第六の詩



広き部屋にて排される球


かろやかな身のこなし 背中に一枚の板


黒いプールにて行われる 祭典


やがて民は恍惚の表情を浮かべるだろう





タナカ・トマル・ハシモトは都内のとあるカフェに来ていた。遊びにきたわけではない。 もちろん仕事である。
周りはカップルだらけ。 周囲から浮いている三人はそんなことは気にせず、予言書を中心にジッと考えこんでいる。




MMRトマル(以下トマル) 「ひらめきました!」

MMRタナカ(以下タナカ) 「すごいな、前回から好調じゃないか。ぜひ、トマルの推理を聞かせてもらおう」

トマル 「まず、1行目です。『広き部屋にて排される球』。 これはバレーボールをあらわしているんです。
バレーボールは漢字で『排球』と書きます」

タナカ 「なるほど、いい着眼点じゃないか」

トマル 「さらに2行目の『かろやかな身のこなし』とは、相手がスパイクした球を見事な瞬発力でレシーブする様を言っているんだと思います」

タナカ 「去年のロンドンオリンピックで女子バレーボールチームは宿敵・韓国を破って、銅メダルを獲得したよな。 あれには感動したよ。 では、女子バレーというと、男性マンガ誌にありながら、登場人物たちのバレーにかける情熱が男性読者をとりこにしている、あのマンガをあらわしているというんだな」



           その、いま注目の作品とはこれだ!



トマル 「どうですか。今回は解決が早すぎてブログの読者も物足りなかったんじゃないですかね?」


タナカ 「それはどうかな。 例えば『黒いプールにて行われる 祭典』って、オリンピックのことじゃないよな」


トマル 「・・・ですね」


タナカ 「オレは1行目になんだか違和感を感じるんだよ。 『蹴られる球』とか『テーブルの上の球』とか書いてあるなら、それぞれサッカー、卓球をあらわしているとすんなりわかるんだ。 それが『排される球』とは、全く自然な感じがしないんだよ」


MMRハシモト(以下ハシモト) 「そういわれれば、そうですね」


タナカ 「オレはこれはトラップ、つまり引っ掛けだと思うんだ」


トマル 「ん~、はじめからやり直しですか」


 タナカ、窓の外を見て考えこんでいる。 するとあるモノが目に入った。


タナカ 「そうか、クイック、クイックか!!」


トマル 「なんですか、それ。 タナカさんが可愛がっているオカメインコのモモちゃんの鳴き声ですか?」


タナカ 「ちがーう! モモちゃんはピユ~ッ、ピユ~ッとそれはそれは可愛らしく鳴くんだよ」


タナカ、外を指さして、


タナカ 「それよりも、見てみろあれを。あの女の子の姿勢を見てなにか感じないか?」


トマル 「とても姿勢がいいですね。ああっ・・・まるで『背中に一枚の板』がはりついているようだ!」


ハシモト 「しかも『広き部屋』でたたずんでるわ」


タナカ 「これでわかった。『黒いプールにて行われる 祭典』とは何かが!」


トマルハシモト 「なんだってー! あれだけでわかったんですか!?」




        タナカが解読した作品とはこれだ!




タナカ 「『黒いプールにて行われる 祭典』とは、あるスポーツの世界最高峰の競技会が開かれるイギリスの地名・ブラックプールをあらわしていたんだ」


タナカ 「そこでは世界の超一流たちが競い合って『民』、つまり『観客』たちが『恍惚の表情を浮かべるだろう』 クイック、クイックとはステップのひとつ」


トマル 「そうだったのか・・・。連載開始からうなぎのぼりに人気をあげたあの作品だったのですね」


タナカ 「1行目はこの予言☆電書の作者のちょっとした遊び心だったんだな。『部屋』は『ルーム』、『球』は『ボール』・・・か」


ハシモト 「あの娘たち、『かろやかな身のこなし』だわ。ワタシも習おうかな」


トマル 「ハシモトさん、本気で習うんだったら、まずマンガを読んでイメージトレーニングから入ったらどう?」




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