far away | やんぬるかな

far away

 全ては、この手から離れていく


 

 何かが、音も無く落ちてくる


 誰かが、それを追いかけていく

 そうか、少し前までの自分だ

 汗を拭うことも忘れ、その意味さえ問うことなく、必死で落ちてきたものを追いかける


 落ちてきたものを拾ったところで、何の役にも立たない

 ただ、その間は、思考停止できる

 そのために追いかけているのを、気づきもせずに



 今は、忌まわしい

 何かを追いかけることの空しさに気づいた自分に


 今は、懐かしい

 何に夢中になっていたかさえ、思い出せない日々が