さっそく1話目投稿します。
でも、タイトルがしっくりこない
いつも、お題サイトを見てぱっと思い浮かんだ話を書くか、突然浮かんできた話を書いてから、タイトルを考えるか、なのですが、これは後者です。
ソウシとヒロインが恋中になる前の話。
アクアマリブで人魚にあった後、本編ではピース島にそのまま行きますが、その前に別の町に寄った、という妄想です。
妄想です。
大事なことなので2回言う(笑)
原作のイメージを壊されたくない方は、ご注意ください。
どこまで2次でいじっていいものか、よくわからないので
まだ完結はしていません。
強さと弱さ
ユエは、珍しく街角を一人で歩いていた。周りにはソウシはおろか、シリウスメンバーの姿がない。
その理由は、今日の昼のことである。
シリウス号は、良い天気と風に恵まれて、順調に大海原を航進していた。そして予定していた通り数日で、ピース島の近くにある町に着くことができた。目的は主に、ソウシの探す宝の情報収集である。大きな町なので、宝に近い場所と言うことで、アクアマリブとは別の話も聞けるかもしれないと踏んだからだ。
寄港してすぐに、まずは昼食をとることにした。話で聞いたとおり大きな町で、遅めの昼食に行ったにもかかわらず、酒場は人でにぎわっている。
リュウガたちが席に着き、やがて運ばれてきた料理を食べていると、横にいた男2人組が何やら楽しそうに話をしているのが聞こえてきた。通路を挟んですぐの距離のため、時折会話が耳に入るのだが、その中に、"宝"や"財宝"などの単語が混じっていたものだから、当然のごとくリュウガは興味を持つ。別段隠そうと小声になっていたわけでもなかったので、リュウガは身を乗り出して何の話かと普通に聞いてみることにした。
「おいおい、楽しそうな話だな。どこの財宝の話だ?」
「お、あんたらこの町にくるのは初めてか?」
隣で盗み聞きしたことに気を悪くするでもなく、男はリュウガの問いに答えてくれた。
男たちが言うには、宝はどうやらこの町にあるらしい。それもかなりの額で、見つけたら一生を遊んで暮らせるくらいの財宝だと言うことだ。
「お前ら、その宝のためにわざわざここに来たのか?」
その商人風の男に聞くと、
「いいや、まさか。俺は商人で年中いろんな町をまわってるんだが、もともとこの町の生まれなんだ。この話は俺が生まれる前からずっとあったんだが、俺が生まれた頃…40年くらい前にはだいぶ信じられて、町ぐるみで探したらしい。けど、結局見つからなかったんだよ。今も話は残っているが、もっぱら、子供の探検ごっこの理由に使われるくらいだよ」
そこまで言ってビールを飲み、一息つくと、
「…久々で思い出して懐かしいから、今どうなってるのかと気になって彼女に聞いて見たんだ。何にも変わってないようだ」
顎をしゃくり給仕の女をさして、男が締めくくった。
「へえ…、でもどこの誰が、そんなもん隠したっていうんだ?」
リュウガが不思議そうに聞くと、
「そりゃ、この町の大商人だ」
もう一人いた連れの男がきっぱりと言った。なぜか胸を張るようにしているのは、自分も商人だからかもしれない。
「そいつは、海難事故で死んだんだという話になっているが、」
ここで男は声をわざとらしく潜めて、顔を近づけると、
「真相は、領主に殺されたんだよ」
商人の話好きらしく、話し方がだいぶ芝居がかっている。しかし気がつくと、リュウガだけでなく他のシリウスの面々も話に聞き耳を立ていた。
「あんまり財産を溜め込んで、派手に使って見せびらかすもんだから、ここの領主が嫉妬したのさ。今の公爵家の先祖様の話だから、あまり大きな声じゃ言えないがな」
「んなこと言ったって、知らんやつはこの町にいないだろうが」
初めの男が茶々を入れると、
「そりゃそうだな、はっはっは。で、そいつには家族がいなかったもんだから、屋敷や残された財産は、国のものになった」
「そりゃ、殺されたって言いたくもなるな」
リュウガが納得したように言うと、
「だろう?でもな、その肝心の金が、押収した屋敷の中のどこにもなかったんだよ」
男が、さも気になるだろう、と言うように強調して言ってきかせる。一体どこからこんな話が漏れるのかと不思議だが、関係者がうっかり知り合いに話したが最後、この手のおいしい話は信じられないスピードで広がって行くのが常だ。もしくは、初めからデマか。こういった話は、見極めるのが難しい。
「なるほどな、まさか領主も、見つからねえからって派手に町中探しまわるわけにもいかねえしな」
「え、なんでっすか?そんな財宝があるんだったら、どんな手段でも探しだした方がいいじゃないですか」
ハヤテがなんでだよ、と口をはさむと、シンがあきれたように、
「馬鹿か、そんなことしたら金を取るために殺したと言うようなものだろう」
「あ、そっか…ってか、誰がバカだ!」
商人風の男たちは笑って二人のやり取りを見ていたが、やがてビールを飲み干すと席を立ち上がり、
「いかにもって話で、面白いだろ。アンタ方さがして見たらどうだ?」
じゃあ頑張れよ、と言い残し、出て行ってしまった。
「財宝か…」
誰ともなく、呟く。これがもし、極秘の情報であったなら、十分魅力的な話であった。
しかし町ぐるみで探してまで見つからなかったものを、いまさらちょっと探したところで見つかるとも思えない。しかも、ここまで広まってしまった話なら、たとえたどり着いてももう何も残っていないかもしれない。誰かが見つけて人知れず持ち出している可能性もあるのだ。どちらにせよ、望み薄だった。
シリウスの面々がそう考える中、意外なことに船長がこの話に乗った。
「よし、おまえら、宝探しをするぞ!」
「…本気ですか?」
シンが、訝しげに問い返す。相手が船長なので遠慮はしているのだろうが、あまり乗り気でないのが声音でわかる。
「いいじゃねえか、ソウシの宝の情報収集のついでだと思えば」
「まあ、そうですが…」
「何だよシン、見つける自信ねーのか?」
囃すようにいうハヤテに、だがシンは冷静に、
「自信がどうこう言う問題じゃない、今はここで時間を潰しているより、ドクターの宝を探すのを優先するのが筋だと思うだけだ」
「お前らは、どう思う?」
シンの言葉を聞いて、リュウガが見回すようにみんなに問うと、
「私は、反対しませんよ」
当のソウシが、まず返事をした。
「財宝を探している間に、目的の宝についての新しい話も聞けるかもしれませんし。…私の探しているものは、とにかく情報が少ない。、どんな些細なことでもいいんです」
「俺も、船長とドクターが決めたのなら、異論ありません」
そういうのは、ナギだ
「楽しそうでいいじゃん、絶対見つけてやるぜ!」
「僕も、ハヤテさんには負けませんよ」
ハヤテとトワは、完全に宝さがしに目がいってしまっている。
「まあ、ドクターもそういうのでしたら…」
シンも了承した。全員一致、と言うことで、数日は、どうやらこの町での宝探し兼情報収集になるようである。よし、私も頑張ろう、とユエが内心思っていると、
「ユエ、お前はどう思う?」
突然リュウガに名指しをされて、驚いた声を出した。
「え、私ですか!?」
「お前だって、シリウスの一員だろうが」
リュウガがおかしそうにいうが、ユエにしてみればみんなが賛成ならば自分はそれに従うのみだと思っていたので、自分の意見を促されたことは意外であった。と同時に、少しうれしくもある。ユエは一瞬何と言おうか考え、
「私も、賛成です。ソウシさんが言ったみたいに、他にもいろんな情報が集まったら役にも立ちますし」
「またソウシさんかよ、おまえいっつもソウシさんのいうことばかり聞くよな」
「ええ!?」
せっかく考えて意見を言ったのに、ハヤテから駄目出しがきた。
「どんだけソウシさんのこと好きなんだよ」
「え、だ、だって…」
今はそれ以外に理由はないと思うんだけど、と内心思いながら、少し顔が熱い気がするのは、“好き”と言う言葉に反応してのことだ。確かに自分はソウシに好意を持っているが、それはきっと同室で、一番長く一緒にいるからだと思う。肯定するのも恥ずかしいが、こんなにお世話になっているのに否定するのも失礼である気がする。何と言ったらいいものか言葉に詰まると、シンまでからかってきた。
「ドクターは誰にでも優しいからな。普段縁がないから、勘違いしたくもなるんだろう」
「なっ、いえ、そういうんじゃなくってですね…!」
「お前みたいなの、“金魚のフン”とかって言うんだろ」
ハヤテがおかしそうに言ったところで、ソウシの助け船が入った。
「こら、二人ともからかうのはよしなさい。ユエちゃんは女の子なんだし、まだ慣れないことも多いんだから。私や他のみんなが助けてあげるのは、当然のことだろう?」
「ドクターがこれだから、こいつも変わらないんです」
「シンの言うとおりだぜ、ソウシさんはユエに甘いんすよ!」
いつもならこれで話が終わるところだが、今回はソウシの言葉に二人とも引かなかった。いつも反発しあっている二人が、今日に限ってそろって同じことを言うのも珍しい。さらには、
「女、賛成したからには一人で探す覚悟があるんだな?」
シンに冷笑とも取れる声色で言われる。そして普段のユエからは考えられないことなのだが、このときはユエも珍しく言い返した。
「もちろんです、私だってシリウスの一員なんですから。それに、女って言う呼び方も止めてください!」
これには、ソウシも少なからず驚いて、
「ユエちゃん、二人の言うことは気にすることはないんだよ?」
いつもなら心が穏やかになるソウシの言葉が、今は悔しい気持ちにさせられるだけだ。
「いいえ、ソウシさん。私だって、いつもみんなのあとをついて行くだけじゃなくて、何かしたいです」
「はっはっは、いいじゃねえか!」
心配顔のソウシを遮るように、リュウガが声をあげた。
「だったらついでに、誰が一番先に宝を見つけられるか、競争だ。そうだな、早く見つけたやつには…」
「見つけたやつには?」
何か褒美でもあるのかと、ハヤテが、わくわくしたように繰り返す。その方が、張り合いがあると言うものだ。
「そうだなあ…おまえら、何が欲しい?」
「って、何もないんすか!」
拍子抜けしたように突っ込むと、
「じゃあ、あれだ。なんでもひとつ、わがままを聞いてやる、ってのでどうだ?」
いったい誰がどうわがままを聞いてやるのか、容量を得ない報酬だが、とりあえずそんなことはみんな意に介さないらしい。要は、勝負を楽しみたいだけなのだ。
「あまり時間はとれないからな。情報収集も含めて、4日ですませるぞ」
「絶対負けないからな!」
そうして、町での宝探しが始まった。
何か書くときは、”起承転結”を心がけています。
”転”が向け落ちた教会夢は、書くのは楽しかったけど、いまいちだし(どれもいまいちだけどね!)
今度はうまくいくと良いなぁ。