1.「埋蔵電力の嘘」 | moltoke_Rumia1pのブログ

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ツイッタ―の経済クラスタの記録。
140字で入りきらない分の考察やら感想、予測などの置場。
それでも今日、リンゴの苗を植えていこうの精神で色々と書いていきます。

とある場所、とある話 特別編 序章 の続きです。


1.「埋蔵電力の嘘」

職人X
「まず、電力が足りているという話だね。これは確かに今は賄えているけど

継続して賄えるのかという点で間違いだね。これは鳩山政権のCO2問題で

解説した時にも言ったことだけど、現代社会において電気エネルギーを

利用した社会インフラの広がりが大きくて安易に削れないところを震災後

の夏など「各企業の努力」と「各家庭の協力」で乗り切った。これは良いかな?」

香織
「確かに賄えたが、かなり厳しかったと思うな」

「だよね。ダメージを受けた発電所の復旧とかが無かったら、どうなってたか

わからなかったよ」

猫車
「だけど、最近になって火力発電もトラブルが起きてるし原子力はあちこちで

稼働が定期検査で止まるのに再稼働はしてないでしょ?これからが怖いよね」

職人X
「その通り、火力発電もメンテナンスの時期をずらしたり、古い廃止か休止し

ている発電所を再稼働して何とかやりくりしたとしても足りない事はあり得る

んだ。


必ず稼働時間事にメンテナンスや点検などが必要で、これを先伸ばしたり

し続けて永遠に稼働なんて無理だからね。非常用のガスタービンで、官公庁

や通信施設、データセンターや病院に導入されている物だと累積稼働時間

で1000時間を目安に交換入れ替えしてオーバーホールされる。


これは常用型の発電で利用される物と比べて軸受けやベアリングの

耐久性限界が低いからなんだ。もちろん、常用型だってメンテしないと

壊れるけど稼働時間が格段に長いんだよ。この点について良い記事がある。http://www.nikkei.com/tech/trend/article/g=96958A9C93819499E3E7E2E0958DE3E7E2E6E0E2E3E3E2E2E2E2E2E2;p=9694E2E4E2E6E0E2E3E3E2E4E7E0


猫車
「1000時間って短いよね?これだと「埋蔵電力」とかで利用できるって言っても

常には無理じゃないの。それに整備済みと入れ替えてオーバーホールなんて

金額は高くなるよね?」


職人X
「高くつくし、何度も言うけどこれはあくまでも非常用。そして、基本的にみんな

忘れているんだけど「埋蔵電力」なんて言ってた人は外部の電力供給網に

提供するための送電配線を持っていない事をまるで口にしないんだ。


そして、この送電を含めた制御などに対応してない。あくまでも非常用なんだ

からね。こういった自家発電装置についてはちゃんと法令がある。


そして法令によれば、電源には「常用電源」、「予備電源」「緊急時電源」が

あり、これらひっくるめて自家発電と今言われている。しかし、売電などで

可能でありなおかつ配線があるのは「常用電源」のみとされているんだ」


「ちゃんと色々取り決めあるんだね。あれ?もしかしたら燃料も保管とか

管理で法令とかに則ってないと駄目だよね?ガソリンで消防法の注意書き

をよく見かけるよ」

職人X
「消防法だけじゃなく様々な法令からの制約があるよ。詳細についてわかり

やすいのはこれだね。http://saijiki.sakura.ne.jp/denki9/hatsuden.html


「でも、緊急用も含めてこれらは火力発電ですよね?燃料の輸送や配送も

制限下にあるんじゃないですか?道路交通法での制限だったと思いますが」

職人X
「良い指摘だね。これは燃料類だから油脂類。そして危険物取り扱いに

関する法律と積載量、それから運行する道路も制限がついたはずだよ。

それにあちこちに燃料を運ぶとしてロジスティクスで大きな負担を背負うね。


海の上で洋上給油やるわけでもないし、建物は移動できないからね。

この手のタンクローリーの詳しいのはこれだよ。

http://www9.plala.or.jp/hiyotrio/newpage041.htm

香織
「ということは、「常用電源」である事と燃料保管施設などがきちんと

併設整備されてない限り「埋蔵電力」としてはまったくあり得ないと言う

事になる。

だが、こういった問題点の指摘は無かったと思うが、報道もしないとはね」

職人X
「ガスタービンに関しては実は興味深い物がある。アメリカの主力戦車、

M-1A1改良型から搭載されている電力専用補助動力搭載で、一日に

つき主動力ガスタービンだけに頼るのに比べて600リットルの燃料節約が

できている記事があるんだ。


M-1の総搭載燃料は、この改修型で1680リットル担いで走り回り350km

走れるとなっている。


電子機器の増加、それの保護のための空調の増設と増強で増えた

電力消費をUAAPUと呼ばれる小型ガスタービンと発電機の組み合わせ

でバッテリーへの電力を供給している。つまりガスタービンは小型でも

それだけ燃料消費する大食らいで、走り回るための主動力と発電用を

分離して賄って節約しているんだね。ここから、ロジスティクスの負担が

垣間見えるよ」


「あれ?でも、「埋蔵電力」を強引に進めるとしたら法令違反続出しかねない

よね?そのための改修や届け出の変更に時間かかるはずだし間に合って

たの?


下手すると病院の発電機とかまで強引に取り上げる事になりかねなかった

んじゃないの?」

職人X
「それは間に合わなかったと思うし、資金的に補助も無しで成立はしなかっ

ただろうね。


特例で法規に関して首相権限で発令したとして設備投資になるから一斉に

やっても間に合わないよ。それに節電での産業への足枷も怖いんだ。


例えば今自家発電とかで取り上げているガスタービン。これは、基本的に

ジェットエンジンの構造、それもターボシャフトエンジンの構造が使われて

いる。


他にもコンバインドサイクル発電もガスタービンだね。この場合は、燃焼した

後の排気からさらに熱回収して蒸気ボイラータービン発電に活用されている。

常用型だと船舶の主動力としても使われているよ。詳しくはこれだね。

http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%B8%E3%82%A7%E3%83%83%E3%83%88%E3%82%A8%E3%83%B3%E3%82%B8%E3%83%B3

女性陣
「「「「こんな構造になってるのが使われているんだ」」」」
職人X
「ガスタービンは基本的にジェットエンジンの構造が使われているから、

気温や湿度の影響も受けやすい。さらに、燃料だけで無く機械として作動

させる潤滑油の補充もある。こういった作動油やメンテナンスを怠れば、

稼働軸とかが焼き付いて止まったあげくに凄まじい力でねじ切れたりするんだよ」

猫車
「それって、ただじゃすまないよね?」
職人X
「船舶用とかも含めて保護カバーみたいな構造を取り付けて補強してあるけど、

ちぎれて破片が飛散する事はあるからね」

香織
「航空機が温度や湿度で出力に影響を受けるのと同じように、コンバインド

サイクル発電も受けかねないのか」


「ディーゼルエンジンなどを使っても、メンテナンスは必要でしょうし。

難しいですわね。蒸気ボイラー・タービンでも製造に資源と産業の力は

必要ですから、大変ですよね?


石炭もかつて煤煙など問題から脱硫装置など公害対策を施しているはずですし。

産業への負担や足枷になりませんか?」

職人X
「産業面での足枷というのも「高度な耐熱合金や金属部材を製造し、それを加工、

部品として利用可能な物に仕上げる」という部分で支障が出ないかという不安も

ある。なぜこのガスタービンを取り上げたのかというと、製造にまつわる加工機械

や刃物、それの稼働や製作に必要な電力はどうなるのか?といった疑問点が

出てくるからなんだ。例えばこれは日立金属なんだけど耐熱合金などでこういった

表がある。http://www.hitachi-metals.co.jp/pdf/cat/hy-b19-e.pdf

猫車
「え?こんなカタログあるの?あ、これ真空誘導溶解炉とかはもしかして電磁誘導

加熱なんじゃ?」


「えー!?これタービンディスクってガスタービンとかの羽を取り付けてる物なん

じゃないの?あれ?これ、取り付けの部分がなんにも無い。もしかしてこれ最初から

鋳造とかで溝を作ってないの?これだと、後から刻んでるんじゃ」


「それに高速の4000トンのプレス機なんかも電力を使いますよね。」
香織
「以前、鳩山政権の時にも聞いたが、自動車のフレームの溶接も含めて製品

へする上での加工の電力は考えさせられるな」

職人X
「そしてガスタービンエンジンなどの製造に欠かせない工具。タービンディスクの

製造に欠かせないブローチ加工の刃物と工作機械、これを製造している不二越

という会社は他にもベアリングに油圧機器、産業の基礎基板を支えてくれている

製造企業なんだ。そして資料も多少だけど公開してくれている。これがそうだね。

http://www.nachi-fujikoshi.co.jp/tec/pdf/15B4.pdf


「つまり、こういった大規模な地盤に支えられているのが発電所であり、私たちの

生活と言う事ですね?」

職人X
「そうだよ。火力発電であってもこういった腐食が発生する事に対しての技術蓄積

や、公害対策があって初めて大規模に建設運用する事ができる。http://www.justmystage.com/home/sabisabi/corrosion/special/karyoku.htm


そして、その部品や設備の集合体は簡単に魔法のポケットから出てくるわけじゃ

無い。作るのに多大な労力と時間が必要なんだ。そして冬の場合だと、電力の

ピークが夏とは違ってくる。


節電などで対応するにもその変動ピークを取り入れてうまくやるのもなかなか

大変なんだ。電車まで間引き運転されたとしても、バスとかはどうなるかな?

それだけの経済を動かす労働者の移動手段が制限される。


ロジスティクスだけで無く、社会そのものの停滞を産みかねないんだね。

それに震災からの復興に必要な生産などもどうなるかだね」



(=д=)ノ 第一章はここまで

2.「発送電分離の不可能な理由と原子力発電が不可分の歴史」

に続きます。



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