こんにちは。
もものマークのクリニック 院長てしまです
小範囲のやけどならとりあえずハイドロコロイド貼っとけ！
と、前回の湿潤治療講座記事でお伝えしました。
実際のところ、別に私がわざわざ言わんでも
情報量の豊富な昨今の人びと
やけどや擦り傷には
キズパワーパッド®︎がイイらしい！
と聞いて、ご自分で貼られている方も多いかと。
これこれ。ちなみにこちらは「水仕事用」
ちなみにキズパワーパッドはJohnson & Johnson社のハイドロコロイド製品のシリーズです。
あまりにも一般的に有名で、患者さんが自分で貼ってくるハイドロコロイドの9割以上はこれです。なので、ここでは敢えて商品名で記載。
ただし
こういうパターン、経験ありませんか？
水ぶくれのできていない
（もしくは小さな水ぶくれだけの）
やけどにキズパワーパッドを貼ってみた。
2日くらいして剥がしてみたら
キズパワーパッドと一緒に薄皮がペロンと取れちゃって！！
慌ててまたキズパワーパッドを貼ったけれど
今度は汁がたくさん出るようなって、もうひどいことに
私の使い方がいけなかったんでしょうか？？
驚きますよね、すごく。
でもこれ
ご本人が悪いわけでも
キズパワーパッドが悪いわけでも
ついでに言うなら
やけどが悪化したわけでも無いのです。
このようなやけどの程度は、おそらく
2度熱傷
というレベルだったのだろうとお察しします。
皮膚は、大きく分けると表面から順に
表皮ー真皮ー皮下組織
という構造になっています。
2度熱傷はこの
真皮
までダメージを受けた状態です。
ダメージを受けた表皮と真皮の一部は浮き上がり、下には液体がたまります。
程度が軽ければ、液体はうっすらとたまるだけなので、赤みがあるくらいで見た目は平坦です。
そこそこ程度が重いと、液体もたっぷり出てきていわゆる
水ぶくれ
になります。
ここに、キズパワーパッドを貼るとどうなるか。
水ぶくれの表面に水分はありませんから
キズパワーパッドの粘着面に密着します。それはもう見事にぴたーっ、と。
水分もほとんど出てこないので、キズパワーパッドは全くと言っていいほど
ふやけて白くなってはきません。
これを、1、2日で剥がすとどうなるか。
水ぶくれの膜が、キズパワーパッドにくっついて
持っていかれます
この日数だとさすがにまだ表皮は修復されきっていないので
いなばの白うさぎ状態でヒリヒリヒリ
そこに、新たなキズパワーパッドを貼ると
今度は水ぶくれの無くなったやけど表面からどんどん汁が出るので
それまでとは一転、
キズパワーパッドがふやけまくります。
そして、キズパワーパッドとやけどの間にたまった汁は
成分が融け出て薄黄色く濁っているのがデフォなので
膿が出た！！！前よりひどくなった！！
と、勘違いしてしまうわけです。
どうでしょう？
こんなこと、今までありませんでしたか？
やけどの仕組みと
キズパワーパッドの特長
それを知っていればなーんにも心配することないのです。
でもでもでも
薄皮ペローン
は耐えられない！！
は耐えられない！！と、おっしゃる繊細な方には
裏ワザを紹介して進ぜましょう。
それは
貼ったまま最低1週間放置。
なぜならば
たいていの浅いやけどは1週間しっかり密閉状態を保てば
水ぶくれの下で表皮が再生しちゃうから。
この段階で水ぶくれの膜がペローンと取れても
痛くなーい
たーだーし
貼っているところに
痛い！
痒い！
というトラブルが発生した場合
貼りっぱなしは即刻中止
接触皮膚炎（←アレルギー体質の人に多し）
あせも（←代謝の良いこども、汗っかきさんに多し）
感染などの
異常事態の可能性があります。
困ったら、やけどの湿潤治療に慣れた医師を受診するのがオススメです。
慣れていないと
「消毒もしないでわけのわからんモン貼って！
」
」と頭ごなしに否定される可能性も、あるっちゃあるので。
こちらのリストなど、参考にして下さいねー。