昨年4月、ブログに引用した記事、再掲する。

 

『日本銀行の黒田東彦総裁は16日の衆院財務金融委員会で、異次元緩和の一環として実施している指数連動型上場投資信託(ETF)の購入について、「株価安定のために実施している」と言い間違え、直ちに「物価目標の実現のため」として訂正する一幕があった。株価には影響はなかった。

  日銀のETF購入が及ぼす副作用を追及した共産党の宮本徹氏に対し、黒田総裁は「日銀は物価の安定という使命を果たすため、その時々の経済、物価情勢などに応じて必要な施策を実施している。その際にはあらかじめ特定の手段を排除することなく、ベネフィットとコストを比較考慮した上で最適な手段を選択してきている」と答弁した。

 その上で、「株式に限らず、中央銀行の資産買い入れについては、資産価格に影響を及ぼし得ることについてさまざまな意見があることは承知している。ETF買い入れは株価安定の目標を実現するために必要な措置の一つとして自らの判断で実施している」と説明。その直後の答弁で「ETFの買い入れは物価安定の目標を実現するための措置として行っているものであり、株価の安定の目標ということではない。先ほどちょっと発言の誤りがあったので訂正する」と述べた。』

 

 日銀による株式(ETF)買入は株価安定のためではなく、物価安定のためだそうだ。

 そうそう、中央銀行が株価安定のために株式市場に介入するなどあり得ない。あくまで物価安定のためですよ、というのが建前であり原則だったはずだ。

 

 建前も原則も踏みにじり始めた。

 

 https://this.kiji.is/610058557437641825

日銀、ETF購入枠拡大を検討

 日銀が金融緩和で設けている上場投資信託(ETF)の購入枠を、現行の年間約6兆円から拡大する案を検討していることが10日、分かった。新型コロナウイルス感染症の広がりで株価が下落基調にあり、市場の安定を図る狙い。

 

 これまでも年間6兆円、累計で30兆円を超えていると推測される。これをさらに増額するとのこと。今週月曜日は1千億円余りも買ったらしい。

 https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2020-03-02/Q6JYFGDWRGG601

 日本銀行は2日の東京株式市場で指数連動型上場投資信託(ETF)を1014億円買い入れたと公表した。1回の買い入れ額としては2016年12月の754億円を上回り、過去最大。新型コロナウイルスの感染拡大による金融市場の不安定化を受け、黒田東彦総裁が同日午前の緊急談話で表明した「潤沢な資金供給と金融市場の安定確保」を株式市場でも実践した格好だ。

 

 取得簿価が19500円で累計30兆円保有なら、10%下落の17550円になれば3兆円の含み損ということになる。

 昨年9月末の決算では、日銀の純資産は4兆1735億円となっている。

 日経平均株価が16000円台に下落すれば、この純資産が吹き飛ぶことになる。

 そうなってはならないから、なりふりかまわずにETFを買いまくるということだそうだ。

 

 日経平均株価は1989年末に約38900円の高値をつけ、90年、91年、92年の夏頃まで下落が続いた。92年にひとまず底を打った株価は1万4~5千円ほどであったか。

 2007年の高値は1万8千円台であった。翌年のリーマンショック後、10月に7千円台まで下落してしまった。

 上記の株価(数字)に多少のずれはあるかもしれないが、平均株価が1~2年で半分以下の4割程度にまで暴落した歴史は、平成以降2回あるのは間違いない。

 1万5千円とか1万2千円という日経平均株価も、平成以降によく聞いた数値である。

 

 暴落が怖いからこそ、大量買いを続けるか。

 終わりなきチキンゲーム、結末はいかに?