安倍の施政方針演説を読む(1) | 長谷川哲の言いたい放題

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日々思うがことを思うがままに書き連ねていくつもりです。

ナルシストで自画自賛。民主党政権と野党批判以外は見事に中身がない。腹立たしくて情けなくて、こんなのが内閣の頂点にいるかと思うとやりきれない。なんとしても野党の共闘で、安倍政権を打倒しなきゃならんと思う。

見事に中身がない。こんなものでも、官邸のサイトにいち早くアップされる時代……ってのは、私のようなロートルには隔世の感があるが(^^ゞ

例によってチャチャ入れてみたい。

以下、適宜、安倍の施政方針演説より引用。

安倍は、所信表明の冒頭を、次の文言ではじめる。

 《まず冒頭、天皇陛下の御公務の負担軽減等について申し上げます。現在、有識者会議で検討を進めており、近々論点整理が行われる予定です。静かな環境の中で、国民的な理解の下に成案を得る考えであります。》

そもそも、日本国憲法を安倍は知らないのだろうか?
現行憲法は、第一条にこう定めている。

  《天皇は、日本国の象徴であり日本国民統合の象徴であつて、この地位は、主権の存する日本国民の総意に基く。》

天皇の地位は、「主権の存する国民の総意に基づく」のであるから、その代表者である国会議員や国会の審議抜きに、正体不明の「有識者会議」に丸投げしてしまうのは、憲法の規定を無視した暴挙のように私には思える。

続いて安倍は、真珠湾訪問に触れる。

 《真珠湾の地に立ち、先の大戦で犠牲となった全ての御霊(みたま)に、哀悼の誠を捧げました。
 我が国では、三百万余の同胞が失われました。数多(あまた)の若者たちが命を落とし、人々の暮らし、インフラ、産業はことごとく破壊されました。
 明治維新から七十年余り経った当時の日本は、見渡すりの焼け野原。そこからの再スタートを余儀なくされました。》

確かに我が国では300万もの日本人の生命が奪われた。(しかも、その大半は餓死や病死と言われている。)そして、インフラや産業がことごとく破壊され、見渡す限りの焼け野原からの再スタートを余儀なくされたのは、ほかならぬ、日本の「政府の行為」によるものである。明治憲法下で絶大な権力を持っていた天皇とその取り巻きたちによる愚行の結果である。
だからこそ、現行憲法は前文で「政府の行為によって再び戦争の惨禍が起ることのないようにする」決意を書き込んだのだが、真珠湾での所感表明でも、今回の所信表明でも、安倍はそこには全く触れようとはしない。

安倍は続いて、《廃墟と窮乏の中から敢然と立ち上がり、(中略)世界第三位の経済大国、世界に誇る自由で民主的な国を、未来を生きる世代のため創り上げてくれました。》と述べているのだが、我が国のどこが「世界に誇る自由で民主的な国」なんだろう?寿司でメディア幹部を懐柔・籠絡し、ネット上でさえ、安倍に批判的な発信をすれば、在日認定され、非国民であるかの如く叩かれ、国会ではロクな審議もせずに強行採決が繰り返されている。歴代自民党政権下で比較しても、「もっとも不自由で非民主的な国」に成り下がっているというのが、齢52、小学生の頃から42年間、自民党の悪辣ぶりを目にしてきた私の偽らざる実感だ。

安倍は《戦後七十年余り。今を生きる私たちもまた、立ち上がらなければならない。「戦後」の、その先の時代を拓くため、新しいスタートを切る時です。
 少子高齢化、デフレからの脱却と新しい成長、厳しさを増す安全保障環境。困難な課題に真正面から立ち向かい、未来を生きる世代のため、新しい国創りに挑戦する。今こそ、未来への責任を果たすべき時であります。
 私たちの子や孫、その先の未来、次なる七十年を見据えながら、皆さん、もう一度スタートラインに立って、共に、新しい国創りを進めていこうではありませんか。》とも述べている。しかし、いったい、なぜ立ち上がらなければならないか、なぜ、もう一度スタートラインに立たなければならないのか、私には、さっぱりわからない。安倍政権を打ち倒し、現行憲法の理念にたちもどった国づくり………なら、是非ともやらなければならんと思うが。

続いて安倍はこう述べる。

 《かつて敵として熾烈に戦った日本と米国は、和解の力により、強い絆(きずな)で結ばれた同盟国となりました。》

そうだろうか?安倍の言うように「和解の力により、強い絆で結ばれた」同盟国になったのであれば、どうしてアメリカの軍人・軍属による犯罪があとを絶たないのか、それらに対して日本側に捜査権が及ばない場合が少なくないのか?

つまり、それは、日米の関係が、安倍の言うような「和解の力による強い絆」ではなく、「米国による支配(従って日本側は被支配・従属)の絆」だからではなかろうか?その後に安倍が口にした、《日米両国には、寛容の大切さと和解の力を示し、世界の平和と繁栄のため共に力を尽くす責任があります。》やら、《これまでも、今も、そしてこれからも、日米同盟こそが我が国の外交・安全保障政策の基軸である。これは不変の原則です。できる限り早期に訪米し、トランプ新大統領と同盟の絆(きずな)を更に強化する考えであります。》やらは、「安倍晋三はアメリカ合衆国に、ひたすら忠誠を尽くします。」と、おそろしく卑屈な従属宣言にしか聞こえない。

 《先月、北部訓練場、四千ヘクタールの返還が、二十年越しで実現しました。沖縄県内の米軍施設の約二割、本土復帰後、最大の返還であります。地位協定についても、半世紀の時を経て初めて、軍属の扱いを見直す補足協定が実現しました。
 更に、学校や住宅に囲まれ、市街地の真ん中にあり、世界で最も危険と言われる普天間飛行場の全面返還を何としても成し遂げる。最高裁判所の判決に従い、名護市辺野古沖への移設工事を進めてまいります。
 かつて、「最低でも」と言ったことすら実現せず、失望だけが残りました。威勢のよい言葉だけを並べても、現実は一ミリも変わりません。必要なことは、実行です。結果を出すことであります。》と述べたあと、《安倍内閣は、米国との信頼関係の下、抑止力を維持しながら、沖縄の基地負担軽減に、一つひとつ結果を出していく決意であります。》と続けているが、「盗っ人猛々しい」とはこのことだろう。

民主党(当時)政権以前の自民党(あるいは自公)政権下で、それこそ現実は『1ミリも動 なかった」ではないか!更に言えば普天間が返還されても代替で辺野古を提供するのであれば、沖縄の基地負担は全く軽減されないではないか!むしろ港湾設備が追加されたり、ヘリパッドが増えるぶん、基地負担をますます増やすことになるではないか!沖縄県民が求めているのは、「基地のない暮らし」である。

安倍は続いて、《本年は、様々な国のリーダーが交代し、大きな変化が予想されます。先の見えない時代において、最も大切なこと。それは、しっかりと軸を打ち立て、そして、ぶれないことであります。》と述べているが、「様々な国のリーダーが交代する」のなら、「安倍さんに真っ先に率先垂範して辞めていただきたい。」と、少なからずの国民は考えていると思う。

続いて、安倍は、国際協調について述べる。

 《自由、民主主義、人権、法の支配といった基本的価値を共有する国々と連携する。
 ASEAN、豪州、インドといった諸国と手を携え、アジア、環太平洋地域から、インド洋に及ぶ、この地域の平和と繁栄を確固たるものとしてまいります。
 自由貿易の旗手として、公正なルールに基づいた、二十一世紀型の経済体制を構築する。
 TPP協定の合意は、そのスタンダードであり、今後の経済連携の礎となるものであります。日EU・EPAのできる限り早期の合意を目指すとともに、RCEPなどの枠組みが野心的な協定となるよう交渉をリードし、自由で公正な経済圏を世界へと広げます。
 継続こそ力。就任から五年目を迎え、G7諸国のリーダーの中でも在職期間が長くなります。五百回以上の首脳会談の積み重ねの上に、地球儀を大きく俯瞰(ふかん)しながら、ダイナミックな平和外交、経済外交を展開し、世界の真ん中でその責任を果たしてまいります。》

「自由、民主主義、人権、法の支配」を乱暴に踏みにじって恥じない安倍政権と「基本的価値を共有する国」など、本当にあるのだろうか?更にアメリカのトランプ大統領でさえ、TPPからの撤退を表明しているというのに、TPPにしがみつこうとする安倍外交のどこに、「地球儀を大きく俯瞰」する姿勢があるだろうか?

更に、安倍は、近隣諸国との関係改善に触れる。

 《日本海から東シナ海、南シナ海に至る地域では緊張が高まり、我が国を取り巻く安全保障環境は厳しさを増しています。地域の平和と安定のため、近隣諸国との関係改善を積極的に進めてまいります。
 ロシアとの関係改善は、北東アジアの安全保障上も極めて重要です。しかし、戦後七十年以上経っても平和条約が締結されていない、異常な状況にあります。
 先月、訪日したプーチン大統領と、問題解決への真摯な決意を共有しました。元島民の皆さんの故郷(ふるさと)への自由な訪問やお墓参り、北方四島全てにおける「特別な制度」の下での共同経済活動について、交渉開始で合意し、新たなアプローチの下、平和条約の締結に向けて重要な一歩を踏み出しました。
 この機運に弾みをつけるため、本年の早い時期にロシアを訪問します。七十年以上動かなかった領土問題の解決は容易なことではありませんが、高齢である島民の皆さんの切実な思いを胸に刻み、平和条約締結に向け、一歩でも、二歩でも、着実に前進していきます。
 本年、日中韓サミットを我が国で開催し、経済、環境、防災など幅広い分野で、地域レベルの協力を強化します。
 韓国は、戦略的利益を共有する最も重要な隣国です。これまでの両国間の国際約束、相互の信頼の積み重ねの上に、未来志向で、新しい時代の協力関係を深化させてまいります。
 中国の平和的発展を歓迎します。地域の平和と繁栄に大きな責任を有することを、共に自覚し、本年の日中国交正常化四十五周年、来年の日中平和友好条約締結四十周年という節目を迎える、この機を捉え、「戦略的互恵関係」の原則の下、大局的な観点から、共に努力を重ね、関係改善を進めます。》

確かに、東シナ海、南シナ海で緊張が高まっているが、それは、日本共産党が先日の大会決議で触れたように、中国にあらわれた、新たな覇権主義・大国主義といえるものであり、安倍が前段で述べた自由やら民主主義やら法の支配やらを、国際関係において、真っ向から踏みにじっているのが、他ならぬ中国ではないだろうか?これを厳しく批判することなしに、平和的発展を歓迎やら、お花畑な内容やし、ましてや戦略的互恵関係なんぞ、ありえないと思うがなあ。

韓国との関係においても、「戦略的利益を共有する最も重要な隣国」と言いながら、僅かに10億ほどの端金(はしたがね)で、韓国の市民が稲田防衛大臣の靖国神社参拝に抗議したことにすら、文句をつけている。米軍駐留経費、いわゆる「思いやり」負担だけで約9500億、外遊のたびに各国に数千億規模の税金を気前よくばらまいている安倍が、「戦略的利益を共有する最も重要な隣国」に対しては、格段にケチ臭いのは、なんとも情けない話である。そもそも、こちらに非のあることだしなあ。

ロシアに対しては、ただ金をむしり取られただけの、先日の情けない交渉をここまで美化・自画自賛できるものかと、ため息しか出てこない。

安倍は、積極的平和主義についても自画自賛を忘れない。

 《真新しい国旗を手に、誇らしげに入場行進する選手たち。
 南スーダン独立後、初めての全国スポーツ大会には、異なる地域から、異なる民族の選手たちが一堂に会しました。
 その会場の一つとなる、穴だらけだったグラウンドに、一千個を超えるコンクリートブロックを、一つひとつ手作業で埋め込んだのは、日本の自衛隊員たちです。》

コンクリートブロックを積み上げるのは、自衛隊員より専門の建築職人のほうが上手いと思うがなあ。(ボソリ)

 《灼熱(しゃくねつ)のアデン湾では、今この時も、海賊対処に当たる隊員諸君がいます。三千八百隻を上回る世界の船舶を護衛してきました。
 平和のため黙々と汗を流す自衛隊の姿を、世界が称賛し、感謝し、頼りにしています。与えられた任務を全力で全うする彼らは、日本国民の誇りであります。》

いやいや。「すしざんまい」の会長のように、海賊に漁業を教え、魚介を買い取るほうが、よほど世界が賞賛しているし、私企業のトップが当面の採算は度外視して頑張ってるほうが、日本国民の誇りだ。

 《テロ、難民、貧困、感染症。世界的な課題は深刻さを増しています。こうした現実から、我が国だけが目を背けるようなことは、あってはなりません。今こそ、「積極的平和主義」の旗を高く掲げ、世界の平和と繁栄のため、皆さん、能(あた)う限りの貢献をしていこうではありませんか。》

違うな。安倍、お前のせいで日本国民はテロの受被リスクが高まった。安保法制を廃止することと、安倍内閣を打倒することこそ、世界の平和と繁栄のために、私たちができる最大限の貢献だと思う。

長いので、ここで一旦切ります。

安倍の施政方針演説を読む(2)へ続く。