みつまめの「このレコード聴いてみた」
「LIVE IN THE USA」
PRIMAL FEAR
古今東西あまり関係なく(笑)、みつまめのお気に入りレコードを披露している「このレコ!」、今回はこのバンドです。
PRIMAL FEAR (2009)
Vo:ラルフ・シーパース
G:へニー・ウォルター
G:アレックス・バイロット
B:マット・シナー
Dr:ランディ・ブラック
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1994年、GAMMA RAY を脱退したラルフ・シーパースと、SINNER のマット・シナーが中心になって結成した、ドイツの超・正統派へヴィーメタルバンドです。
そもそもラルフが最初にデビューしたTYRAN’ PACE時代から、「ドイツのジューダス・プリースト」 の異名をとったそうで、その歌唱はロブ・ハルフォードの影響が色濃いです。
GAMMA RAY を辞めるきっかけになったのは、本家 JUDAS PRIEST がロブ脱退に伴い、新しいシンガーを探していたとき、そのオーディションを受けたことでカイ・ハンセンの気分を害したからだとか。
しかし、結局JUDAS PRIEST加入はかなわず(英語が苦手だったらしい・・・)、身柄が宙に浮いた形になったところ、マット・シナーが声をかけ、バンドを組む話が進んだとのこと。
PRIESTの方は、その後も延々とオーディションに明け暮れ、やっと ティム“リッパー”オーウェンス で手を打つことにしたのはその3年後。
GAMMA RAY ではラルフの後任シンガーは入れず、ギターのカイ・ハンセンがボーカル兼任で落ち着きました。
PRIMAL FEAR がデビューし、その1st 「PRIMAL FEAR」 ではカイが客演しているところをみると、カイの方が、そろそろ自分が歌いたい、という雰囲気を発散させてたんじゃないかと思います。ゆくゆく居場所がなくなることを察したラルフが、先手を打って新天地を求めたのではないか、と・・・完全な憶測ですが(笑)。そこでラルフが辞めたことにちょっと気が差したカイが、新バンドデビューのご祝儀に客演したという・・・これまた完全な憶測(笑)。
「LIVE IN THE USA」 は、2009年発表のアルバム 「16・6」 に伴うワールド・ツアー中の2009年9月、アメリカ・ロサンゼルスとアトランタでの公演を素材にしたライブ・アルバムで、2010年9月に日本発売されました。
自分はこのバンドのスタジオ・アルバムは未聴なんですが(←ヒドい笑)、だいたいライブの曲順なんてのはどんなショーでも共通していて、序盤は最新作からの曲を中心に演奏し、終盤に至るとみんな大好きおなじみナンバーが登場する、という感じでしょう。
今作では、冒頭からいきなりハードな重爆音とギター・リフが轟き、ラルフの激烈スクリームが全開!
へヴィー・メタルとはどんな音楽? と聞かれたら、「これ!」 と即答できるような由緒正しきメタリック・サウンド。ジャーマン・メタルやメロディック・パワーメタルなどのカテゴリーを超越しきっています。
難点を挙げるとするなら、もうひといき、これこそ、という曲がない印象。
どれもそれなりに良いんですけど、こう・・・クラシックというか、アンセムというか・・・無条件にテンションが上がるような名曲がないんですよねぇ・・・・・・。
後半に収録されている 『FINAL EMBRACE』、『METAL IS FOREVER』、『CHAINBREAKER』 あたりが、バンド自信のナンバーと思われ、2007年12月の来日公演でも主軸になってたようですが、もう一押し、なにか! という感じです(笑)。ぜひこれからそんな名曲を生んで欲しいところ。
中盤の組曲 『FIGHTING THE DARKNESS』 では、パメラ・ムーア という女性シンガーとのデュエットの体になっていて、静かなピアノ・バラードから重厚なバンド・サウンドに盛り上がっていく構成になっています。メロディーが良く、いちばんの聴きどころといってもいい。
このパメラのハスキーな声、どっかで聴いたことあるなぁ と考えたら、QUEENSRYCHEの「OPERATION MINDCRIME」 で、メアリー役を歌ってたシンガーでした。
残念ながら、パメラの歌も、ピアノの音も“テープ”ですけどね(笑)。
ラルフはGAMMA RAY時代は、マイケル・キスクかと思うようなハイトーン主体でクリーンに歌ってましたが、PRIMAL FEAR ではまさにハルフォードさながらのスクリームとシャウトを炸裂させていて、たぶんこちらが本領だったんだろうなと感じます。ハルフォードは全盛期をとうに過ぎていますが、ラルフは今が絶頂期まっただなかなので、現時点でのシンガーとしての実力は、むしろロブの上を行っていると言っていいかも知れません。もっともっと、ビッグブレイクしてもらいたいバンドです。