by ラベンダー


ことばや発達に遅れのあるお子さんと、お母さんのための
サポートの仕事を始めました。

言いたいことがうまく伝えられないお子さんや、お友だち
との関係を上手に作れないお子さんは、ともすると周りの
大人から「困った子」とか「乱暴な子」などとと思われて
しまうことがあります。


プレイルームに入って来たら、自分の好きなおもちゃが
目に入り、一目散にそのおもちゃに向かって駆け出し、
他のお友だちが遊んでいるのにいきなり取ろうとする子・・・


ビームやすべり台で、のんびりゆっくり動いている子がいると
自分の動きをセーブできずに、つい後ろから押してしまう子・・


「貸して」と言える子は、「いやだ!」とことばで言えない子に
対して、そのことばをまるで免罪符のように使いながら、
お友だちのおもちゃを取ってしまったり・・・



こういった行動は、何も遅れのあるお子さんに限らず、
幼児期にはよく見られる光景です。もちろん周りの大人は
ケガをしないように安全面には十分に配慮しているものの、
咄嗟に手が出てお友だちを叩いたり、蹴ったりしてしまう
ことや、また相手もやり返してきてケンカが始まることも
よく起こります。


こういう時大人はどのように対処したらいいのでしょうか・・・?


「叩いちゃダメ!蹴っちゃダメ!押しちゃダメ!」とか・・・
「ケンカしないで仲良く遊ぼう」とか・・・
「お友だちにも貸してあげたら・・・」とか・・・


そんなことが出来たら、そもそもトラブルになんてならないし
そんなことが出来たら、もう既に立派な大人であって、子ども
じゃない。。。。


子どもは自分の思うようにならない事に出会う度に、自分に
沸き起こってくる感情を体験し、その感情を発信し、受け入れ
たり受け入れられなかったりを繰り返しながら、少しづつ
自分をコントロールできる力をつけていくのです。


その場合の「発信」は必ずしもことばではなくて、「叩く」
だったり「蹴る」だったり、「押す」だったり「取る」だったりする
わけです。そして時には「大暴れ」だったり「大泣き」だったり
もします。



先日もA君が、いきなりお友だちを蹴ってしまい相手の子も
やり返してきて掴み合いになりました。


たまたま近くにいた私は、その様子をずっと見ていたのですが
A君は、はじめは相手を蹴ろうと思っていたのではなくて、つい
楽しくて興奮して、大はしゃぎが止まらなくなってしまったのが
きっかけのように、私には思えました。


興奮して大暴れするA君を抱きかかえ、両手を包み込みながら
私はA君に小声で話しかけました。

「A君、  A君はどうしたかったの?」

「・・・・・・・・・・・・・・」


「ほんとうは○○君と遊びたかったんだよね・・・?」

「・・・・・・・・・・・・・・・・」


「仲良くしたかったんだよね・・・?」

「・・・・・・・・・・・・・・・」


「蹴ったり、叩かれたりするとどっちも痛いよね・・・?」

「・・・・・・・・・・・・・」


どのことばがA君の心に届いたのかは分かりませんでしたが、
A君は次第に興奮が収まり、徐々に全身の力が抜けてくる
のが感じられました。そしてしばらくして落ち着いてくると私の
顔をチラッと見るなり、また別の遊びに入って行きました。


いわゆる「乱暴な子」「トラブルメーカー」と言われる子は
その行動面ばかりに目が行きがちになってしまいますが、
少し視点を変えて、その子の気持ちや感情に目を向け、
その子の気持ちに沿ったことばを探していくうちに、落ち
着いてくることもあります。


いつもそうとは限りませんが、その子の行動がどんな感情を
表しているのかを探そうとすることが、まずは先なのだろうと
思い、私自身も今必死でそれを学んでいるところです。


でも・・・

これって、よそのお子さんだからできるとも言えます。。。。

かくいう私も、今だからわかるのであって、自分の子育て
時代はまるでわかっていませんでしたから・・・


子どもの成長というのは、体や機能の成長、ことばや
知能の発達ももちろんですが、心や感情の成長がとても
大切なのだと、改めて学ばせてもらっている日々です。