す寒い・・・

ブリュッセルはこのところずっと氷点下の日々が続いていて、外をちょっと歩いただけで耳がちぎれそうに痛いです。

さすがに、この気温では遠出して外を歩き回る気にはなれないので、きょうは、前々から気になっていた日本塔(Tour Japonaise)と中国館(Pavillon Chinoise)というところに行ってみることにしました。


この日本塔というのは、昔のベルギー国王レオポルド2世が1900年のパリの万博の日本館を見て、どうしても欲しくなってしまい、それを購入。ベルギーのラーケン公園に移築、ついでに横に日本風の五重の塔を建てさせたものらしい。

日本塔の向かいには中国館という建物があり、これは1901年-1910年の間に、レオポルド1世の命令で建てられたものだそうです。 なんで日本塔が2世で後からできた中国館が1世か謎です。


日本塔&中国館は、ブリュッセル市街のちょっと北、アトミウムのあるエキスポの跡地の近くのラーケン公園のそばにたっており、家からは車で30分ぐらいです。近くまで行ってはみたものの、駐車場が見つからずエキスポの回りをぐるぐる回ってさんざん迷ったあげく、結局、近くの住宅地に路駐しました。


Randyくんへの手紙

車を停めたところから撮った写真。路面電車と日本塔の不思議な組み合わせ。


Randyくんへの手紙

日本塔の近景。日本人だからわかる微妙な違い。ちょっと怪しいアジトのような雰囲気。少年探偵団シリーズに出てきそうです。

この塔には、1階のぼる毎に強い敵がいて、そいつを倒さないと次の階には上がれないらしい。(嘘です)


ちなみに右横の木造建築物が、パリ万博で国王がおみやげに買った日本館(と思われる。)


敷地内には、「日本塔」「中国館」「日本美術館」の3つのパビリオンがあり、チケットは3館セットで4ユーロ。 中国館側にあるチケット売り場でチケットを買ったのち、地下のトンネルで道向かいに渡り日本塔へ。


Randyくんへの手紙

トンネルの中には、日本塔の由来を説明するパネルが飾ってありました。仏語、フレミッシュ語に加え、英語の説明文もありましたが、途中で、面倒くさくなって読むのをやめてしまいました。「費用の問題で内装は1階分だけがきちんとつくられた」とか「建ててはみたものの、国王自身はあんまりこの塔に来なかった」とか書いてあったような気がする。


Randyくんへの手紙

トンネルを抜けるとそこは雪国だった。 いや、抜ける前も雪国だった・・・・

建物の前にはプチ日本庭園がありました。 日本を発って早1ケ月と少し。 例えフェイクでも日本庭園の景色が懐かしい。


Randyくんへの手紙

日本館の内部。中国風の陶器と並んで、なぜか伊勢海老やカブトムシの置物。他にも陶磁器が多数展示されてました。


Randyくんへの手紙

建物の中の階段。 日本というよりは、燃えよドラゴンの悪者が住んでた屋敷のような怪しい雰囲気。


Randyくんへの手紙

両サイドの壁を彩っているのは、日本ではまず見ることのない、侍や浮世絵風女をモチーフにしたとっても珍しいステンドグラス。  


Randyくんへの手紙

廊下の天井のはりの部分にも浮世絵調の絵。 この他にも内装のディーテールを見だすときりがないほど、興味深いものばかり。


Randyくんへの手紙

階段の終点の部屋の天井。 安土桃山時代か? 豪華絢爛。

塔のてっぺんまで登れることを期待してましたが、これ以上は登れないようでした。


Randyくんへの手紙

さて、お次はトンネルを戻って今度は中国館へ。 前庭には神戸の中華街にあるような東屋もあります。老祥記の豚まんが懐かしい。


Randyくんへの手紙


窓が大きいせいか、中国館内部は明るくゴージャスな雰囲気。中国というより西洋の宮殿風。


Randyくんへの手紙


建物内部に飾ってあったシーサー。いわゆる唐獅子というやつですね


Randyくんへの手紙

陶磁器の展示が中心ですが、こんな風なよくわからない天井の彫刻も興味深い。


Randyくんへの手紙

と、二階にはなぜか、ガネーシャ像が。 インドですか??


Randyくんへの手紙

モーツァルト調の男の肖像画もあり。この何でもアリ感がたまりません。


Randyくんへの手紙

出口(兼 入り口)脇の、おみやげガラスケース。 日本と中国がごっちゃになってます。ちょんまげ&寺子屋みたいな表紙の本もありました。日本って今もこんな風と思われてるのかなぁ・・。中国の本の中にもいまだに毛沢東が表紙のものもありましたけど。


Randyくんへの手紙

中国館を出て、最後のパビリオン、日本美術館へ。中には、鎧かぶとや着物や絵が飾ってあるらしい。

今までの展示内容からするとかなり期待できそうな雰囲気。 

日本美術館の屋根には、しゃちほこが4体も設置されてます。 愛知万博のときに、名古屋城のしゃちほこが地上に降ろされてて、長時間並んで触りに行ったことが思い出されます。


Randyくんへの手紙

これが日本美術館の入り口のドア。  

と、ここでトラブル発生。 ドアを押しても引いてもびくとも動かない。

ぐるぐる回りを歩いてると別の入り口から係の老人が出てきて、手で首を切るポーズをしながら何かフレミッシュ語(多分)で話をしだした。どうやら「ドアが壊れてる」と言ってるみたいだったが、もしかしたら「アィーン」のポーズだったのかも知れない。


仕方ないのでもう一度中国館に戻り、英語ができる係のおじさんに聞いてみたら、「最近、めちゃくちゃ寒いのでドアが凍ってあかないようだ。わかるだろ?」と言っているようだ。3館共通のチケットを買ったことを説明すると、「多分来週になるとあたたかくなって、氷が融けて開くようになるだろうから、それから来たら?」とか「水曜日は無料になるから、水曜日に来たらいいだろう」「来る前に、ドアが開くかどうか電話で確認して」との事(そういう問題でもないような気がしたが・・・・)。 

ドアが開かないのでは中に入れないので、日本美術館の見学は断念しました。 

最後に僕が未練たらしく、「なかには何が飾ってんの?」と聞いたら、諦めさせようと思ったのか「鎧や着物だが、ほんのちょっとしか飾ってない。」との事・・・。


Randyくんへの手紙

あきらめて家路につく僕を「出直してこいや~」と笑って見送る中国館のレリーフ。 


このようにトホホな理由で日本美術館に入れなかったのは残念だけど、日本塔と中国館はなかなか楽しめました。

特に日本塔&日本館の日本のような日本でないような怪しい雰囲気は、日本では味わえないような気がします。 


日本からベルギー旅行に来た人がわざわざ日本塔見学に立ち寄るとは思えませんが、変わったものが見たくてしかも時間の余ってる人にはお薦めできるスポットと思います。


ちなみに、レオポルド2世は、パリ万博のパビリオンを軽く買えちゃうようなケタ違いの大金持ちで、素晴らしい王室の建築物をいくつも作ったそうですが、その財産は個人的に所有してたコンゴの植民地の圧政によるものと聞くと、複雑な気持ちがします。