人生には、上り坂、下り坂のほかに 「まさか」があるそうです。
七月上旬、家族からもらったコロナの症状が落ち着き、解熱したころ、
朝起きて、真っ先に見たスマホの画面がゆがむような感覚になりました。
「よくわからない、いつもと見え方が違う。」
目を開くと、視界がグレーがかっていて、目の前に緩衝材のプチプチをぶら下げられているよう、
見える部分と見えない部分が生じており、とても困惑しました。
目の痛みとともに、涙もぽろぽろと出てきます。
「これはおかしい、尋常ではない。」
そう感じ、眼科を受診すると、
視力が劇的に下がっており、視神経に腫れが生じ、網膜剥離を起こしていました。
耳鳴りも「キーン」の高音域と「ズーン」の低音域とご丁寧にステレオで鳴っています。
眼科の先生に総合病院に紹介状を書いていただき、
「全身状態を詳しく調べましょう。」
と、告げられました。
「全身状態? 何かとんでもない症状なのか、神経ということは脳がおかしいことになっているのか?」
冷静になかなかなれず、いろんな良くないことも頭をよぎります。
「いや、しかし、この図太い私は、そんなことでうろたえては、いけん!」
そう兜の緒を締めるような思いで診察に向かいました。
「フォークト・小柳・原田病、で間違いないでしょう。明日からすぐ入院してください。」
初めて聞く傷病名、何もわからないけれど先生方にお任せするしかない、と、
翌日総合病院に入院しました。
この病気では私の中の免疫が暴れ、自分の視神経や網膜や聴覚を攻撃しているため、
ステロイドを私の体内にがんがんに入れることで、
免疫力をがっつり下げ、視神経・網膜・聴覚の炎症を抑える治療をおこなうことになりました。
早速点滴でがんがんにステロイドを入れていただく治療をしていただき、その後、内服によるステロイド投薬に切り替わりました。
目以外は、元気。
でも、見えにくい、でも4人部屋は年齢層高めのおばあちゃま達で、病室ではあまりすることがない。
私の楽しみは7階の病棟から1階のローソンまで階段を上り下りし、紀文のバナナ豆乳をお買い物に行くことでした。
入院とは、楽しいイメージはないかと思いますが、
今回の入院生活では、看護師さんや看護助士さんがとても親切にしてくださり、
病院のお食事なのに、熱いものは熱く、冷たいものは冷たく、お出しのよく利いたお野菜たっぷりのメニューを提供してくださり、
本当に有難い11日間の入院生活を過ごさせていただきました。
入院したときには、病院の中庭にある銅像が何人居るものなのかもわからなかったのですが、
退院のころにはお母様を真ん中に二人のお子さんがわきを固めている三人組の微笑ましい銅像であるのも見えるようになりました。
当たり前に見えていたときには気付かなかったことに少し気付けたような気がします。
自分がいかに傲慢に生きていたのか、顧みて、
ふがいない自分をありのままに受け入れ、機嫌よく笑顔で治療を続けていきたいと思っています。
言葉の森の生徒さん・保護者の皆様へ
ご心配をおかけしている生徒さん、保護者の皆さんへ、
こみこは、図太いので、必ず治してやります。
大丈夫です。
視力が少しずつ上がってきましたので、これまでよりも少しお日にちをいただくかもしれませんが、
添削・講評入力・電話指導はさせていただきます。
ご不便をおかけすることもあるかもしれませんが、どうぞよろしくお願いいたします。