汐留黄昏夕日

陽が沈む直前、ほんとに一瞬だけ、赤く大きな太陽が輝きを増すときがあると信じていた。
今日、銀座の裏路地を歩いていて、ふと見上げたビルに夕陽が映っているのに気がついた。
仄かに夕陽を反射していたビルが突然のように輝きだし、その輝きの光芒は遠く離れた向かい側のビル壁へも反射し照らしはじめた。
空はもう墨色に暮れ、夜の訪れを待つばかりの時だった。

しばらく路地裏で見上げていたが道行く人の声でわれに返り、再び見上げたときはビルの光芒は墨色の闇に消えていったあとだった。
ほんの数十秒の出来事。刹那の出来事。エモーショナルな出来事。