「チーム・バチスタの栄光」感想(TV) | 映画の迷宮

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「チーム・バチスタの栄光」感想(TV)

(09年03月02日 毎日放送)
(監督)中村義洋
(出演)竹内結子 阿部寛 吉川晃司 池内博之 玉山鉄二 井川遥 田口浩正 田中直樹 佐野史郎 平泉成 野際陽子 國村隼

面白度  :4点/10点
お勧め度:5点/10点


 今週末から続編「ジェネラル・ルージュの凱旋」が公開されるのに合わせてTBSで放送された「チーム・バチスタの栄光」を見ました。

ま、斜め見ですけどね(^_^;)

 この作品、昨年、海堂尊の原作を読んだ上で劇場版を観たのですが、ついついTVも観てしまいました。

面白度を4点としましたが、劇場版そのものは6点の面白度です。
今回はTV放送って事で細かくカットされているので、残念ながら点数を引かせてもらいました。
原作を読んでいずに、映画だけで観ればそこそこ楽しめるので、お勧め度は5点としました。

 ま、小説の映画化と言う意味では、原作の面白さの半分も出ていないと思います。
それでも、一本の映画として観るとそこそこ及第点の面白さだって事は、原作がいかに面白いか?って事の証でしょう。

正直、原作の方が映画よりも2倍・・・いや3倍は確実に面白いと思います。
映画で興味を持った方は、ぜひとも原作に挑戦して欲しいと思います。真犯人を知った上で読んでも面白いはずですから。

 原作と映画で大きく違うのは、キャラの描き込み方でしょうか。

もちろん、主人公の田口が原作の男性から映画では女性に変更されているだとか、原作では小太りの白鳥が長身で彫りの深い阿部寛になっているとかの変更は大きいでしょうが、それ以上に2時間の上映時間に収める為に、各キャラクターのエピソードを削りまくっている方が大きいと思います。

特に聞き取り調査の場面で、チーム・バチスタのメンバーがあれだけいるにも関わらず、白鳥が加わったあとの聞き取りが短かすぎて、クライマックスへの伏線として物足りなかったと思います。

あと、原作で白眉だったのが、真犯人が判明した後の真犯人による告白の場面だったのですが、映画は真犯人の意外性を重視していて、その後の告白の場面がバッサリと切られてあっさりしたものになっているのが残念でした。
あの、真犯人判明後の部分をバッサリと切り捨てただけで、原作の面白さの半分を捨てた・・・と言っても過言ではないですから。

原作の真犯人は、僕は「羊たちの沈黙」のレクター博士の語りに匹敵する魅力(魔力?)を感じたのですが、映画では全く感じませんでしたから(^_^;)

とは言え、小説と映画は別もの、別の作品だと考えれば、映画は竹内結子と阿部寛の掛け合いによるコミカルさを中心とした、あれはあれで完成度のそこそこ高いエンターテイメントだと言えるでしょう。
観たシーンなのに、白鳥の聞き取り開始後の大混乱は、TVを観ていて爆笑してしまいましたから(^◇^)

原作を絶賛する僕も、これはこれで、原作とは切り離して楽しむ事が出来ました。

 ドラマに関してはそこそこ満足しましたが、キャスティングに関しては、劇場版はけっこう不満があります。

先に書いたように、主役2人は「劇場版チーム・バチスタの栄光」の主役として観れば、原作とは切り離して非常に魅力があって満足なのですが、それ以外の肝心の「チーム・バチスタ」のメンバーが弱い気がします。

特にメインとなる桐生恭一を演じた吉川晃司は、僕的にはどう見ても凄腕の外科医には見えませんでした。
そして彼の演技も、喋りが棒読みのように感じてしまい、かなりミス・キャスト度が高く感じられました。

また、氷室を演じたココリコの田中直樹も、セカセカした印象が強くって、もうすこし落ち着いた俳優に演じて欲しかった気がします。

 さて、次に「劇場版」と「TV版」のキャスティングを比較します。

主役の田口&白鳥コンビで言いますと、劇場版が竹内結子&阿部寛、TV版が伊藤淳史&仲村トオルです。

個人的には、男性から女性に変更されているにも関わらず、僕は劇場版のキャスティングの方がハマりましたね(^_^;)

もともと、劇場版もTV版も、原作とはキャラのイメージが全く違っているのですから、最初っから映像版は「オリジナルのキャラだ」と思って観ています(^_^;)
そうすると、ピッタリとドラマにハマってくるのは劇場版の方なんですよね。

特に、TV版で田口を演じた伊藤淳史は、ちょっと若すぎて情に流されすぎる感じがしたもので。
TV版は、劇場版以上に原作のストーリーを(特に放送の後半で)大きく変更して長引かせたので、余計に違和感が強まったのかも知れません。

白鳥に関しては、TV版の仲村トオルのキャスティングってのは、意外に似合っていて好きでしたね(^^)
最近ではシリアスな演技しか見たことの無い仲村トオルが、メチャクチャ、コミカルな演技をしていましたから。

おそらくこれは、劇場版の阿部寛のイメージの流れかな?と思いました。
原作ではハンサムではないのですが、劇場版でハンサムにした事によって、TV版もスマートでハンサムな仲村トオルをキャスティングしたのかな?と・・・

チーム・バチスタのメンバーで言えば、TV版の桐生を演じた伊原剛志の方が劇場版の吉川晃司よりもマッチしていて、TV版の鳴海を演じた宮川大輔はミスキャストっぽかったかな?

あと、TV版の氷室を演じた城田優は抜群のキャスティングでしたね。
劇場版の田中があまりにも物足りなかったので、劇場版でも城田優に演じてもらいたかったほどです。

 余談ですが、現在僕は「ジェネラル・ルージュの凱旋」の原作を読んでいます。
ぜひとも原作を読んでから劇場版を観たいと思ったもので。

現在の所、予告編でイメージした劇場版の内容と、原作とは大きく違っている気がします。
明らかに「チーム・バチスタ」以上に、原作からストーリーが変更されているようです。

ま、これも原作とは「全くの別もの」として楽しむつもりですけどね(*^_^*)
特に、今回は堺雅人がキャスティングされているって事で、こりゃ、演技も見ものかな?と期待大です。