お兄ちゃん猫、七回忌 | 桃千代日記

桃千代日記

日常のこと、飼っている三匹の猫のことなど、
気まぐれに書いていこうと思います。

 


 
ご無沙汰しております。初夏にブログを更新してから、もうすっかり季節も変わり、秋真っ盛りですね。
私たちは、おかげさまで元気にしております。
皆様は、いかがお過ごしでしょうか。

さて、11月5日は、我が家の大切な先住猫、「お兄ちゃん猫」こと、グレースの命日でした。
6回目の命日である今年は、ちょうど、人間で言う7回忌に当たるのですね。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


私は、お兄ちゃん猫の命日には、毎年、新潟にある「長福寺」というお寺に、写真と、
私が書いたお兄ちゃん猫への手紙を添えて送り、供養をお願いしていました。
こちらのお寺は、「ペット霊園ソウルメイト」というペット霊園でもあり、とても動物たちのことを
真摯に考えてくださるお坊様が、人間だけでなく、ペットたちのためにもお経をあげて
供養をしてくださるところなのですね。
このお坊様…横田晴正さんは、ペットロスのカウンセラーでもあり、私も毎年、写真での供養をお願いするたびに、私自身にも心に染みるお言葉をいただいてきました。
お兄ちゃん猫がなくなって間もない混乱した時期…クリスを迎えて、お兄ちゃん猫の猫生が若い猫たちに受け継がれてゆくのを感じた時期…お兄ちゃん猫の存在が、私自身の中にしっかりと根付いて一心同体になったと感じた時期…それぞれの時間を、この命日という区切りの日に供養していただくことによって、ひとつひとつ確認しながら歩いてきたような気がします。

そして、今年も、写真と手紙を送って供養をお願いしようとしたところ、偶然、命日の前日に横田さんが関西に来られるとのことで、なんと自宅での供養をお願いできることになったのです。
ちょうど7回忌の節目にあたることもあり、本当にありがたかったです。
(お願いすれば自宅供養にもいらしてくれることは知っていたけど、あまりに遠いから諦めていたんですよね)

そんなわけで、11月4日、お兄ちゃん猫の我が家での供養が叶ったのでした。
平日だったけど、夫も仕事の合間にかけつけて、クロ、クリス、ミルクもちゃんと一緒にお経を聴きました。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


その日、窓から見える桜並木は、お兄ちゃん猫と最後に眺めたのと同じように紅葉していて、
お兄ちゃん猫が寝ていたソファ、お兄ちゃん猫が好きだったマット、お兄ちゃん猫がじゃれていた観葉植物があるリビングで、
お兄ちゃん猫は、本当に本当に丁寧に、心のこもった供養をしていただきました。
その日のお経は、お兄ちゃん猫と、それにつながる私たちへの慈愛がこめられた意味深いお経で、後でひとつひとつ説明をしていただいて、胸がいっぱいになりました。
仏教というもの、お経というものは、ずっとずっと昔からあるのもので、それには先人達の
「生きるもの」への深い愛情と慈しみがこめられているものなのだと、改めて知ったような気がします。
供養の後も、横田さんはたくさんお話をしてくださって、その日のうちに東京のご実家に戻らなくてはいけないと聞いていたのに、お時間を取らせて申し訳なかったです。(東京に着いたのは、夜中だっただろうなぁ…)
でも、お兄ちゃん猫の思い出がいっぱい残っている我が家で、供養していただいて、
弟分、妹分の猫達も撫でていただいて、お兄ちゃん猫の話をたくさんできたこと…なんだか、
お兄ちゃん猫の思い出がまたひとつ増えたようで、とても嬉しかったです。

クロはお兄ちゃん猫に育ててもらった弟分だし、クリスはお兄ちゃん猫がなくなって、命の期限がつけられた子を迎えることが供養になると思って迎えた猫だし、ミルクもきっとお兄ちゃん猫が縁をつないでくれて来た子だと思うのです。
振り返ってみると、私たち家族のすべてが、お兄ちゃん猫とどこか繋がっているのですね。
そんな家族みんながそろって、お兄ちゃん猫の7回忌が出来たこと…まだ、私の中で
うまく整理がつかなくて言葉にできないのですが、とても大きな出来事だったのだと思います。
供養をする、というのは、言葉で言うと簡単だし、ある意味儀礼的にも見えることですが、
残された者たちにとっては様々な意味があるものなんでしょうね。
法事の後、思い出がいっぱい胸によぎって、命のことや、どうしても寿命が違う小さな家族と共に暮らすことの意味、出会った縁のことなど…いろいろ考えすぎて、命日の夜には、なんだか熱が出てしまった私でした(笑)。



そして、法事の翌日の命日には、缶詰やカリカリのお供えに加えて、お兄ちゃん猫の大好きなササミと鮎を焼いて供え、お下がりを弟妹猫たちがいただきましたよ。
(ついでに、人間の夕食も、ササミとみょうがの胡麻和えに、焼き鮎になったりして(笑))

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


       クリス 「ぼく、愛護センターにいた頃から、ずっと優しい猫さんに見守られている
            気がしてるのよ…」



       お兄ちゃん猫が、優しく居場所を譲ってくれたんだものね。

       まるで、「赤ベコ」みたいなポーズで、くつろいでいるクリスです(笑)。

       法事の時はちょっと緊張していたけど、それでも気になるようで遠くからじっと
       お経をあげる横田さんを見ていました。
       お坊様に撫でていただいたのだから、ご利益あると思うよ。

       

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


        ミルク 「昨日から、綺麗なお花が飾ってあるわ。素敵ね」




        ミルクは、法事の時も、いつも通りの「強気なおてんば娘」でした。

        ある意味、平常運転というべきか…ウーウー文句を言っていましたが、
        優しく許していただけて良かったです…。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


       ミルク 「そして、美味しそうなご馳走もあるのよね…こんなに可愛い妹ですもの、
            少しくらいいただいても、きっとお兄さんは許してくれると思うの」



           まったくもって、いつものミルク。平常運転です。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


     ミルク 「ええ、許してくれると思うの。こーーーんなに可愛い妹のすることですもの!」



          両手までかけた~! この平常運転おてんば娘め~!

          この後、もちろん、ひっぺがしました(笑)。







      さて、みんなでご馳走を食べて、賑やかだった命日の夜。

      夫が、クリスとミルクを二階に連れて行って寝かせてくれて、私はクロと二人、
      リビングに残りました。

      ろうそくに火をつけ、改めてお線香をたいて、お兄ちゃん猫にそなえます。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


       その時、クロはいつになく大人しく、お兄ちゃん猫の祭壇の近くの椅子に乗り、

       じっと写真を見つめていました。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


       実のところ、クロは、法事の時も、ずいぶん神妙な顔をしていたのです。

       お客さんが苦手で、誰かが家に来ると、ずーっと「ガオーーー、ガオーーー」と
       大声で鳴き続けるのが常なのに、法事の時は、最初に少し鳴いただけ。

       お経があがっている時は、これは夫も同じことを言っていたのですが、
       クロはじっとお経を聞いていたのです。


       今いる3匹の中で、お兄ちゃん猫と暮らしたことがあるのはクロだけ。

       子猫の時に我が家に来て、大きくなるまでお兄ちゃん猫に育ててもらった
       クロなのです。

       お兄ちゃん猫の写真を見つめて、この時、いろいろなことを思い出して
       いたのでしょうか…。



                  …まぁ、思い出といっても、

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


 

        お兄ちゃん猫が優しいのをいいことに、ガブガブ、ケリケリした思い出とか。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


               尻尾をガブガブした思い出とか。

               子猫の頃は、そんなことばっかりしてましたからね(笑)。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


               でも、すぐに、お兄ちゃん猫より大きく育ったんだよね。


               それでもお兄ちゃんには、頭が上がらなかったっけ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


                お兄ちゃんは、優しくて、あったかくて、大きかったね。





          実は、最近、我が家の猫達にもいろいろなことがありました。

          まずはクリスが、夏に受けたエコー検査の結果、腎臓が悪くなりつつ
          あることが分かりました。

          年齢的な慢性腎不全ではなく、おそらく生まれつきか、家系的に腎臓が
          弱かったのだろうと言われています。

          今はまだ、尿検査、血液検査でも出てこないくらいの初期で、
          エコー検査を受けておいて良かったのですが、
          これから少しでも腎臓を長持ちさせられるように、気を配ってあげなくては
          いけません。

          でも…そういう体質の子だったのなら、なおさら、私たちが引き取って
          良かったと思うのです。



          

          そして、クロは、少し前の検査で、甲状腺の数値が上がっていることが
          分かりました。

          こちらもまだ、薬や治療が必要な段階ではありません。

          ただ、甲状腺機能亢進症であれば、お兄ちゃん猫と同じ病気です。
          お兄ちゃん猫は発見が遅れましたが、その失敗から、クロには毎年、
          甲状腺の検査も受けさせていました。

          それで早期発見できたのなら…それは、お兄ちゃん猫のおかげです。

          お兄ちゃん猫の頃にはなかった治療食や薬もあります。

          


          お兄ちゃん猫を見送った時、私は心身ともにかなりのダメージを受けました。

          寿命が人間よりも短い猫と、また一緒に暮らすことが怖い…そういう気持ちも
          なかったわけではありません。

          でも、お兄ちゃん猫は、最後まで、私を心から信じて、全てをゆだねて
          くれていました。

          私がすることは安心して受け入れ、信頼した目をして私を見つめて
          くれました。

          生まれてすぐに兄弟たちと箱に入れられて捨てられ、冷たい雨に
          打たれて他の子たちはみんななくなった後、ひとり生き残った
          お兄ちゃん猫。

      「人間と一緒に暮らして、私は生き延びて、長生きして暮らしたのですよ」

          …そう言ってくれていたのだと、そう思うのです。

          今の世界は人間の世界で、猫が野生としてのびのびと生きられる
          だけの自然は、少なくとも日本にはほとんどないでしょう。

          だったら、いつか悲しい思いをすることが分かっていても、
          どんなに胸が引き裂かれそうな気持ちになるか分かっていたとしても、

          それは我慢しよう。耐えられなくても、耐えよう。そう私は思いました。

          時間は過ぎてゆくもので、後戻りはしないから、我が家の猫達も年を取るし、
          体調も変わることもあるでしょう。

          それでもやっぱり、家族として、守り守られて、安心して暮らしてほしい…
          今は、そう思います。

          そんなことを思わせてくれたのはお兄ちゃん猫だから、だから、やっぱり。



          クロとクリスとミルクは、お兄ちゃん猫の弟と、妹なのです。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


          長い記事になりました。最後まで読んでくださった方には、感謝します。


                 ありがとうございました。




2019.8月 追記・あれからクロは定期的に検査を受け、甲状腺の数値は安定していて、

          甲状腺機能亢進症ではないことが分かりました。

          クリスもおかげさまで、腎臓の数値は基準値を超えていないようです。

          ご心配おかけしました。