音ぼけもののけ手記

---hiroya's ramblings---


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 僕が3年前コロンビアで学士過程の生徒に作曲を教えていたとき、Rostam Batmanglijという変わった奴がいた。名前からして”バットマン”グリだし、(彼の両親はペルシャ系のイランからの移民、お母さんはペルシャ料理の権威である)最初から人を食ったようなところがあって、素直なのに頑固、面白くないと思ったものには、相手が誰であろうと歯に衣着せぬ言葉で論破していく、小気味よい性格。
時々、This chord is really Wabi-Sabi! とか、What do you think of a Tokugawa smile?とか訳の分からないことを僕に口走ったり、お互い作曲のレッスン中に全く関係のない映画の話題で盛り上がったりして、毎週のクラスが楽しかった。

 先週久々に彼からメールが来た。ツアー中のハワイから。彼がプロデュース、作曲、キーボードを手がけているバンド、Vampire Weekendが、8月、東京のサマーソニックフェスティバルに出るらしい。(ちなみに、Vampire Weekend のOxford Commaのミュージックビデオは、もろにウェス・アンダソンとゴダールである・・・3年前、ロスタムはゴダールがまだ生きているのを知らなくって、フィルムフォーラムに映画見てこいよ、なんて話していた頃が懐かしい)

 卒業してからも、彼からはmp3音源付きのメールが来たりしていてバンドを始めたのは知っていた。しかし結成1年半で、イギリスのNEMからBest Live Band in the US とお墨付きをもらい、雑誌の表紙は飾るわ、テレビには出まくるわ、インディーバンドとしては、大快挙であろう。

 頑固に三和音で作曲をしていた彼の3年前。今バックでかかっているVampire Weekend のデビューCDからも、如実にその彼のくせが出ていて思わずにやりとしてしまう。長3和音を多用して、機能和声で作曲すると、古典派の野暮ったい真似になるところを、彼は機能和声の機能を最小限にまでおとして、ミニマルに曲を構成していた。ばりばりモーツァルトみたいなパッセージを書いても、しっくりとうまく収めてしまうのは、今思うと彼の才能だったのだろう。妙に斬新だった。

 このとにかく明るいコロンビアの後輩4人組が作る、洗練されたパンクサウンド(What an oxymoron!)というのが仮にあるとすれば、Vampire Weekendに他ならない。

 日本の皆さん、こいつらをよろしく。

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