泣いてもいいです!場面緘黙(かんもく)だったかもしれない甥っ子の素敵な話。 | 凸凹3児母さんの子育てと「私」記録

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三人の発達凸凹っ子の母。
荒れた娘を児童相談所に連れて行ったのが発達の世界に足を踏み入れた始まり、、
気付けば発達マニアに(笑)。
他のおやこのお役に立てたらと、現在は児童発達支援のお仕事をしてます。
日々の子育て・お勉強などの呟きを気ままに更新中♪

今日は、我が子の話ではなく、甥っ子の話です。
長いけど、ぜひ読んでください。

私には、今、高2の甥っ子がいます。

自身も三きょうだいである私には五歳上の姉がいて、
その甥っ子は初めての私の甥っ子です。
赤ちゃんにほとんど接したことのなかった私には、
姉のところに生まれたその甥っ子がかわいくてかわいくて、
小さい頃はよく一緒に遊んでやりました。

姉は実家の近くでお嫁入りしたので、
私が帰省するたびに合わせて、子供を連れて実家に遊びに来てくれます。
甥っ子は数年前まで、○○ちゃん、○○ちゃんと私の名前を呼び、
とてもなついてくれていました。

いつからかな、その甥っ子が、うちの近所に住む同じ年頃の子供に比べると、
何となく幼い感じを受けるようになったのは。


小学校中学年くらいの時からでしょうか、
勉強も運動も出来ない・・・とか
近所の同い年の女の子にキツい態度をとられていて•••
というような姉の言葉を何度か聞いたことがあります。
甥っ子や姪っ子が集まるときは、
彼が最年長であるにもかかわらず、
最年長らしく皆を仕切って遊ぶということはなかったのですが、
彼の弟とケンカをしながらも皆と遊んではいました。
ちょっとした手伝いをしてくれたり、うちのチビ達に付き合ってくれたりと、
なかなか気の利く優しい子だから、リーダーシップをとれる感じはなくても、
それも個性で、いいところいっぱいある子だと思っていました。
それは今でも思っていますが。


そんな甥っ子が、中学二年くらいの頃からしばらく、実家にいつものメンバーが集まっても、
そして、なついている私に対しても、
自ら話しかけることが減り、また極端に応答の声が小さくなってしまった時がありました。
「思春期というやつで、きっと、大人と話すことを少し意識し始めたのかな」
と思っていました。

その後、彼が中三の時に、うちの姫に発達障害の疑いがあることに気付き、
帰省したときに姉に姫のことを話しました。
姫はその時小2、家では話をするのに、学校や病院などで、
ほとんど話が出来なくなっていました。
全くというわけではなかったのですが、参観などであてられても、
全然聞こえないくらい、とてもとても小さくか細い声でしか発表できませんでした。

姫のことを聞いて、姉は、
「□□(甥っ子)も、学校で話が全然出来なくなってて、担任の先生から、
場面緘黙かもしれませんと言われたけど、もしかすると一緒なんじゃない?」
と心配してくれました。
場面緘黙という言葉を、初めて聞いたのはその時でした。

甥っ子は、中三の途中までは本当に極端に話が出来なかったそうなのですが、
たまたま、クラスメイトの中に、甥っ子のことをとても気にかけてくれる子がいて、
その子のお陰で、少しずつではあるけども前より状況が良くなって来たところだと、
話してくれました。

うちの姫の場合は、その後の診察で彼女の状態を少し確認したところ、
「程度の問題であって、場面緘黙とまではいかないけど、それに近い状態」
とは言われました。


場面緘黙(ばめんかんもく)は、話をすることが全くできないわけではなく、
家庭などでは話ができるのに、
学校や会社など外に出たりすると話ができなくなってしまう状態で、
発達障害のある子がなることもあるけど、
そうでない場合もあります。
なので、甥っ子に、発達障害があるかどうかは分かりません。

田舎ですし、相談機関や療育機関もなかったり、
甥っ子が小さい時に発達障害のことが今ほど広まっていたわけではないので、
もし小さい時から何かそれなりの兆候みたいなものがあったとしても、
気づかれることもなかったと思います。

何より、姉が、 発達障害を疑うことよりも、
今の甥っ子の姿を見て、得意なところを伸ばしてやって、自信をつけてやろう
としていることが分かるので、
私も、「発達障害があるのかもしれない」とあえていう必要もないと思っています。
もちろん、我が家の子供たちに発達障害の診断がついていることは話していて、
何となく「偏り」についても話しているので、
姉がどうしようもないくらいに困っていれば、
自分で相談にいくのかなとも思うのですが。
ただ、診断がついている三人の子供がいる私から見て、
甥っ子は、苦手、得意の差が大きく、凸凹感を感じる子ではあります。


甥っ子は、姉や担任の先生のはからいもあって、
勉強は苦手だけれども、
甥っ子が好きな、料理や製菓の勉強も出来るような高校に進学しました。
姉は調理師経験があり、子供達が小さい頃から、手作りお菓子を一緒に作ったり、
自分で野菜も育てたりしていたので、
甥っ子にも、自然と食への興味が培われていたようです。

その高校は、他にも福祉系など、
色々と専門的な勉強を出来るコースがあるという特色のある学校で、
生徒も、それぞれとても個性豊かで、
それゆえ、甥っ子のことを気にかけてくれる子がいたり、
また、甥っ子が特別しゃべらなくてもその事をとやかく言われたりもなく、
何だか、居心地がいいみたいだよということは、高校入学後しばらくして聞いていました。


去年夏に帰省したときに、
学校のカリキュラムの一貫みたいな感じで、
ある老舗和菓子屋に、希望者のみ泊まりで仕事体験に行ったと聞いていました。
優しい甥っ子は、お盆に集まる皆のために、
そこでおまんじゅうをお土産に買って来てくれていました。

どうやら、そこでの体験が、甥っ子に、「」を与えてくれたようです。


このお正月に集まって、お昼を食べて雪遊びを堪能したあとのお茶タイム。

テーブルの上に、何やら色とりどりの、綺麗な写真が二枚、置かれていました。
ふと気をとめてのぞきこむと・・・




何と、これ、甥っ子が作ったんだとか!!!

上のは、実際の作品の半分だけなのですが、冬休み前に、校内作品展みたいなのがあって、
そこに、上の写真の練り切りや他にもきんつば、変わり衣のおはぎなど、
和菓子をたくさん作って、出展したそうなんです。
夏の和菓子屋修行で、「練り切り」を少しだけ経験させてもらった甥っ子。
練り切りって、料亭で言えば、煮方というところでしょうか、
その店の花形、看板です、多分。
その仕事を任せてもらえるのは、甥っ子が行った老舗和菓子屋で、
ただ一人の熟練者だけだったそうです。
どうやら、それを将来やってみたい!
という夢が、出来たそうです。

高校の授業自体では、和菓子実習はなかったらしく、
校内作品展でも、和菓子を選んだのはただ一人。
姉も、和菓子を選んだ時点で、何かの賞をとることはないだろうと思っていたらしいのですが。

甥っ子が、嬉しそうに、
「最優秀賞やった」って言って、賞状を持ち帰ったらしいんですよね。


私、写真見ただけで感激しましたが、それを聞いて涙出そうになりました。
これ書いてても、また涙・・・


もちろん、姉も、ある程度(もしかしたらかなりかもですが)、手伝ってはいます。
でも、こんなに綺麗で、こんなに繊細で、心のこもったものを、
自分で作ったんです。
ネットや本で調べて考えて、餡を小豆から煮たり、
買った白餡に色を自分でつけるところから。しかも家にある道具で。


実は、少し裏話があって。
夏の和菓子屋研修をすすめてくれた高校の先生、
甥っ子が和菓子を作品展に出すって言ったとき、かなり後押ししてくれたらしいんです。
後押しというか、どちらかというと厳しく、
途中段階で、もっとつめろ、極めろ!みたいな感じでガンガンと、叱咤激励という感じで。
それを聞いて、私が思ったこと。
もしかしたら、その先生は、甥っ子の、話をすることや勉強が苦手なところ、
そして、甥っ子の手先の器用さ、作業の丁寧さ、絵や色彩のセンス、
などを見抜いていて、
甥っ子に自信をつけさせるために、
甥っ子が夢を見つけれるように、
厳しく、温かく、見守ってくださったのではないかなと。
実際に私が会ったわけではないので、勝手な想像ですが。
そして、甥っ子は多分、先生の期待通り、期待以上かもだけど、
すごく頑張った。
こんなことがふと頭をよぎると、また泣けてしまう。


お盆やお正月、皆集まるとき、
姉は甥っ子に、「練習」と言って、お菓子を作らせて持ってきたり、
皆の食べるご馳走の、どこかの部分を手伝わせたりしています。
姉も、付き合ってやったり、見守ってやったりして。

このお正月は、学校の調理実習でやったとかいう、
さつま汁を作ってくれました。
そして私は、私の父が巨大カンパチを三枚に卸したところにちょうど甥っ子が来たのを見て、
「刺身任せよか」と提案しました。
私の予想よりはるかに、見事に全て刺身にし、盛り付けも綺麗にして出してくれました。

そして皆で、それらを美味しい美味しいと言って食べました。
最近の集まりは、いつもそんな感じで甥っ子も台所に立ちます。

それは、姉が仕向けていることだと私は察しています。
頑張って作ったものを、皆がありがとう、美味しいと言って食べてくれる。
それが、きっと自信につながるだろうと私も(多分姉も)思います。
甥っ子は恥ずかしそうにしながらも「ありがとう」と言って、
そして次も作ってくれる。



甥っ子は、最近、一時期に比べて、声が、大きくなりました。
多分、学校でも、口数は多くなくても、ある程度、必要なことは、
話ができていると思います。
一時期より、表情が柔らかくなった気もします。

多分、少しずつ、自信がついてきたのだと思っています。

そして今、夢に向かって前を向いています。




こんなことに使えるとは思っていなかったけど、
甥っ子が小5か小6の時にうちの姫にくれた切り紙、
あまりに上手かったので、私、とっていました。



縦3×横5センチくらいの大きさです、かなり小さい。
これ、下書きも何もなしに、自分の頭の中の形の記憶と手の感覚で切ったんです。


あと、これも。



多分、4歳くらいの時に甥っ子が私にくれたものです。
あまりに色が綺麗で素敵な絵だったので、長い間飾ってて、
外した後もずっとずっとしまってました。
押し入れゴソゴソしたら、出てきました。
親バカならぬ、叔母バカな私。

姉は、甥っ子が小さい時絵を描くのが好きだったので、
小学生の頃数年間、絵画教室に行かせていました。
何をさせても続かないけど、そこだけは喜んで行ってる、と姉から聞いたことがあります。
その教室がなくなってしまったから行けなくなったと聞いた時は、
私も残念に思ったのですが、
その数年間は、とても貴重な時間だったと思います。



お子さんの、得意なところ、キラッと光るところはどんなところですか?

私も今、我が子達の得意なところ、キラッと光るところ、集中できること、
探して見つけていっているところです。


どんなことでもいい、温めて応援してあげたいですね、子供たちの素晴らしいところを。
ひとつでも、好きなことや得意なこと、そんなことがあることが、
しんどい時の子供たちの心の支えや励み、夢につながってくれるといいなと思います。


最後までお読み頂きありがとうございました。


ちなみにもし甥っ子が本当に和菓子職人になって、
しょっちゅう私の大好きな和菓子を送ってくれるようになったら・・・
ああ、夢のようにシアワセだ~ドキドキ




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