酔いどれもけの小さなかくれ里

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【エピローグ制作の経緯】

今回のエピローグが、ピグパーティ用の宣伝をパロディで作ろうとしたことから始まったのは、前にお伝えしたとおりです。
ピグブレイブのキャンプの画像データが残っていましたので、これを使って"FINAL FANTASY XV"のパロディを作ろうということから始まりました。
いわゆる、いつものHigeGのコーナーです。
キャンプのメンバーはザ・酔いどれもけアンバサダーズで、HigeGたちに向かってもっけが「10年ぶりの新作なのに、打ち切りなんてやっぱ辛えわ」というセリフを吐露するという構成でした。
実際に作ってみると全く面白くなかったので・・笑、有名なセリフはパロディとしてそのまま使うことにして、オリジナルの要素を増やすことにしました。

第18話はこの時点ですでに完成しており、最後のコマはあえて含みを持たせたエンドにしていました。
謎の部分は読者さんのご想像にお任せします・・という趣旨ですが、少し説明が足りず不親切かなとも思っていました。

もっけがサスケのもとを訪れたのはいつなのか?
なぜもっけはサスケと戦うのか?

それでこの際、そのコマを補完するエピローグを作ることにしました。
「酔いどれもっけの小さなはなれ島」の最後の更新にもなりますので、第18話以降の物語を中心に概要・設定などの解説をコメンタリーとして掲載しています。
このエピローグとコメンタリーを最期まで読むと、件のコマに関して全てわかるようになっています。

新「酔いどれもけの小さなかくれ里」のネタばれを含みますので、アメンバー限定で公開しています。
文字が多いので、お好きな方だけでもお読みください。


【第18話について】



第18話は、最初に桐谷が忍鳥を放つところから始まります。




はなれ島の本当の最終回では、桐谷が消えたもっけのアイランドでの生涯を物語にすると、にぼしたちに話すシーンがあります。
この「酔いどれもっけの小さなはなれ島」という作品は、作家「桐谷寛」の書いたものであったことがこのクレジットで明かされます。
忍鳥の眼を通し、作者(創造者)目線でその世界と現況を振り返ります。(ピグアイランド公式キャラとエキストラの共演シーン)




忍鳥は、もっけたちが武者修行に旅立つシーンで消えます。
これは作者目線から読者目線にシーンが移り、物語が進行することを意味します。ここから第18話の物語は始まります。
消えた忍鳥は桐谷のもとへ戻るまで、どこにいたのでしょうか?
それは、ずっともっけのことを追い、見つめ続けていたのです。
もっけが武者修行に旅立ち、クワ王との戦いで命を落とし、戦国修羅道で戦っている間もです。




忍鳥は、20年後に桐谷のもとに戻ります。
それで桐谷は20年後の今日、もっけが命をかけた対決に訪れるということを知っていたのです。
第18話の最後の2コマは、20年後です。




桐谷が忍鳥を放ったのは、第一話が始まる直前でした。
それが第一部立志編のタイトルバナーで飛んでいた三羽の忍鳥で、もっけ、にぼし、ひげじいの物語を見つめていくことになります。

つまり、第18話の最初のコマがこの「酔いどれもっけの小さなはなれ島」という物語の始まりで、第18話の最後のコマがこの物語の終わりとなっています。


【物語解説】

プロットをご覧になっていない方も多いと思いますので、第四部以降を含めた物語の全貌と、その背景となった"アイランド革命"を中心に解説をします。




ピグライフの世界の南東にあるアイランド諸島。その一つ、アンティキティラ島で一つの歯車が発見されます。この歯車は、ピグライフの世界のものよりも数百年進んだ超高度文明のものでした。
それはピグライフと表裏一体の世界、アメーバピグ(新かくれ里でのリアルライフ)からもたらされた"アウトオブワールドアイテム"でした。ピグライフには存在し得ないオーパーツです。
アンティキティラの歯車は、ある者によってピグライフに持ち込まれました。
それがナクルル王妃であり、彼女はアメーバピグの住人で、オリジナルかくれ里のジェニーと同じ"能力者"です。本当のナクルル王妃を殺害し、なりすましています。
"能力者"に関しては、新かくれ里でクローズアップされますので、今は省きます。




アイランドの王は代々、エミリーからキングオブクラフトの称号を与えられ、別名"工作王"と呼ばれています。
世界中から集った若者に、職人技術の継承を行っています。
クワ王は仁知勇を兼ね備えた名君とされ、アイランドの国民から、全世界の職人から敬われています。





ピグライフの世界は、アウトオブワールド(アメーバピグ)の侵蝕を受けていました。
現実世界であるアメーバピグで夢を見る人が減った影響で、アメーバピグ≒ピグライフのバランスの均衡が崩れかけていたのです。
エミリーの加護の力が弱まり、世界中で異変が起こっていました。(オリジナルかくれ里)

天災やそれに伴う飢餓、不況にあえぐ人々。
工作人の担い手も減少し、このままでは職人技術の継承が途絶えてしまい、工作そのものの衰退にも繋がりかねないとクワ王は危機感を募らせます。
そして、アンティキティラの歯車を使い、工作機械の自動化を推し進めました。
工作の修行をしなくても、誰もが工作を行える世界を目指したのです。
それがキングオブクラフトの務めだという、固い信念がありました。

これには手工業ギルドや、ホークアイなどのキングが反発します。
一方、ナクルル王妃はクワ王の製造する自動工作機械に、あるコードをもったAIを仕込みます。すでに世界には、何千何万という自動工作機械が普及していました。
そして、その日は訪れます。ナクルル王妃による"コードジェノサイド"の発動。
世界中の自動工作機械が、一斉に人々を襲い始めました。

その現場を目撃したホークアイは、ナクルル王妃と対峙します。
しかし、能力者としての力の前に敗北し、牢に繋がれてしまいます。
ホークアイを救ったのは、同じく王妃の内偵を続けていたデールでした。
デールとチップとは仮の名で、エミリーのマジックナイトであるテンオールとウランディ。
エミリーの命により、アイランドの背後にうごめく黒い影を突き止めるため派遣されていました。
ホークアイは、マジックナイトの介入に驚きつつも謝意を述べた後、工作機械兵に襲われているアイランド国民の救援に向かいます。



武者修行中だったもっけ、にぼし、ひげじいの三人は、デール、チップと再会します。
事情を聞いた三人は、クワ王のもとへ説得に向かい、デール、チップの二人は、王妃との対決に赴きました。

クワ王のもとへ急ぐ三人の前に、現れたロジェス。
ロジェスは復活したにぼしに破れており、復讐を誓っていました。
にぼしによって破壊されたスターソードとロジェスを救ったのは、ジェルマンでした。ジェルマンは修復した"スターダストソード"を、ロジェスに与えます。
再度、勝負を挑むロジェス。
にぼしは、もっけとひげじいを先に行かせます。
激しい戦いの最中、二人は大量の工作機械兵に包囲されてしまいます。
そして、アンティキティラの歯車を心臓部に組み込まれた工作機械兵のプロトタイプ"先行者"が出現、その桁違いの火力に圧倒されるにぼしとロジェス。

ロジェスの脳裏に甦る、過去の記憶・・・
ロジェスはかつて、戦災孤児としてにぼしの父アルベルトに拾われ、レジスタンス"のばら"においてその才能を発揮し、アルベルトの後継者とも言われるほどでした。
しかしある戦場において、突如出現した謎の工作機械兵団によってロジェスの部隊は壊滅し、死線を潜り抜けてきた仲間を全て失ってしまいます。
その後、ロジェスは正義や悪に囚われない「力こそが全て」というイデオロギーを抱くようになり、アルベルトに反目します。
そのロジェスの部隊を壊滅させたのが、この"先行者"でした。

にぼしはロジェスに、アルベルトへの贖罪を果たす時がきたと語りかけます。
勝手な思い込みで、父アルベルトを誤解し拒んだにぼし。
正義の戦士として育ててくれた、アルベルトを裏切ったロジェス。
英雄サンテックスの子孫であるレイチェル・ベルナデッド・ツインスターと、そしてスターソードを手にする者として、その責務を全うすべく共闘します。
現れたドゥークのサポートにより、ついに先行者を倒したのでした。
そして、ロジェスは押し寄せる工作機械兵を一身に引き受け、にぼしをもっけたちの元へと送り出しました。

もっけはクワ王の説得を試みますが、対話の余地はありません。
クワ王の圧倒的な力の前に、"抜刀霞斬り"、"電光石火"、"ギガにぼしクラッシュ"を破られます。
ほとばしる我力。我武者羅の域に達した三人と、共鳴する三本の我寿丸。
連携奥義"乱心法"で、クワ王を追い詰めます。
そこで明らかになるクワ王の真意。
キングオブクラフトの意地と信念の前に、沈むにぼしとひげしい。
右目を潰されたもっけは、満身創痍の中、幻獣王ゴンベッサを召喚します。
荒ぶるゴンベッサは、クワ王を宮殿ごと飲み込み、もっけともに光の中へと消え去りました。




一方、マジックナイトの中でも、最強の剣技と魔法力を併せ持つといわれるテンオール。
テンオールは、"光"のアルケーを司るマジックナイトです。
閃光の剣技でナクルル王妃を圧倒しますが、能力者である王妃にはダメージを与えることができません。
真の力を解放するテンオール。金色のアルケーを纏い、光り輝くティーカップロッド。
追い詰められた王妃は、ウランディを挑発します。
心の隙を突かれたウランディをかばい、テンオールはその命を散らします。
ウランディはティーカップロッドを手に、能力者としての力を開花し、ナクルル王妃を倒しました。

先行者からアンティキティラの歯車を回収したドゥークは、エミリーのもとへと届けます。
歯車はエミリーによって破壊され、コードジェノサイドは停止し、動乱は一応の終結に向かいました。




その後、ホークアイを首長とする国家連邦樹立の道へと進むこととなります。(新かくれ里12話)
これが後の世に、"アイランド革命"といわれる動乱で、結果として世に産業革命をもたらしました。
「酔いどれもっけの小さなはなれ島」の物語は、ここまでです。


【その後~エピローグに至る20年】

ここからはその後の物語で、今回のエピローグの背景となるお話です。

六道に住まうという幻獣、それをこの世界に実体化させる召喚術は、術者の我力を糧とします。
クワ王との決戦において、もっけの我力ではゴンベッサを召喚するにはまだ圧倒的に不足していました。
しかし、自分の命を差し出すというゴンベッサとの盟約により果たされます。
我力をゴンベッサに食い尽くされて命を落としたもっけの魂は、"六道"、いわゆるあの世へと旅立ちました。

ゴンベッサは、もっけを六道のひとつ"戦国修羅道"へといざないます。
その理由は二つあります。
一つは、命の盟約により、本来ゴンベッサを召喚するのに必要だった量の我力を提供し続けること。
この我力の提供に、20年かかることになります。
そしてもう一つは、戦国修羅道の頂点"阿修羅"に立った者は元の世界に還ることができるということです。
戦国修羅道は、生前戦いに明け暮れた者が亡者"モノ々フ"となって武士団を結成し、絶え間なく戦いを続ける地獄です。
"阿修羅"とは、"個"ではなく、武力、知力、我力、そして団結力といった"団"の頂点を意味します。

エミリーのマジックナイトであったテンオールの魂は、本来は天上のヴァルハラへと逝くはずでした。
しかし、テンオールはある理由から戦国修羅道へと降り、もっけの結成した武士団"我武者羅"に加わります。




怨念渦巻く戦国修羅道。
はぐれ獣魔にモノ々フどもが、わが物顔で横行跋扈。
中原逐鹿に権謀術数。槐門棘路も下陵上替。
掲げた旗の下、盃交わすは四人のモノ々フ。
刻みたるは我武者羅四字。
数多の戦場で、敵として味方として、シノギを削って蒔かれた種。
嗚呼・・戦国の黄昏の夜に紅蓮の華が咲く。

20年後、阿修羅を決する戦国修羅道天下分け目の大合戦。
武士団同士の激しい戦いの最中、戦場に"第六天魔王"が降臨します。
第六天魔王は、六道に積もった積年の亡者の恨みの念の集合体が実体化したものでした。
我武者羅は魔王の侵攻を食い止めるべく挑みますが、武士団同士の争いは止みません。他の武士団からも襲われます。
もっけは戦場を一喝し、激を飛ばしました。
たった四人で今、いくつもの大きな武士団と魔王を相手に敢然と立ち向かっている・・・
もっけの激と、四人の戦う姿はかつてのライバルたちの心に響きました。
我武者羅の旗のもと、"我武者羅紅蓮団"として結集します。
戦場にいる全てのモノ々フの協力により、第六天魔王を倒すことができました。
そして、我武者羅は武士団の頂点"阿修羅"となることができたのです。
決戦で大きな我力の昂りを見せたもっけは、ゴンベッサとの盟約を果たし、ピグライフの世界に還ることができました。
そして、今回のエピローグへとつながります。

なお、このエピローグの時系列は、酔いどれもけの小さなかくれ里の最終話のあとです。


【キャラクター解説】

今回のエピローグに登場するキャラクターの解説です。



もっけの右眼はクワ王に潰されましたが、ゴンベッサの力によってもっけの召喚獣となりました。
もっけの右眼には、目玉のおやっさんが入っています。
もっけの我寿丸としての意識が強まるほど、右眼が赤く染まります。




ひげじいは大人になったので、鼻毛を切っても風邪をひかなくなりました。




にぼしは、アイランド革命の数年後に病で亡くなっています。
いりこはにぼしの娘でひげじいに育てられ、アイランドからピグ村へと渡り、酔いどれOLへと就職しました。(オリジナルかくれ里)




ウランディはテンオールのティーカップロッドを受け継ぎ、新世代のマジックナイトとしてエミリーに仕えています。(オリジナルかくれ里)
ティーカップロッドは、"アウトオブワールドアイテム"です。
エミリーが、アメーバピグの世界にいた頃に使っていたティーカップだといわれています。
エミリーの近衛騎士であり、友人でもあったテンオール。
ティーカップとともに、能力者の資質をもった幼きウランディを託されます。
剣技、魔法の二刀流だったテンオールは、ティーカップを仕込み杖としました。
アウトオブワールドアイテムの真価を発揮できるのは、能力者だけです。
ウランディが成長し、その力が開花するまで、自らの武器として大切に護り続けてきました。
ウランディは剣を扱うことはできませんので、鞘を抜くことはありません。


【本当の最終回】

「酔いどれもっけの小さなはなれ島」の最終回。
クワ王とナクルル王妃は倒れ、アイランドは混乱しながらも復興に向けて歩み始めます。
2年後、モケトピアに集ったにぼしとひげじい、桐谷。にぼしの片手には一升瓶。
モケトピアも荒廃しましたが、にぼしたちや多くの人達の手によって再建が進んでいました。
その広場にあるのはもっけの石像。
一升瓶を供え、三人で酒を汲み交わし語ります。



「あの戦いから今日で2年・・・
ドゥークも、デールさんもチップも・・みんないなくなっちゃった。
もっけ、あんたもね!
アイランドは、ホークアイがみんなを引っ張っているわ。
技術のない人は機械を使い、技術のある人はその腕をふるって頑張ってる。
あんたのモケトピアは、今ではこんなに大きくなった。
見て、人もこんなにたくさん。
だけど・・・
この街を作ったはだかっぽがいたことは、誰も気にもしないみたい。」

「にぼし嬢、私はもっけ氏の本を書こうと思います。」

「えっ・・・」

「彼がこのはなれ島でいかに笑い、泣き、そして我武者羅な日々を過ごしたか・・・
あなたは、彼の石像を掘った。
私にできるのは、彼の信念を・・生きざまを・・人々の心に刻むことです。」

「もっけ、きっと喜ぶわ。
でもね、桐谷さん。もっけはどこかで生きてる。そんな気がするの。」

「はい。彼の帰りを待ちましょう。
このモケトピア・・・
いえ、酔いどれもっけの小さなはなれ島で。」


【本当のエピローグ】

本当のエピローグは、「酔いどれもけの小さかかくれ里」「酔いどれもっけの小さなはなれ島」に次ぐ三作目の、エピソードのひとつとして作る構想でした。


(当時のイメージボード)

その作品では、ピグライフの世界は完全にアウトオブワールドの脅威に晒されています。
もけ、ウランディたちマジックナイトの酔いどれもけチームと、六道から帰ってきたもっけと、ひげじい、いりこの酔いどれもっけチームが、エミリーとピグライフの世界の防衛のために戦います。

今回のエピローグのお話のもっけは、六道で歳をとっていないという設定に変えました。(今回限りのお話にしたため)




元々のプロットでは、もっけはもけやウランディたちのピンチに、エミリーによって六道の世界から召還されます。
もっけは六道で歳を重ねており、我寿丸の全てを習得した忍びとなっていました。
そんなもっけにとって、ウランディたちマジックナイトの騎士道の戦闘スタイルが手ぬるく感じます。
共闘はしますが、もっけのスタンドプレーが目立ち、チームの連携がうまくいきません。

そんな折、もっけは数十年ぶりにモケトピアの地を踏みます。
そこには自分の石像とにぼしの墓があり、ずっと二人の墓守をしてきたひげじいとの再会を果たします。
にぼしの作ったもっけの編笠を差し出されたその時・・・
「もっけ、帰ってくるのが遅いわよ! 待ちくたびれて死んじゃったじゃない!」と、にぼしに怒られる幼き自分の幻影を見ます。
もっけにとっては、遠い遠いかなたの懐かしい記憶が蘇ります。その記憶は、もっけ本来の意識を刺激し呼び醒ましました。
もっけは、心までが我寿丸に染まってしまっていたことに気付きます。これを機にもっけは、"我寿丸"との決別を決意します。

その後の決戦において、もっけは酔いどれもけチームとの連携をした奇策を立て、劣勢だった形勢を逆転させます。
六道で団を率い寡戦を繰り広げ、頂点に立ったもっけならではの手腕でした。
趨勢を見極めたもっけは、人知れず戦場から姿を消し、我寿丸との対決に挑むのでした。


【我寿丸について】

ここからは、本編と今回のエピローグを通して最も重要なモチーフとなる"我寿丸"の解説をします。




「酔いどれもっけの小さなはなれ島」は、ピグアイランドのサービス開始前のβテスト期間中に、どのような物語にするかの構想を練りました。

ピグライフを舞台とした「酔いどれもけの小さなかくれ里」は、庭や料理がテーマでしたので、プレイヤーも読者さんも女性や小さなお子さんが多かったと思います。それで、絵本のような物語を描きました。
新しくリリースされるピグアイランドは、島と工作がテーマとのことで、小学生〜中学生くらいの男の子に向けた冒険活劇にしようと決めました。

ピグアイランドで、誰もがまず通るのがガジュマルの樹の伐採です。
この"ガジュマル"という言葉の韻から、忍者ものの活劇にすることにしました。
"ガジュ丸"という忍者がいて、それともっけという新しい主人公がどう絡んでいくか・・そこから物語や設定を作っていきました。
ガジュマルに"我寿丸"という漢字を充てたところ、"ワレコトブキマル"と読むとまた華やかで面白い・・・これも何かに使おうということで、主人公三人の三身一対の武器という設定が出来上がります。

このように"我寿丸"は、主人公のもっけよりも先に設定されたモチーフであり、いわばこの作品は、"我寿丸"の物語となっています。

本作品には、3つの"我寿丸"が登場します。



ひとつは、伝説の抜け忍。




ひとつは、ジェルマンの作った3本の武器。




ひとつは、桐谷の書いた本です。

ここでは、伝説の抜け忍"我寿丸"を中心に解説します。

"我寿丸"とは、動体変移術を受け継ぐ忍びの襲名です。
奴隷であった初代の我寿丸は、自由を求めて忍びの道に入りました。
忍びは任務遂行のために組織化されていますが、武芸のような流派はありません。忍術とは忍びにとって命、その術を他者に知られることは、すなわち死を意味するからです。

我寿丸には、二つの天賦の才がありました。
一つは、"赤眼"を持って生まれたこと。
そしてもう一つは、一度見た忍びの術を会得することができる天性の才覚を持っていたことです。

紫、青、水色、緑、黄色、橙色、赤といった可視光。人間の眼で見えるものは、全てこの可視光で彩られています。
しかしごく稀に、その光の波長の外にある不可視領域の光を視ることができる眼をもった人間が生まれます。その眼を、"赤眼"といいます。
我寿丸はこの赤眼により、相手の術を見抜くことができました。
この二つの才覚を併せ持ったことが、忍びとしての唯一無二の大きな武器となります。

我寿丸は戦った忍びの術を会得し積み重ね、独自の”動体変移術”を編み出しました。
忍びの命ともいわれる術を奪うその行為は、他の忍びから危険視され命を狙われることとなります。




抜け忍となる決意をした我寿丸は、一遍の書に自分の会得した術の全てを書き記しました。




幻色"インフラレッド"という塗料(オリジナルかくれ里)で書き記した忍術書”我寿丸”は、赤眼を持った者にしか読むことはできません。しかしその書の存在は、更に多くの忍びに命を狙われることとなりました。




我寿丸の動体変移術は、手・足・腰・頭など体のあらゆる部位を使った小具足(格闘)術が基本です。
全てのモーションには動体(型)があり、動体を絶え間なく連続して変移させる術が動体変移術の"霞"、そこからゼロモーションで放たれる奥義が"抜刀霞斬り"です。
終盤のもっけは、これに召喚術を取り入れます。刀、体の部位に加え、召喚獣を駆使するその戦闘法は、我寿丸の動体変移術とはまた異なったものとなりました。




桐谷寛として生きるサスケが、何代目の我寿丸なのかは誰も知りません。
桐谷はもっけの赤眼と才覚を見込み、忍術書"我寿丸"を与えます。自分の後継に、もっけを指名したのです。

我寿丸に記されているのは、忍術や武芸、兵法だけはありません。我寿丸としての思考、観念といった精神哲学にまで及びます。
六道で20年間、我寿丸を読み続けたもっけの意識は、ほとんど我寿丸そのものとなっていました。
はなれ島の頃のもっけとは、もはや別人格といえます。

こうして我寿丸は、数百年ものあいだ何代にも渡って意識を継承してきました。
"動体変移術"とは、初代我寿丸の編み出した忍びの小具足術ではありますが、その本当の目的は、"肉体を変えて(動体)、我寿丸の意識を移していくこと(変移)"にあるのです。
抜忍となった我寿丸は、生涯を追忍に追われ自由を手にすることはできませんでした。
死の間際、我寿丸はその自由を未来へと求めました。
しかしこれは、我寿丸の"呪い"とも言えるのかもしれません。

いりこから渡されたもっけの編笠。




にぼしに誓った「ずっと大事にする」という約束を思い出しますが、我寿丸の精神支配を受けその記憶は遠い遠いものとなっています。(いつもの回想シーンよりも暗い)

修羅の国で戦い続けてきたもっけにとって、懐かしい仲間とのキャンプは当時のもっけとしての意識が甦った一時でした。

サスケのいう"何者にも犯すことのできない掟"とは、"我寿丸は常に一人"ということです。
同時に二人の我寿丸が存在することはできません。




もっけが勝負に勝てばサスケは死に、もっけは我寿丸として生きていかねばなりません。もっけという存在はそこで消えます。
勝負に負ければ、命を落とします。二度目の地獄はありません。
どちらにしろ、もっけという存在は消えることになります。

そういった覚悟を持って挑む"我寿丸"との命をかけた勝負、その前日の夜のキャンプというエピソードでした。

おしまい