バンダイビジュアル 誰も知らない



この映画を見ながら、思ったことはたくさんあった。たくさん、たくさん、あった。
しかし、その一方で、期待はずれの感も否めない。
それは、私の期待が大きすぎた、ということなのだろう。
DVD化されたその日に借りに行き、再三、再四、足を運んだが、いつも貸し出し中で、やがてレンタルビデオショップそのものからしばらく遠ざかっていて、そしてやっと見たのだった。



あらすじ

とあるアパートに暮らす母(YOU)と4人の子供たち。母はそれぞれ父親の違う子供たちを世間の目から隠すように、学校にも行かせず部屋に閉じこめ、仕事に出かけていく。家事や弟妹の面倒は12歳の長男・明(柳楽優弥)の仕事だ。そんなある日、母は現金20万円と「しばらく頼むね」という書置きを明に残し、姿を消してしまう。



公式HP  http://www.kore-eda.com/daremoshiranai/



現実にあった事件をそのまま再現するのではドラマにならないと考えてのデフォルメなのか、これで制作者の想像をフルに働かせてのリアリティなのか。
たとえば、7歳くらいの男児を部屋から一歩も、ベランダにさえも出さない躾(?)が、言い聞かせだけでできるとは、私にはとうてい思えない。
それをリアルに描かなかったのは、なぜなのか? 

母親批判ではなく社会批判をしようとした、それが誰にもわかるように配慮した結果、なんだろうか。
しかし、そのリアルが描かれていないと、映画全体がうそ臭くなってしまうように思うし、現実の事件をモデルにした意味もないように思う。


予想をくつがえしてよかったことは、ラストに救いのような明るさがあること。
私はこの内容で全く救いのないラストを覚悟して見ていた。
このラストで観客を感動させたいという意図が先にあったとすれば、ラストに至るまでの上に述べたようなディテールの甘さは納得できるような気がする。
それが悪いとは全く思わない。しかし、それなら現実の事件をモデルにする必要はないと思うのだが。


私は、多くのことを望みすぎているのかもしれない。


ゆっくりと流れる時間や過不足もある描写の中で、見る人がそれぞれにたくさんのことを考えられる(考えてしまう)映画、という点では、イチオシだと思います。



追伸1:

この映画のモデルになった事件について知りたくなって公式HPを見てみましたが、書かれていませんでした。どなたかご存じの方がいらっしゃったら、教えてくださいm(_ _)m

現実の彼らが、結局どうなったのか、それが気になって仕方がないのです。


追伸2:

takaさん に、お教えいただきました。実際にあった事件は以下に書かれています。
「巣鴨子供置き去り事件」
http://www8.ocn.ne.jp/~moonston/family.htm