私がムッフカフェを開業したのは23歳の時です。

 

大学卒業後10ヶ月、お金もない経験もない資格もない自信もない、ないないないの私。。。


あるのは家族の協力と数人の仲間と、思い描くカフェの魅力的な香りと賑やかさのイメージだけ。

 

それが、16年鹿児島の繁華街天文館で営業し、去年実家を立て替えて武岡に移転してムッフカフェを続けています。

 

こんなに長くムッフカフェを続けられるとは夢にも思っていませんでした。

 

石にかじりついてでも3ヶ月、まずは1年、できたら3年、願わくば5年!!!先のことなど全く見えないまま、ただただ一生懸命ムッフカフェと共に生きてきました。

 

その間リウマチになり離婚し再婚し不妊治療し出産し、自分でも笑えるくらいのバタバタした人生です。

 



ムッフカフェは天文館での開業当初、「働く女性」をイメージしたお店つくりをしていました。

 

私自身も周りの友達も不況ながら働き始めた時期でもあり、鹿児島に天文館にムッフカフェのような便利で気軽で美味しくて居心地の良いカフェ(手前味噌ですが)が、自分たち女性に「必要」だと思ったのです。

 

ただそれから10年過ぎた頃から、私は幾つかの違和感を覚え始めました。

 

自分も含めて女性の20代、30代〜の人生は転機の連続。

 

その中で、ムッフカフェが誰に必要とされ誰に愛され誰と共にあるのか。

 

変わらないことの価値と、変わっていく時代と価値観、どちらにも共感できつつどちらかだけに軸足を置くことはできない。

 

そんな迷いと不安の中、天文館のムッフカフェが、この場所にこのメニューでこのスタイルでずっとあると思っていただいている?お客様の感覚と、先の見えない、いつまでムッフを続けられるのかわからない私自身の思いには、言葉にできないズレがありました。

 

そして私は、体外受精をし、数年前にやっと子どもを産み念願の母親になりました。

 

子ども育ててみて、天文館のムッフカフェを少し不便に感じていた感覚が、よりリアルにわかるようになってきました。


細い階段、2階の立地、駐車場もなく車からかなり歩かなければいけない、オムツ交換の場所がない。。などなど。

 

この不便さは、私だけのものではなく、きっと私より先にお母さんになったたくさんの女性の方が感じていただろうと思います。

 

そして、子どもを産んだことでより欲が深くなった私は、「もっとムッフカフェを続けたい」そう思うようになりました。

 

この子が幼稚園に行きだす頃にムッフカフェは。。小学生になる頃には。。。?


初めて数年先の未来を、ムッフカフェの未来を考えるようになりました。

 


だから、移転を決断したのです。

 

 ムッフカフェを、続けるために。


ムッフカフェを数年後やっていられる可能性を、少しでも高めるために。

 

「美味しくて笑顔になれる空間」


今も昔もムッフカフェが大事にしていることですが、それは場所をかえても実現できるのではないか、と思ったのです。



天文館のムッフカフェももちろん大好きでした。


賑やかで華やかな天文館。


あの場所で長い間営業できた事は、たくさんのムッファー(スタッフ)のお陰です。


そして、ムッフカフェの誇りです。


今でも、週末夜のたくさんの(飲んだ後の)お客様は、ムッフがなくなってどうしてらっしゃるだろう。。。と思うことがあります。


深夜にいらして下さっていたお客様は、毎日来てくださっていたお客様は、どうしてらっしゃるだろう。。。と。


現在の武岡のムッフカフェは、金曜日・土曜日のみ22時までの営業となっています。


天文館時代と比べたら、ずいぶん短い営業時間です。


でも、今の私達の精一杯。


週末夜は、働きながら天文館をいつも思い出します。


働く女性が、来てくださる事がおおいから。


ひとりでいらっしゃる方が多いから、かな。

 

一生懸命働く女性の方々が、ほっとできるゆっくりできるカフェでありたい。  


ムッフカフェをオープンした時と変わらない気持ちです。


ただ、私が開業した23歳の頃は「働く女性」は「仕事をする女性」のみのイメージでしたが、今は家事や育児をする方々もまた「働く女性」だと心から思います。



ムッフカフェがあって良かった、と「必要とされるお店」でありたいし、そうでなければ続けることはむつかしいでしょう。



脈絡もなく、ムッフカフェの事を熱く綴る今日は、2月5日。


2001年2月5日にムッフカフェをオープンしてから、17周年、もう18年目となります。


私の愛するムッフカフェ。


でも、ムッフはもう私のものではない、とここ10年感じていました。


側にいられなかったし、自分が出来ることも限られていたから。


移転オープンから半年以上、こんなにムッフの為に自分ががんばれる日がまた来るなんて、しあわせ以外のなにものでもありません。


リウマチが多少悪くなってもいいのです。


充実した後悔のない毎日です。


ただ、またいつかは私が居なくても大丈夫なムッフカフェになるように、ひとつひとつ仕事をしていこうとおもいます。



3世代でパチリ。


ムッフカフェを移転できたのも続けていられるのも、母と姉のお陰です。


大好きな父が突然他界してからずっと、ケンカもしますが支えあって生きてきました。


これから先も、どうか一緒に仲良く楽しく働いていきたい。


父に何一つ親孝行できなかった分、母に親孝行したいと思っていたのに、未だ母に仕事も育児も助けてもらう毎日です。


ありがとう、ごめんね。


ありがとう、ありがとうね。




働くことは生きること


生きることは、愛すること


愛することは、笑うこと




そう、笑顔を忘れずに、がんばろう。