネタがかなりシュールなので、人によっては全く笑えない。ラブシーンも結構あり。


ラブシーン・・・あり
グロシーン・・・暴力シーン・虫のシーンなどあり
アクションシーン・・・ほんの少しだけあり
怖シーン・・・ヤクザのシーンは少し怖いかも


 

 過疎の村へやってきた、お金恐怖症の青年の姿を描きます。主演は松田龍平さん。


 病院も学校も警察も郵便局もない、東北地方の限界寸前集落・かむろば村。そんなかむろば村に、世話好きな村長・天野与三郎(阿部サダヲ)が運転するマイクロバスでやってきたのは、元銀行員の「タケ」こと高見武晴(松田龍平)でした。彼は若くして銀行を辞め、村のボロ屋を100万円で購入したのでした。
「とりあえず、携帯教えて。」
という与三郎に、タケは、
「捨てました。」
と答え、与三郎を呆れさせます。しかも彼は、電気も水道もガスも使わずに生活するとのこと。そんな彼に与三郎は、
「お前死ぬぞ!?」
と忠告するのでした。


 案の定、タケは初日の夜から東北の寒さに圧倒され、凍死寸前。心配でやってきた与三郎に囲炉裏を点けてもらい、タケはなんとか生き延びます。その後もタケは、何かにつけて与三郎の世話になりっぱなし。それでも一向にお金を使おうとしないタケに、与三郎とその妻・亜希子(松たか子)は、「彼が過去にお金で何かやらかしたのでは?」と勘ぐります。実はタケはかつて、銀行で融資の仕事を担当していましたが、お金で破産していく人々を目の当たりにしていくうちに、お金への恐怖心が増殖。お金を見ると失神してしまう“お金アレルギー”になってしまい、600万円以上の貯金があるにも関わらず、お金を一切使わずに生きていくために、かむろば村へやってきたのでした。そんな彼を、与三郎と亜希子は温かく見守り、“現物支給”を対価に自分達の切り盛りする小さなスーパーで働くよう取りはからってくれるのでした。


 ところがこのかむろば村、村人達は一癖も二癖もあるような人ばかり。中でも時々不思議な力を発揮する“村の神”こと中西(西田敏行)は、時折タケの下を訪れては、色々と教訓めいたことを教えてくれるのでした。そんなある日、タケの家に突然、高校生の青葉(二階堂ふみ)がやってきます。
「あなたがカッコイイから。」
と家に上がり込み、2人はいきなりイイ雰囲気に。しかしこれが、実はしょうもないヤクザ(荒川良々)による美人局だったからさあ大変。その後も、怪しげな黒づくめの男(松尾スズキ)の出現や村長選挙を巡る陰謀など、半ば意味不明なトラブルにタケは次々と巻き込まれていくのでしたが・・・。


 コメディですが、その世界観はかなり独特で、非常にシュールです。笑いのネタは無数に出てくるので、好みに合えば始終笑いの尽きない良質なコメディになりそうです。一方、ブラックなネタや下ネタも多いので、苦手な人には全く笑えず理解に苦しむお話になってしまいそうなところでもあります。その辺り、“笑いの好み”にかなり左右されそうな作品です。


 そんな中、お金を使わないことで逆に周りに迷惑ばかりかけながらも、その恩に報いるべく周りのために生きようと決意する主人公の姿が、なんだか非常に微笑ましくもあります。


 登場人物同様、一癖も二癖もある異色のコメディです。気になった方は、是非チェックしてみて下さい。



【ワンチャン・ポイント】
※阿部サダヲさんと松たか子さん・・・本作では、お金恐怖症の主人公を温かく見守る村長夫妻役。実は、この同じお2人が夫婦役で共演されている作品がもう1つありまして、それが「夢売るふたり」です。こちらでは一転、自分達の再出発の資金を稼ぐために、夫婦で結婚詐欺を繰り返すという悪い役どころ。ただ、どんな役柄でも不思議と絵になるお2人の姿は、とてもステキですね。


オススメジャンル&オススメ度・・・<笑いたい>


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