恋海 シン夢 「あともう一言」 1 | 夜の羊の本棚

夜の羊の本棚

ソーシャルゲーム”恋に落ちた海賊王” ”戦国LOVERS”の夢小説を書いています。

更新不定期。

小説らしい文章スタイルを目指しています。


とりあえず、区切りのいいところまで。
前編短いです(汗
何話続くかわかりませんが、たぶんあと1,2回の更新で終わります。








「あともう一言」



 色とりどりのきらびやかな衣装に、普段の自分なら絶対に施さない濃いめの化粧。それらを眺めながら、一体どうしてこんなことになったのだろうと、セラは頭を抱えたくなった。






始まりは、今日の朝のことだった。とある港に寄っていたシリウスだったが、シンとセラは良くあるように、宿泊した宿の一階の食堂で朝食を食べていた。いつでも朝の早いシンの生活スタイルは陸の上でも変わることなく、他のメンバーがまだ部屋にいる早朝に二人で朝食をとることも少なくない。特に船長などは、本人いわく仕事として娼館に行くことが多いので、朝はいない確率が多い。
セラがスープをすくって口へと運んでいると、少し離れたところからシン、と呼ぶ声がした。


「もしかして・・・・シン・・・・?」

二人が声の方を見てみると、長身の美しい女性がこちらを見て立っていた。少し離れていても、整った顔立ちが見てとれる。明るめの茶色の髪には軽くウェーブがかかり、ヒールを響かせてこちらに歩み寄ってくるしぐさすら絵になるようで、女であるセラもつい目を奪われてしまった。

その女性は二人のいるテーブルまで来ると立ち止り、改めてシンに話しかける。

「やっぱり、シンね。久しぶりじゃない、元気にしてた?」

「お前は・・・・レナか?」

シンが名前を覚えていたことに気をよくしてか、女はうれしそうに笑った。きれいな弧を描く、真っ赤な唇が艶めかしい。


「やっぱり、ちゃんと覚えててくれたのね。・・・・ねぇ、ここに来たってことは、今夜はうちに来るんでしょ、船長さんと?」

「たぶんな」

「ふふ、うれしい。じゃあ、私も今夜はあけておかないと」

一体誰なんだろう、とぼんやり思っていたセラだが、その言葉が何を意味するのか、鈍いセラにもわかってしまった。つまりこの女性とシンは、以前そういう関係があったのだ。

「悪いが、その必要はない。俺は飲んだらすぐ帰る」

「あら、そうなの?それは残念だわ」

シンが断ると、女は食い下がることなくあっさり引いた。言葉とは裏腹に、口調はさっぱりとしている。
そして今になってセラのことを見ると、

「そういえば、こちらは妹さん?」

と、本当に何でもないかのように質問してきた。
セラは当然ショックを受けるが、たいしてシンは相変わらず淡々と答える。

「いや、こいつは俺の女だ」

すると女は一瞬驚いた表情で、セラを見つめた。
まじまじと見られて居心地が悪いうえ、この後何を言われるのかと身構えるセラ。
こうして見られているだけでも、嫌でも自分とこの女性の差を比較してしまって、あまりの自分の幼さに落ち込んでくる。
こういったことは実は初めてではないのだが、こんな時いつも自分はシンにふさわしくないのではと感じてしまう。


「そういうことだったのね、それは邪魔したわ。私の仲間もきっとがっかりするでしょうけど・・・良かったわね」
何かとげとげと言われるのではないかと、そんなセラの心配に反して、女はどこまでもさっぱりとした性格をしていた。
最後の言葉をひっそりと言い残すと、コートをひるがえして颯爽と出て行ってしまった。


「おい、口をあけて何をぽかんとしている」

「え・・・・あ、いやその、これは!」

女性の後ろ姿に見とれていたのだが、シンの言葉でわれにかえる。

「間抜けそうな顔が、余計間抜けに見えるな」

「そ、そんな言い方しなくても・・・・」

いつもの言葉に、自分でも分かっているがやっぱり落ち込んでしまう。
けれど、先ほどシンが“自分の女だ”と言ってくれたことは、素直にうれしい。口ではこんなことを言うが、やっぱりシンさんに愛されてるのかな、と思うと、今度はうれしさがこみ上げてくる。

「・・・・おまえは、本当にわかりやすいな」

「え!?」

「それで、だ。今夜はそういうことになっているから、そのつもりでいろ」

「へ?」

「へ?じゃない、今夜は全員で行きつけの店に行くから、そのつもりでいろと言っている」

「あ、はい、わかりました」

「・・・・その店は、上客が付くことで有名な店だ。うまくいけば、重要な宝のありかの情報を得られるかもしれない。お前の働きに期待はしていないが、邪魔だけはするなよ」

「は、はい、わかりました!」

とにかく、邪魔だけはしないようにと心に刻み、シンの言葉に神妙にうなずく。

「とにかく、早く出かけるぞ。さっさと朝食をすませろ」
「あ、はい!」

見ると、いつの間にかシンはすべて食べ終えていた。対して自分の皿には、まだ3分の1ほど残っている。
いろいろな意味で、またシンさんに呆れられたかな、と思ったが、とりあえず早く朝食を終わらせようと、急いで食べ始める。
―――その反応一つ一つがひそかにシンを喜ばせていることには、セラは気付かない。
先ほども、わかりやすいな、と言ったシンの目に一瞬の優しさがこもったことも、セラが知る由もなかった。








タイトルは、恋したくなるお題配布様より拝借。

旧ソーシャルのシンルートヒロインは、天然な気がします。
たぶん、どこの港でもシンが大人気なので、いくら鈍くて経験がなくても、そういう相手だったんだとか、分かってしまうんじゃないかなぁ、と。
たぶん、私の書くシンさんは、キス止まりです。
今のイベントではすぐ押し倒すので、初めての前の葛藤中のシンを観察して、にやにやしたい今日この頃←