ご挨拶    豊島区長・名張市長・江戸川乱歩のお孫さん
解説     茂山七五三

狂言     棒縛り    太郎冠者    茂山童司
              次郎冠者    茂山逸平
              主       島田洋海
              後見      茂山七五三

           休憩
創作乱歩狂言 押絵と旅する男2012(原作 江戸川乱歩、脚本 帆足正規、演出 茂山七五三)  
              主人      茂山七五三
              旅の男     茂山正邦
              押絵の娘    茂山逸平
              後見      島田洋海 


乱歩生誕の名張市と、終焉の豊島区との共同製作で、名張市で子供狂言の指導をされている、七五三師に白羽の矢が立てられての企画だそうだ。乱歩の原作は読んでいないのだが、小説を狂言に仕立てる、という興味深い企画。

まずは「棒縛り」で、古典狂言の面白さを存分に。もう、説明要らずの面白さだ。最前列正面で見られたので、役者さん達の表情まで堪能させていただいた。

そして、問題の新作狂言。舞台中央に巨大なフレーム。それは、風呂敷包みで、旅の男が酒代のカタに置いていったもの。ほどいてみせると、絵の中に、面(おもて)を付け、狂言の装束の女が椅子にかけている。それは、覗きからくりの看板絵で、女は八百屋お七。旅の男はこの絵の女に恋をしてしまい、看板絵を自分のものにしたわけだ。そして、遠眼鏡を使って、絵の中に入ったり、女とともに出たりしている。女も男を愛し、嫉妬したりすねたりしている。そして、男はついに絵の中の女とともに生きることを決意し、酒屋の主に遠眼鏡を壊すように頼む。絵の中に入っていく幸せそうな二人。

う~~ん、難解。しかし、覗きからくりの八百屋お七は、小姓の吉三に恋いこがれ、火付けの大罪を犯すんじゃなかったっけ?吉三はどうした!?という疑問が抜けないまま鑑賞することに・・・乱歩は、八百屋お七のストーリーはべつにどうでも良かったのかな。原作読まないと分からないけど。読まなきゃ。

一番印象に残ったのは、逸平さん演じる看板絵の女。普通狂言の女は面(おもて)を付けることはあまりないが、能のように面を付けると、なんとなんと、ものすごい表情が出るのだ。台詞が全くなかったのに、顔のちょっとした角度で出る表情が、とても色っぽい。本当にビックリした。