松竹
死ぬまでにしたい10のこと


★★★★★

MY LIFE WITHOUT ME(106分)


監督: イザベル・コヘット
製作: エステル・ガルシア、ゴードン・マクレナン
製作総指揮: アグスティン・アルモドバル、ペドロ・アルモドバル
オグデン・ギャヴァンスキー
脚本: イザベル・コヘット
撮影: ジャン=クロード・ラリュー
 
出演: サラ・ポーリー・・・アン
スコット・スピードマン・・・ドン(アンの夫)
デボラ・ハリー・・・アンの母
マーク・ラファロ・・・リー(アンの浮気相手)
レオノール・ワトリング・・・アン(アンの隣人)
アマンダ・プラマー・・・ローリー(アンの同僚)
ジュリアン・リッチングス・・・トンプソン医師
マリア・デ・メディロス・・・美容師
アルフレッド・モリナ・・・アンの父


◆ストーリー◆

大学の清掃の仕事をしている23歳のアン(サラ・ポーリー)は、母親の裏庭のトレーラーハウスに夫ドン(スコット・スピードマン)と2人の娘と暮らしていた。

しかし、ある日、突然の腹痛に倒れ、病院に運び込まれる。

検査の結果、卵巣のガンが全身に転移してすでに手遅れ。

若さのために、ガンの進行が早く、医師(ジュリアン・リチングズ)から余命2~3ヶ月と告げられる。

そして、彼女は、病気のことを誰にも告げず、死ぬまでにしたい10のことをノートにまとめて、さっそくそれを一つずつ実行していく。



◆感想◆

ごく普通の”日常”を切り取ったような映画。

しかし、決して楽しい映画ではない。

死がそこに見えてるんだから。

でも、悲壮感は見えない。

どうせ死ぬんだから・・・っていう諦めもない。

かといって、死ぬまで思いっきり楽しもうって感じでもない。

自分が決めた死ぬまでにしたいことを淡々と着々と実現していくだけ。


私は、大病の経験はあるが、まだ余命を告げられたことはない。

もし余命2~3ヶ月と言われたら・・・全く想像がつかない。

今、普通に生きてる状態で余命を告げられたら・・・実際にそのときになってみないとわからない。

自分ならこうする!って思ってても、実際、本当にそうなるかわからないし。

泣き叫んで悲しみにくれて残りの人生を過ごすかもしれないし、やり残したことを少しでもやってから死のうって思うかもしれないし・・・

余命を告げられたときの気持ちや行動は、余命を告げられた人にしかわからないってことだろうな。


一人で死と向かい合っているアンだけど、脇役たちが、個性的で、重いテーマの映画にちょっぴり笑いを添えてくれる。

特に、アンの同僚ローリー(アマンダ・プラマー)。

ダイエットオタクでいつも痩せたい痩せたいって言ってるんだけど、いつもムシャムシャ食べてるのよね。

あと、アンの主治医のトンプソン(ジュリアン・リッチングス)。

患者と向かい合い目を見て死の宣告なんてとてもじゃないけどできない・・・と言って、アンと隣同士に座って、アンに余命を告げる。

その医師とアンのやりとりが好き。

医師に「キャンディーちょうだい。」って言うのとか、医師に自分の娘が18才になるまでのメッセージを詰めた箱を預けたりとか。

最初に会ったとき、キャンディーが1個しかなかったから、次に会ったときに、医師は袋いっぱいのキャンディをアンにプレゼントするんだよね。

人間味のあふれる医師って感じがした。


この映画は、主人公が死の瞬間をどうやって迎えたのか描かれていない。

(苦しんだのか、家族に看取られたのかなど。)

でも、アンが遺言を遺した他の人たちが、アンの死後、それぞれの人生を歩みだすというシーンで終わるのがとても素敵。

ハッピーエンドというわけでもないし、色々と人生のことを考えさせられ、切なくもなる映画だけど、何だか心が清清しくなるような映画でもありました。

賛否両論あると思うし、理解できない部分もあるかもしれませんが、私は、好きな作品です。





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