重力奏法で弾く!ショパン、バラード1番!演奏解説vol.1 | 「Rain」~私の頭の中の専門書~

「Rain」~私の頭の中の専門書~

東京で活動する、ピアノ&作曲家、Mario IwaiのWebコラム
ショパンをはじめ、ピアノの重力奏法の解説や、作曲の解説、
音楽ネタや、ピアノ奏法などについて、
mario独自の視点で、解説していくコラムです!
ピアノの教材販売、レッスンも絶賛受付中!






※2016年8月23日、新たに再録したもの動画を追加しました。(上の動画)


はい、marioです!

いよいよ、ショパンのバラード1番、演奏解説に入っていきたいと思います!

むしろ、大変お待たせいたしました、

と言うべきでしょうかね。笑

ショパンについては、このコラムの本丸の一つですので。




重力奏法で弾く!と題しておりますが、

ショパンの音色を出す時に、

どうしても重力奏法が必要不可欠になってきますので、

その全て、ではないですが、

重力奏法のエッセンス、演奏に必要になる部分の解説ですね、

それからペダルの解説、身体の使い方の解説など、

楽譜に書かれてあることについては、もちろんですが、

楽譜以外の要素、についても、

多彩に、織り交ぜて解説していきたいと思います!



また、あらかじめアナウンスしておきますが、

このシリーズは、非常に長丁場の連載になると思います。

少なくとも、今までのシリーズの中では、最長になる予定です。

何回になるかはわかりませんが。。。

皆さん、気長にお付き合いください!




それでは、第一回目!参りたいと思います。

本日は、まず楽曲の解説に行く前に、



私にとって、

ショパンのバラード1番とは、どういう位置づけなのか、

どういったスタンスで、この曲を演奏しているのか、

私が、この曲についてどう思っているのか、

そのことについて、お話したいと思います。



私がこの曲を弾いたのは、約10年ぶりくらいなのですが、

この曲、

年齢的には、高校生くらいですかね、

指の動きが達者な方であれば、十分に弾ける曲ではあります。

現に、私が最初にこの曲を弾いたのは、

高校1年生の時でした。



しかし、私にとって、このバラード1番は、

少なくとも、バラード4つ合わせた中では、

最も難しい、最高難度だと思っています。

あくまで、私の中の位置づけでは、ですが。



もちろん、

ピアニストとしての感性や、センスを問われる、

という意味では、

バラード4番に分があるように思います。

2番もテクニック的に簡単ではないですし、

3番も、アレグレットという微妙な速さを維持して弾く、

という難しさはあります。

得手不得手の問題もありますので、

難易度に関しては、一概に言えないところもありますが。



バラード1番に関して、

純粋に、「ピアニストとしてのテクニックを問われる」個所がある。

という意味で、

私は、最も難しいと思っています。

しかも、展開部(の後半部分)とラストのコーダの2か所に

その難関が、配置されています。



中でも、

ラストのコーダの技巧的な部分においては、

少なくとも、バラード4つの全ての個所合わせても、

ここが最難関でしょう。



ここで、疑問に思うかもしれません。



あれ?でも高校生でも弾けるんだよね??

そう、高校生でも、この曲は弾けます。



実は、バラード1番が難しくなる条件!というのがあります。

4つのバラードの中で、最高難度になる条件、

それが、「スピードを上げて弾く!」

ということです。



非常に単純な回答で、驚かれたでしょうか。

これについては、後ほど詳しく説明しますが、



一流のピアニストが弾く、バラード1番を聴くとよくわかりますが、

基本的に、この展開部の後半部分と、ラストのコーダの部分、

非常に、スピード上げて弾いているのが目立ちます。

特に、ラストのコーダに関しては、

音が割れるの(ミス)を覚悟してでも、

スピードを優先している録音も、あるくらいです。

ライブ録音では、ほぼ音割れしていると言って良いです。

逆に言いますと、

「それだけ、スピードを上げて弾く価値がある!」

そういう場面だ、ということです。




それでは、先ほどの話に戻りますが、

スピードを上げることによる、難易度の高騰について、



普通、超絶技巧と言えば、

ゆっくり弾いたところで、難しいものは難しい!

そういう作りになっています。

リストのラ・カンパネラやメフィストワルツなど、

ゆっくり弾いたところで、最高2オクターブの跳躍は免れませんし、

ラフマニノフ、プロコフィエフなど、

指が届かないものは、届かないです。

ゆっくり弾いたところで、さして難易度が変わらないのが、

一般的な超絶技巧曲の特徴です。

つまり、技巧で弾く人をふるいにかけているわけです。

弾けない人は弾けない、弾く人を選ぶ曲なのです。



ですが、ショパンは違います。

ショパンも厳密には、音色的に弾く人を選んでしまう、

ある意味での、残酷さはありますが、

(※ですので、このコラムを読んでいただいている皆さんが、

ショパンの音色を出せるように!私が今後、徹底解説させていただきます!)



こと、テクニックに関してはそうではありません。

エチュードを見れば、一目瞭然ですが、

手が小さくてもトライできますよね?

多少テンポを落とすなど、工夫すれば、

十分、挑戦しよう!と思える難易度になっているはずです。



これは、

ショパン自身、手が大きくなかったのでは?

とされているのが一つ、

また彼が、非常に内面的な部分を重視して、

曲を書いているせいでもあります。

この話をし始めてしまうと、また長くなってしまうので、

本日は、割愛させていただきます。

また別の機会に、少しずつお話できれば!と思います。



つまり、

テクニック的には弾く人を選ばない。

バラード1番に関しても、

ある程度、スピードを落として弾けば、

十分、年齢が若くても挑戦できる!ということです。

ただし、「一流」「一級品」を目指そうとすると、

おそらく、4つのバラードの中で、最も難しい曲ですよ!

ということです。




私が、スピードにこだわる理由は、もう一つあります!

それは、楽譜にそう書かれているから!

です。




書かれている譜面自体も、私はそういった感じがするのですが、

それ以上にですね、

速度の変化をもらたす「指示の数」です!



ざっと挙げてみましょうか?



agitato、sempre piu mosso、piu animato、piu vivo、scherzando、

leggiermente、appassionato、Presto con fuoco、accelerando、



この中には、純粋な速度に関するものではない、

「発想」を表すものも含まれていますが、

しかし、

前の部分よりも、ここからギアチェンジしてほしい!

ギアを一つ上げて演奏してほしい!

という意味では、共通しています。



ゆっくりなところから、速くなる。

静かな部分から、激しくなる。

より活き活きと演奏する。

など、

ギアを上げてほしい!という用語が、

約8分30秒という曲の中に、これだけ、

しかも表現を変えて、散りばめられている。

というのは、非常に珍しいことです。



私が、スピードにこだわる理由はここにあります。

ショパン自身が、ある程度、スピードありきでこの曲を書いた、

という、判断材料の一つになるのではないか、

と、私は考えています。

(※もちろん、変化する!ということは、

その前はよりゆっくり、もしくは、より静かに弾いている、

ということでもありますが。)



ただし、

速く弾ければそれで良い!ということでは、

もちろんありません。

それは大前提として、おさえておいてください。

特に、練習のときは、ゆっくり練習しましょう!

何よりも、

速さより、その繊細な表現を優先するべきだからです。

その表現ができてこそ!のスピードです。

それを忘れてはいけませんね!



本日は、私のこの曲に対するスタンス、

ショパン、バラード1番に対してどう思っているか

どう捉えて、どう考えて演奏しているのか、

というお話でした!



次回から、本格的に中身の話になりますので、

できれば、私が使って演奏している、パデレフスキ版の楽譜をお手元に、

ご覧いただければ嬉しいですが、

それ以外の版の楽譜でも、大丈夫です!

↓次の記事はこちらのリンクから!

重力奏法で弾く!ショパン、バラード1番!演奏解説vol.2

重力奏法(ロシアン奏法)に興味のある方、レッスンを受けてみたい方、募集中!


詳細は↓こちら!

ロシア奏法をマスターしよう!


ピアノレッスンや練習についてのご相談、お問い合わせはコチラから!

お問い合わせ





非常に細かく!解説してまいりますので、

お楽しみに!!!