遅ればせながらポール・ヴァーホーベンの『ショーガール』を観た。

 正直、この映画の前評判から言って、かなり期待せずに観た。

 なぜなら、この映画は95年のラジー賞を7部門受賞している、いわば「最低の映画」と称されているからだ。


 

確かに、「みんなのシネマレビュー」などで評価を見ると、めちゃめちゃ酷評されている。しかもwikiでも同様に。

 


 


 では鑑賞後の感想を述べさせていただきます・・・!!!


 




 









間違いなく我が映画人生においてベスト級の映画
である。

 
何でこの映画が酷評されているのか全然分からない。

 これより、『ショーガール』について酷評している方、一言ある方、ラジー賞に決まっているだろって方はケンカを売ってきてください。買います。

 

 
 ◆『ショーガール』の感想◆



 なぜこの作品がラジー賞なのか全く理解できません。

 ラジー賞の評価を下した審査員は、この作品をしっかり見たのでしょうか。この作品のどこがラジー賞に値するのでしょうか。

 映画の評価は人それぞれだと頭では分かっていてもイライラが止まりません。

 

 本作の主人公はストリップバーで働くダンサー志望の女性です。その女性が、カジノのトップレスダンサーのトップを目指すというお話です。

 設定は奇抜ですが、内容は王道の青春スポコンもので、ライバル、親友、恋人、嫉妬、努力、挫折、ハプニング、ユーモアといった青春スポコンものに欠かせない要素が全て詰まっています。

 しかも、それぞれの要素を非常に丁寧に描いて居る点も重要です。

 
◆『ショーガール』から日本映画の青春モノ大量生産と『恋空』レイプシーンについて◆


ていうか本作がラジー賞なら、日本で大量生産されているテレビ局主導の青春スポコンジャンル映画(カーリングものとかラップものとか書道もの)はその内容の薄さとつまらなさからいって、フィルムを燃やしたほうが良いレベルだと思います。ストリップダンサーの話という、ずいぶんきわどい話であっても全ての役者がここまで体当たりの演技をして、全てをさらけ出して、最初と最後でまったく表情が違う映画が上記の日本映画においてあるでしょうか。

 僕は無いと思います。なぜなら、それは日米の映画制作の体制の違いとか資金額の違いとかそういう問題とかは関係なく、「ストリップやエロに対して真っ向から向き合い、良質な青春スポコンジャンル映画にする気概がない」と感じるからです。

 ここまで言うと誤解されるかもしれませんが、僕は邦画は好きです。『がんばっていきまっしょい!』とか大好きです。

 私が把握している限り、最近の作品で『ショーガール』の気概を感じる作品は『愛のむきだし』ですが、それでもエロの描き方についてはこの映画にはまだまだ及んでいない。でも凄く健闘している素晴らしい作品だと思います。

 


  逆に、全く真摯に向き合っていないのは、『恋空』のレイプ描写です。

 『恋空』の監督は、本作『ショーガール』を100回観てから出直してきてください。




◆『恋空』と『ショーガール』のレイプ描写の比較◆


①『ショーガール』のレイプシーン

『ショーガール』のレイプシーンは残虐で目を背けたくなる人も居ると思う。

そのシーンを書き出すとこんな感じ。

あこがれの歌手についていく主人公の親友。
すると、見知らぬ男が二人出てくる。泣き叫ぶ親友を殴りながら、見知らぬ男が腰を振る。

主人公が見たのは、親友が顔をボコボコに腫らし、股から血を流した姿だった。病院で「膣に裂傷が見られる」との医師の台詞を聞き、主人公は復讐を誓う・・・





②『恋空』のレイプシーン


 『恋空』のレイプ描写はどうか。

お花畑で新垣さんが男3人ぐらいに追っかけられている。俯瞰のショットのまま、新垣さんが三人に押し倒される。新垣さんが押し倒されている姿は「綺麗なお花」にオーバーラップしていく。
 レイプされた後は、特に服装も乱れていない新垣さんが「綺麗なお花畑」の上で倒れている。



 




 ほう~!

 するってえとあれですかい??











 
  レイプと「綺麗な」お花はオーバーラップさせるほど何か共通項のあるものなんですかね??













 くそばかが死ねよ。


 
 ここで皆さんに質問します。 


 『恋空』のレイプシーンと『ショーガール』のレイプシーン、どっちが真似するやつが多いと思いますか??


僕が思うに、 『恋空』を観た多感な少年少女は、「あ、お花綺麗~レイプってそんなにたいしたこと無いんだ~」って直接思わないでも、深層心理で軽視されること請け合いだと思うのですが。




 このように邦画との比較ばかりになってしまったのは、日本では、『ショーガール』で描かれている内容の映画がほとんど作られていないばかりか、勘違いされてしまうのではないかというほど、そのテーマについてまともに向き合っていないということだと思います。


◆『ショーガール』の魅力◆

 


 また、邦画との比較をするまでもなく、本作のダンスシーンの迫力やストリップシーンのリアルさは本当に凄い。

 登場人物もそれぞれ性格が描き分けられている。

 ライバルのトップダンサーは、主人公の暗黒面を持ったものとして描かれているし、最後にはそのライバルと主人公とが互いに認め合い本当の意味での友達になる。しかもその事を、キスだけで伝えるという演出の妙。

 また、夢を一途に追う主人公と夢を持てどその行動も才能も伴わない者の対比などしっかり撮られていると思う。

 加えて、ストリップの色物的存在のおっぱいが自動で出てくる弁の立つおばさんなど、ストリップを丹念に調べていなければ絶対に生まれない、しかも主人公のお母さん的な温かみのある素晴らしい人物も設定されている。

 本作は、ストリップダンサーがベガスのトップダンサーになるまでの過程を青春スポコンものとして作り上げ、それぞれの要素を丁寧に誠実に撮っている極上のエンターテインメントだと思います。

 





それがどうしてラジー賞なのか全く理解できません。 

 でも分かったことは、恐らくラジー賞の審査員はちゃんと作品を見ていないということです。

 そして、ラジー賞だからっていう理由だけで本作を酷評するのは非常にもったいない。内容が内容だけに人を選ぶとは思いますが、物凄く良質のエンターテインメント作品です。

 反論がある方いらっしゃいましたらどうぞ。