西宮「夙川・短歌と花」その345
  in Shukugawa Nishinomiya city
  tanka and flowers

「 蛇の目エリカ・風景 」(2)
 Erica canaliculata a landscape
 
❇〈 エリカの花と文学 〉
冬の花エリカは・・・。
風の吹きすさぶ荒野に生い茂るエリカとその荒涼と した風景は、スコットランドやイングランドを代表する景色のひとつです。
それらは『嵐が丘』(1847年、エミリー・ブロンテ著)や
『秘密の花園』(1911年、フランシス・ホジソン・バーネット著)などの文学作品にも登場して人々の郷愁を誘い、作品に独特の世界観をあたえています。

学名:Erica spp.
 英名:Heath
 和名:エリカ
 別名:ヒース
 ( エリカ属を主とした草原 )
 ブライダルヒース
 エリカ・バウエラ:Erica bauera
 クロシベエリカ(黒蘂エリカ)
 ジャノメエリカ(蛇の目エリカ)
 エリカ・ヒエマリス(Erica.× hiemalis)
 エリカ・クリスマスパレード
 花色:ピンク、白、赤、紫、オレンジ、
    黄など。
 科・属名:ツツジ科エリカ属
 原産地:南アフリカ、ヨーロッパ、
     地中海沿岸
 旬の季節:冬
 開花時期:11月~6月
 出回り時期:11月~6月
 花持ち期間:10日程度

❇ エリカ全般の花言葉:Language of flowers
 「孤独」solitude
 「寂しさ」forlornness
 「博愛」philanthropy
 「良い言葉」Nice words

💠 花言葉の・・・「孤独」「寂しさ」は風の吹きすさぶ荒野に自生するエリカの姿からつけられました 。



☀ 「詩を詠む」compose a poem

🌼 春の情景を詠んだ詩です。

❇ [ 題名 ] Pippa's Song ( ピパの歌 )
         [ 作者:Robert Browning ]
         ( ロバート・ブラウニング )

 『 春の朝 』

  年は春
  時は朝
  朝は七時
  丘の斜面には真珠の露がおり
  ひばりは空に舞い
  かたつむりはサンザシに這う
  神は天に在り
  この世はすべてよし!

  The year's at the spring,
  The day's at the morn;
  Morning's at seven;
  The hillside's dew pearled;
  The lark's on the wing;
  The snail's on the thorn;
  God's in His heaven,
  All's right with the world!

❇ロバート・ブラウニングは、
イギリスの詩人。1812年~1889年。
サンザシとは、中国原産のバラ科の植物。日本のカマツカという植物の近縁種で花も、実もよくにている。原文は、単にthorn であって、トゲ、またはとげを持つ植物を意味する。hawthorn は、サンザシ。
ここでブラウニングは、単にとげのある植物、茨を指して言っているだけかも知れないし、hawthorn の略として使っている可能性もある。
上田敏は、トゲという意味を無視して単に「枝」と訳している。
(劇詩『ピパ、過ぎゆく』221行以下(1841年)
この劇詩は、イタリア北部の町で、製糸工場の女工として働く少女ピパの物語でここに引用されたのは、その中に出てくる詩。
ここに引用したのは、松本侑子訳。
なお、 year's、day's などは、 year is、day is の短縮形。

❇ ー 花名の由来 ー

ヨーロッパではエリカが荒野に多く自生するため、イギリスでは「荒野」を意味するヒース(Heath)、同じくドイツではハイデ(Heide)と呼ばれています。属名のエリカ(Erica)は、ホウキを意味するラテン語のエリック(eric)が語源で、以前はエリカ属であったカルーナの枝でホウキをつくったことに由来するとみられています。

❇ ー エリカの種類 ー

エリカ属には700種以上の野生種(大部分は南アフリカ原産)があり、多くの園芸品種もつくりだされています。日本には大正時代に多くの種類が持ち込まれましたが、定着したのはジャノメエリカなどほんの数種です。

❇ ー ジャノメエリカ ー
ジャノメエリカ(蛇の目エリカ)の花名は、花の口元からおしべの黒い葯(花粉袋)がのぞいており、蛇の目模様のように見えることに由来します。

❇ー スズランエリカ -
花名は、花がスズランに似ていることに由来します。