東京大学と筑波大学が主催する「市民後見人養成プロジェクト」。
これは、文部科学省の委託を受けた事業で、平成21年3月から始まりました。
(以下、熊本日日新聞「論壇」を参考にしています。)
市民後見人はドイツで活躍している「名誉職世話人」をモデルとしています。
ドイツでは、1992年に成年者世話法がスタートし、日本の制度はこれに倣っています。
ドイツの世話人(日本でいう後見人)は23万人ほどいて、職業として世話活動を行なう職業世話人(弁護士・社会福祉士など)と、家族や市民がボランティアで引き受ける名誉職世話人がいます。
ドイツでは、世話人と世話をしてもらっている人との関わりは実に密接で、
「どんな関わり方をすれば、その人が質の高い暮らしをすることができるのか、その人の望む暮らしが実現するか」
について、世話人は心を砕き、かつ誇りを持って活動しているといいます。
事実、ドイツでは、ボランティアで世話人を引き受けている人は、地域で一目置かれる存在だそうです。
また、ドイツでは、職業世話人であれ名誉職世話人であれ、世話人はすべて「世話人協会」という民間の団体に所属しています。
世話人協会は責任を持って、名誉職世話人の教育・育成をしています。
例えば、定期的なセミナーの開催、相談窓口の設置、有益な情報の提供など。
「世話人協会」という支援団体のバックアップがあるからこそ、家族や一般市民の名誉職後見人が、安心して活動できるのです。
これに比べて、日本ではどうでしょうか。
家族(一般市民)の世話人(後見人等)には何の教育も行なわれず、せいぜい裁判所や弁護士・司法書士・行政書士・社会福祉士等の会が作成したパンフレットを手渡される程度です。
その結果、「家族」としての愛情はあっても、「後見人」としてのより良い関わり方が理解されないまま、形だけの「世話人(後見人)」になっているケースも多いのではないのでしょうか。
判断能力の衰えた人たちは、生涯にわたって誰かの支援を必要とします。
「世話人(後見人)」は、そうした人たちの人生にかかわる重要な職務を担うのです。
質の高い市民後見人を増やすためにも、国を挙げた政策が必要なのではないのでしょうか。
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