今日は、ウランバートルのあちこちで、モンゴルの民族衣装「デール」を着て闊歩する人たちが目立ちました。

先日ご紹介したように、モンゴル伝統の民謡唱法「ホーミー」が中国の「無形文化遺産」として「世界遺産」に「抜け駆け登録申請」をされていることから、モンゴル国、かなり躍起になっております。

2009年だけでも、申請は、「ビエルゲー」という西部モンゴルの部族の伝統舞踊や、「トーリ」英雄伝説の語り部、「ツォール」笛の一種。鼻息で音を出しつつホーミーと一緒に同時演奏もできちゃう変わった楽器、も「継承危機」ということで申請されております。

中国領土内のモンゴル民族の人口は、実は独立国家であるモンゴル国よりも多いのです。
数だけでいえば、そして中国の中でも、「少数民族」といいつつも非漢民族の中では最大の部族構成であるモンゴルを、自らの固有の文化としてとらえる、というのは中国としては「当然の主張」なのやもしれません。

新疆ウイグル自治区のウイグル族の伝統文化も「中国」として世界遺産登録してますしね。


でもって、「デール」ですが、今現在のデールは、ごく最近になって簡素化してるタイプなんですね。チャイナドレスやアオザイ的なたて襟で、右肩あたりと脇の下、右腿あたりでボタン止めをするタイプ。そしてブスといわれるベルトや3-4mほどの布をぐるぐると時計回りに巻きつけます。

フリーサイズというか、直裁ちで誰でも似合うシンプルなデザインと華やかな生地で私もお気に入りです。

でも、本来は、女性はブスをしなかったんですよね。特に既婚になると。女性のことをモンゴル語で「ブスグイ」という言い方もしますが、これは「ブス(帯)がない」という意味なのです。

西部地方や東北部の部族の人たちの間でも最近、一時期は廃れていた華やかで部族ごとの独特のデザインの「デール」や帽子を着用する人たちが増えてきています。実生活では動きにくそう・・・と思うこともありますが、多民族国家モンゴル帝国が、それぞれの部族や民族のアイデンティティを認めてきたことや、自分たちでも意識的に守り続けてきたことがうかがえて素敵です。

社会主義時代は、地方は別としてウランバートルではデールを着る習慣は廃れつつあったのだそうです。それどころか、ツァガンサルもほとんど祝うことはなく、ロシア人と一緒にヨールカ(新年)を祝うくらいだったとか。
80年ほどの間でやや下火だったものが、民主化のときに民族主義として、「モンゴル人のアイデンティティ」を模索し、様々な伝統が見直され、復活したのと同様、「ホーミー」騒動で、さらにモンゴル人の「モンゴル民族の独立国」としての自意識が燃え盛っている印象があります。

私はてっきり、2並びの日を毎年、「デールデイ」にするのかと思ってたのですが、どうやら、ツァガンサルの元旦から数えて8日目、「シニンナイム」(陰暦春の最初の月の8日)が「デールデー」になるそうです。

民族衣装のデールを着て来館した人は、博物館や美術館など国立の文化教育機関の入場料が割引になる特典サービスがあったようです。

私も昔は、毎年のようにデールを新調していたのですが、ここ7年ほどは、ずっと同じ青い絹のデールを使い続けてきました。

そろそろちょっと個性的なデールを作ってみようかな・・・

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