今日は晴れ。
ちょっと前の話になるけど、生まれて初めて、足がすくむという経験をした。
ホントに怖かった。
・・・
なにをしたかというと・・・。
10メートルの高飛び込み。
よく、芸人の罰ゲームとかでビクビクして何分も飛び込めないという光景を観てたきたが、
実際自分がその場に立って、その気持ちが痛いほど分かった。
テレビで観てるときは、
『早く飛べよ』とか、
『なんでそんな時間かかるんだよ』
・・・など、じれったく思う感想は数々出てきた。
そして、周りにもそうもらし、
「俺なら、すぐ飛び込める」などとぬかしていた・・・。
今考えると俺はどっからそんな自信が出てきたのか不明・・・、
高い所とかは得意というわけではないし、人並みに怖い。
周りに『出来る、出来る』と強がってると、
『じゃぁ、やってみろよ』と言葉にはされてないけど、
自然とそういう流れに飲まれた感じだった。
強がって話していた一人の友人の繋がりで、
飛び込み台のあるプールに連れてかれることになったんだけど、
まずはどんな高さなのか、飛び込み台に登ってみた。
5メートルまでは遠い昔に“としまえん”で経験済みだったが、
立ってみるとビクビクしちゃって、飛び込み台の端に立つことができなかった。
そして7.5メートルに登った時は、ブルブル震えてきて、
『ここが10メートルじゃないの』という錯覚が生まれ、
実際10メートルに立った時は、足がすくんでいた。
『足がすくむというのは、こういうことなんだ』と生まれて初めて実感。
強がって、すでに10メートルは余裕で飛び込める宣言をしてたので、
引くに引けない状況に自分の過去の発言を撤回したいくらいだった。
体慣らしに飛び込みの構想というか練習を低いところでしてたが、
水泳とはまったく違い、水泳で培ってきた飛込みが役に立たないことに気付いた。
そう、高飛び込み自体ゼロからのスタート。
さすがに、危険ということでイキナリ10メートルまで連れてかれなかったのが唯一の救いだった。
『この練習で終わってくれ』、と願う気持ちで一杯だった。
・・・
そして、
その瞬間は突然訪れた。
『そろそろ10メートル行こうか』
・・・と、ロクに練習もままならない段階で、声をかけられた。
『マジかよ、このまま練習で終わりたかったのに・・・』と心の声。
「じゃぁ5メートルから行ってみようか」
『良かった、いきなり10メートルじゃなくて・・・』とやっぱり心の声。
とはいえ、5メートルでも十分怖い。
『俺は飛び込めるのか』と自問自答しながらも、
『ここで怖気ついてはいけない』
といらぬ強がりを発揮して、飛び込み台に立って、間もなく飛び込んだ、
飛んでから着水するまで長いこと・・・。
飛び込む瞬間も水に落ちるまで、怖くて怖くてショウガナかった。
でも、見てる方はためらわず、すぐに飛び込んだように見え、余裕だと思ったらしく、
「じゃぁ7.5行こう」と
『・・・えっ・・・やっぱりそういう流れになるよな』
7.5メートルに行くまでの心臓のバクバク感はハンパなかった。
・・・が、これも、いらぬ強がりを発揮して、内心はひるみまくりだけど、ひるむ様子を見せずにダイブ。
当然、見てる方はヤッパリ余裕と思ったらしい、
・・・が、俺の中では限界点を越えてる感じだった。
水面に上がった時、真っ先に耳にした言葉は
「じゃ、10メートルだね」
・・・と、
『マジかよできねぇよ、飛び込んでから、ロクに体勢維持できねぇし・・・』
と思ったが、そんな弱音を吐ける環境じゃなかったのは、過去の自分の失言のセイ。
いよいよ10メートルの飛び込み台へ・・・、
さっき見たときは当然端には立てなかったが、飛び込むには端に立たなければイケナイ。
怖すぎる、
再び、足がすくむさっき、生まれて初めて足がすくむ体験を短時間の間でおかわりした形。
7.5メートルまでは飛び込み台に立って、
時間にして2秒くらいで飛び込めたけど、
さすがに10メートルは飛び込むまでに、数倍の勇気と時間を要した。
飛び込んだ後、見てる人曰く、
「(10メートルの時も飛び込むまでに)5秒はかかってなかったよ」と言われたけど、その時間も長く感じた。
空中にいる時間はわずか1.8秒と言われてるようだけど、10秒にも20秒にも感じる勢いだった。
当然、飛んでから着水まで体勢も維持することもできず、飛び込んでる間に力みまくり。
まぁ、無事に飛び込めて、
一応有言実行というか、すぐに出来たというコトにはなったけど、
『もう、やりたくない』というのが正直な感想。
ただ、水面に上がった時は知らないギャラリーからも拍手を送られたのは若干嬉しかった。
・・・
ところが、ダメ押しとばかりに、
「じゃぁ、もう1回いこうか」
と
『・・・えっマジかよ』
と声に上げたくなるほどの心の声。
渋々とというか、泣きたくなるほどの恐怖感と戦いながら再び10メートルの飛び込み台へ・・・。
そのわずか1日で、3度目の足のすくみを体験、
ちっともその10メートルの高さに慣れることもなく、1回目よりも倍増された恐怖と共に飛び込んだ。
例によって、水面に上がり拍手を浴びた。
そして
「もう気が済んだ」と声をかけられた。
・・・
・・・
最初に偵察した段階で気が済んでたんだけど・・・。
・・・
『もう嫌だ』
とは言えなかったが、心の声はその一言だった。
・・・
どうにかこうにか、有言実行という形で終われたが、
『充てのない強がりは言わない方がいいな』、とつくづく思う。
そして、芸人が10メートルの飛び込み台で長い時間デキナイと足をすくませてる心境は痛いほどよく分かった。