THE SLIDER がリリースされた1972年当時、T. REX 或いは MARC BOLAN は世界で最も人気の高いポップスターの一人だった。


カーリーへア、その奥から覗くくっきりと印象的な碧眼、細身のサテンのパンツ、ロンドンブーツ、スパンコールをあしらったジャケット。。。ルックスからして「いかにも」なあざとい匂いをプンプン撒き散らしていた。RINGO STAR の撮影によるというアルバムジャケットにその雰囲気がよく出ている。


音の方も、時として呪文のように繰り返しを多用したシンプルな歌詞、ブギのパターンを借用したギターリフ、タイトでラウドでありながら音数を抑えどこか薄っぺらな感じを与えるリズムセクション、震えるようなビブラートを伴った囁くようなボーカル、イントロや間奏でのダミ声のシャウト、ファルセットの男性コーラス、そこにかぶさる大袈裟なストリングス。。。ポップミュージックの「いかがわしさ」満載である。アルバムの冒頭の METAL GURU のイントロで下降するラインの途中から暴力的な感じでカットインするファルセットコーラスを初めて聴いた瞬間、脳みそがふやけるほどにぶっ飛んだのを覚えている。


STEVE TOOK と組んでいた TYRANNOZSAURUS REX はアコースティックギターとパーカッションのデュオで明らかにヒッピームーブメントからの影響を感じさせる難解な歌詞と不可思議なサウンドを売り物にしアンダーグラウンドシーンのサイケデリックバンドであった。当時はよく PINK FLOYD や SOFT MACHINEとタイバンになたそうだ。パートナーが STEVE から MICKY FINN に代わり、TONY VISCONTI が BOLANにプロデュースを申し出ると、BOLAN もギターをエレクトリックに持ち替え、バンドのサウンドもハードなブギー調に変化していくこととなった。そしてその路線が 71年発表の ELECTRIC WORRIOR で開花し、GET IT ON などのロッククラッシックの一つと言ってもよいヒットも生まれ、T.REX 人気が爆発する。


僕はこうした変化は BOLAN が TONY とのコラボレーションの中で、極めて意識的にやっていたのだと想像する。BOLAN は少年時代からスターになることを夢見てきた男であり、TONY は BOLAN を「売ろう」と思ったのに違いないからだ。TONY は当時 DAVID BOWIE のプロデュースも手掛けるなどの交流があり、所謂グラムロックの影の立役者だった。


とは言っても、お世辞にもギターがうまいとはいえない BOLAN も CHICAGO BLUES の父、MUDDY WATERS を意識していた節はあると僕は見ている。当時多くの黒人達と同様に MISSISSIPPI DELTA のコットン農園から 都会 CHICAGO に出てきた MUDDY は DELTA BLUES 仕込みのアコースティックギターをエレキギターに持ち替えてベース、ドラムス、ピアノ、ブルースハープといった編成のバンドによるブルースの演奏を定着させていった。これが、今のロックバンドの原型になったことは明らかであり、MICK JAGGAR にせよ KEITH RICHARDS にせよ ERIC CLAPTON にせよ、当時のイギリスのロッカー達にとって MUDDY は憧れのヒーローだった訳で、BOLAN とて例外ではないと思うのだ。こうして BOLAN と TONYの思惑とセンスが見事に合致した結果、ブギー調のギターリフにスカスカのリズム隊、これに大仰なストリングスを絡めるという T. REX のレコーディング音源の手法が生まれたのではなかろうか。


そもそも、ポップスターを目指す人間で純粋にアーティスティックな側面だけを追求するなどという者など皆無と言っていいと思う。誰しも、女の子にモテたい、有名になりたい、金が欲しい、そんな不純な動機を持っているものだ。音楽をビジネスとして捉えるならば、奇しくも70年代初めのこの頃から音楽産業の巨大化、コマーシャリズムの台頭が顕著になってきたのであり、BOLAN とてその時代の申し子だったということであって、アーティストが売れる算段をすることを特に非難するのも当たらないと思う。


だが、頂点を極めるのも速かったが、人気の凋落もまた急速であった。THE SLIDER 以降、CHILDREN OF THE REVOLUTION や 20TH CENTURY BOY などのスマッシュヒットもあったが、BOLAN ・ T.REX人気は下降の一途を辿っていく。そして、30歳を目前に交通事故で帰らぬ人となった。怪我そのものは命にかかわるような内容ではなかったが、クスリでボロボロになった体が手術に耐えられず手の施しようがなかったと医者が語ったといわれる。生前「僕は30までは生きられないと思う。」と語っていたという話もある。


しかし BOLAN の与えた影響は人が思う以上に大きいと思う。ポップスターの妖しさ、いかがわしさ、チープな気高さ。BOLAN はそれらを全て備えていた。BOLAN がいなければ、パンクやニューウェーブというムーブメントも同じ形にはならなかったかもしれず、CULTURE CLUB も DURAN DURAN も JAPAN もなかっただろう。もっと言えば、LENNY KLAVITZ 辺りには BOLAN の影を見るような気もする。


それにしてもこの THE SLIDER というアルバムはまるで麻薬のようだ。もう30年以上にも亘って折りに触れ聴き続けてきた。そして聴くたびに、TELEGRAM SAM や ROCK ON がグルグルと頭の中で鳴り止まない。やはり BOLAN のキャッチーな作詞・作曲のセンスは大いに評価されてよいと思う。


そしてそれ以上に、SPACEBALL RICOCHET、RABIT FIGHTER、BALL ROOM OF MARS などのバラードの美しさも忘れてはならない。MARC BOLAN は言葉遊びの天才であり、やはり詩人でもあった。

ELECTRIC WORRIOR の LIFE’S A GAS で歌われているうたかたの命は、今になってみると、彼自身の生涯を暗示しているようにもみえてちょっと切ない。


◇◇◇


I COULD HAVE LOVED YOU LIKE A PLANET

I COULD HAVE CHAINED YOUR HEART TO A STAR

OH BUT IT REALLY DOESN'T MATTER AT ALL

NO IT REALLY DOESN'T MATTER AT ALL

LIFE IS A GAS


◇◇◇



T. Rex
The Slider

最近もライブはやっていたのですが、お知らせをサボっていましたが、久しぶりに宣伝を!


私めが G&Voを務める ORANGE GLOW のライブです。


ウチのバンドの売りの一つは全員ボーカルを取るってことですが、最近はドラマーの金ちゃんをフィーチャーしたコーナーもやってます。金ちゃんファンは見逃せませんぞ!


◇◇◇


日時: 10月23日(日) 18:00 開場、19:00 開演


場所: 鶴見ラバーソウル

JR鶴見駅から徒歩5分。地図はコチラ


出演: ORANGE GLOW


チャージ: \1,500(ドリンク別)


◇◇◇


宜しくお願い致します。


m ( _ _ ) m

一目惚れしちゃったんですよ。



BAYOUさん。



いや、僕の相棒、ウチのバンドのギタリストなんですけどね。



初めて会ったのがとあるセッションだったんですが、いきなりレスポールをアンプに直プラグインしたわけです。


イサギヨイ!


で、バンド組もうと。


もう10年以上前の話ですけどね。



しばらくして、僕もペダルを使うのを止めました。


70年代のギタリストってこんなんだったんだなぁって初めて分かりました。




彼にツェッペリン弾かせたらアナタ!


ホントにスゴイのよ。


少なくとも、僕が見た中では一番うまいです。


ウチのバンドがホストするセッションにおいで頂ければ、聞けるかもですよ。


しかも引き出しが多い。オープンチューニングのドブロでスライドも弾けば、レスポールで PAGE になりきっちゃうかと思えば、ストラトでアメリカンにもキメちゃうみたいなね。


あれ?物欲の塊なだけ?

うそうそ。



ま、お互い DNA がやっぱり近いっていうのかな。


彼は JIMMY PAGE が濃いんでしょうけど、僕はまぁクラプトン?


いずれにせよブリティッシュ系が濃いけども、アメリカンロックもきらいじゃない、みたいな。ブルースも好きだし、みたいなさ。




なんかわかんないけどスゴクない?




となると。。。




もう見るしかないでしょ!


見たいでしょ?




ならば ORANGE GLOW のライブへ是非!





なんだ結局宣伝かよ!みたいな?


10月23日(日)@鶴見ラバーソウルへGO、GO、GO!