2007年須成祭「宵祭」が執り行われました。約400年の由緒がある祭で、祇園・津島と同様、牛頭天王様を祀る夏祭です。川に浮かぶ巻藁船は中世から伝わるもので、織田信長や豊臣秀吉にも縁のある祭です。かつては宵祭に若い衆が気に入った娘たちのお尻をつねって愛を告白したことから、別名「尻つねり祭」とも言われていました。年に一度の愛の告白の場所になっていたのですね。今ではこのようなことは、勿論行われていませんが。古き良き時代の風習ですね。。

 

宵祭は、午後1時からの「みそぎ」からスタートです。祭船に乗船する方々が祭宿となっている蟹江町大字須成地区の公民館前で「みそぎ」を行います。かつては蟹江川の東から西側岸へと泳いで「みそぎ」を行いました。今では宿と神社鳥居前でシャワーの水を浴びて「みそぎ」とします。行事が終わり神社拝殿前にて参拝を行います。

こちらは「みそぎ」途中で行われる蟹江川堤防から遙か養老山地の方向にある多度神社に向かって拝礼を行うシーン。無事、祭が雨に遭わないようにということをお祈りするものです。

 

午後3時からは「天王詣り」が始まります。祭船に乗船する役の方々はそれぞろ着飾って宿を出発します。須成地区の中心街を通って神社へと向かいます。神社拝殿内で村三役の出迎えを受けます。その後須成地区内にあるお寺へと挨拶に詣でます。それにしても本日は蒸し暑いですね。。天候も今一つのようです。ちょっと心配ですね。。

 

龍照院・須成神社境内では、いろんな露店が開店の準備を行っていました。祭見物の楽しみの一つ。いろなお店がありますね。。

 

待ちきれない子ども達がもうお店に押し寄せていましたよ。。祭の日には余分にお小遣い もいただけますからね。。やはり人気があるのは「かき氷屋」さんですね。。

神社境内の神楽殿では、須成鼓笛保存会の皆さんにより「須成神子(みこ)太鼓」が披露されていました。

須成神子太鼓は、この地方一円に拡がっている「奉納太鼓」の流れを受ける太鼓で、その源流は熱田神宮の神楽太鼓からきているものだと云われています。

 

午後7時を過ぎると須成神社周辺 一帯は、祭気分一色となってきました。祭見物と夕涼みに見えた方々で賑わってきました。多くの方が夜店に並んで夏祭という実感が湧いてきましたよ。。

 

祭の内容などを紹介する 「ガイドボランティア歴史文化夢案内人」のコーナーも繁盛していました。。神社拝殿前も「押すな!押すな!!」の賑わいで多くの参拝者の方がお越しになっていましたよ。

祭気分を一層盛り上げるのは先程も紹介した須成鼓笛保存会の皆さんによる須成神子太鼓です。境内中に威勢の良い太鼓の音が響き渡ります。

須成鼓笛保存会は、地元須成地区の青少年を中心とした皆さんで構成されている太鼓保存会で、20年ほど前には一時、後継者も少なく途絶えそうな危機的な状況でした。今では当時の小学生だった方々が指導者(師範)となり、小学生から大学生社会人 までの若者たちが中心に力強い太鼓を披露されるまで伝承されています。ちなみに神子太鼓と総称されていますが、演目は「神子太鼓・しぐるま・森津・綿寄せ・四ツ節・とおり・あとぐるま」の七つの曲打太鼓で構成されています。神子太鼓で神様を「高天ヶ原」からこの地へお迎えし、神子太鼓以外の曲打太鼓にてお慰めし、最後にまた神子太鼓にて「高天ヶ原」へお送りすると伝えられています。

午後8時の須成区公民館です。ここは祭宿となっており、この時間に巻藁船に乗船する役員の方が集合されています。

宿では、祭囃子が奏曲されていました。

 

約30分ほど宿にて祭囃子を奏曲した後、宿前に整列し巻藁船へ乗船します。

宵祭に使用される巻藁船です。祭役員が乗船し、飾橋を出発します。船は多くの提灯で飾られていましたよ。この提灯の数にはそれぞれ意味があり、1年の月数、日数に因んだ数を取り付けていきます。如意竹(真柱)に1年の月数12個(閏年は13個)、半球形(巻藁提灯)には1年の日数365個(実際は半数の180個)の提灯、屋台の前方には1ヶ月を示す「ほおずき」提灯30個が飾られます。飾橋から御葭橋に到着するまで提灯を飾っていきます。

そして、多くの方が待ち受ける御葭橋に巻藁船が近付いてきました。ここからはしばらく写真 をご覧ください。

御葭橋到着

跳ね橋「御葭橋」

 

花火

巻藁船接近 巻藁船から御葭橋をのぞむ。 (Iさん提供写真)

御葭橋通過

御葭橋を通過した巻藁船は目的地の天王橋まで進みます

山乗若衆

巻藁船は午後10時前に天王橋に到着しました。橋では多くの方が押し寄せていましたよ。。天王橋到着後に「ほおずき提灯」の中に餅を入れて船の上から周りへと投げられる「餅まき」が行われます。たった30個の縁起物。皆さん「われもわれも」と押し寄せていたようですね。。

凄い人だかりで水郷とても近付くことができませんでしたよ。その後、天王橋北側で「乱玉花火」が打ち上げられました。とても綺麗でしたよ。。こうして須成天王宵祭は無事終了しました。