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飯田街道の難所として有名な伊勢神峠にたどり着きました。息子君との「男達の三河路めぐり」後編です。

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伊勢神宮 遙拝所から再び街道の分岐点へと戻ります。そして伊勢神峠方向へと進むことにしました。ここまではアスファルト舗装されていましたが、ここからは、未舗装の昔ながらの山道となっていました。

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何となく切り通しという感じですね。周りは針葉樹林に覆われて日当たりは今一つと言った感じです。

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足下もあまり良くなくこれは大変な行路になると思っていたらあっと言う間に峠に到着です。前編にお邪魔した遙拝所の真下に峠がありましたよ。この古道は、かつて飯田街道とか三州街道と云われ、太平洋 側から信濃飯田・塩尻・松本 への物流の大動脈・善光寺参りの信仰の道として利用されてきました。その中で一番の難所がこの伊勢神峠越え、当時の物資移動の手段は、馬での輸送が主でした。中馬とも言われています。街道沿いには、道中で息絶えた馬を慰霊するためや道中の安全を祈願するための馬頭観音様の石像が安置されていますが、やはり難所と云われたこの地にも建立されていましたよ。

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その隣には、その昔、800歳まで生きた尼さんが駒山観音(豊田市旭地区)巡礼の帰りにこの峠で一服し、この地に杖を立てて去った後、その杖が根付いて大木になったと伝承されている「八百比丘尼の杉」があります。後世に植林された周辺の杉と比べるとその太さが一段と引き立つ存在でした。

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写真 左は、峠から稲武・飯田方面へと進む道です。足助方向と比較 してあまり整備されていないようですね。その分、昔の面影が残っているような気がします。水郷と息子君は、峠から車を駐車している地点まで元の道を戻る事にしました。

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車を駐車している旧伊勢神トンネル まで戻ってきました。普段はこんな感じでひっそりとしているのでしょうね。この日は、峠へ行く際には車は2台程度駐車していましたが、山を下りていたときには6台に増えていました。トンネル前で記念撮影をしている若者達、周辺の自然を観察している方々で賑やかな状態でした。やはりGWならではの雰囲気ですね。

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さて、せっかくここまでお邪魔したので、ジックリとトンネルを拝見することにしましたよ。前編で紹介したように水郷は、これでトンネルには4回目のお邪魔となります。初めてお邪魔したのは、今から30年以上前の大学生 時代、その時代からこのトンネルは心霊スポットとして有名でした。第1回目は1年生、真夜中でした。実にひっそりとした雰囲気でしたよ。流石に恐怖感というものを体験した感じでした。2回目大学4年生頃でしょうか。前回と同様真夜中に出発、順調に現地まで到着しました。本来は周囲は真っ暗なはず、でも、ライトアップ状態で明るいではないですか。そして何とも言えない轟音が。。暴走族のご一行がお待ちかねになっていましたよ。ある意味こちらの方が恐怖感がありました。それでもこんな心霊スポットの根性試しですから、結局みんなで仲良く徒歩でトンネルを走破することになりました。その次は新婚 当時におかみ様と豊田市内の鞍ヶ池公園へ行った際に立ち寄りました。この時は途中で通行止めになって引き返した記憶があります。それ以来の旧トンネル訪問ですよ。この他、未遂の1回があります。これはとても説明の付かない不可思議な体験ですからここでは触れません。さて、このトンネルは、1897年(明治30年)に完成したトンネルで、日本に現存する石造トンネルの2つの内の一つであり、「伊勢神隧道」として2000年に国の登録有形文化財に登録されています。かつては、名古屋 や三河の太平洋側から信濃へ続く「塩の道」として重要な街道で、道中の難所の一つ「伊勢神峠越え」を解消するために建設されたものです。

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久々にトンネルへと入ります。今や近代を代表する交通遺産 として国登録有形文化財に登録されている貴重な文化遺産ですが、なんと落書きが!!。心霊スポットでの根性試しも良いのですがね。。もう少し文化財愛護の精神を持っていただきたいものです。当時の大動脈である旧東海道、後の国道1号線の鈴鹿隧道が開通するのは大正11年(1922)、それに先駆けて膨大な予算を費やしても貫通させたのですから、この街道の重要性が理解できます。それも煉瓦やコンクリートでなく石造というのが何とも凄いですね。

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トンネルを通って反対側に出てきました。何となく曇っているようで神秘的にみえますか?実は水郷らが出ると同時に車が1台トンネルへ入っていきました。未舗装なので砂埃が立ちます。トンネル内の風は、足助方向からこちらへと吹き寄せているのでこんな感じになっています。

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トンネルを出ると周辺には何も無いと思っていたのですが、民家が1軒ポツリとありました。かつては、御茶屋さんか何かを経営されていたのでしょうか。。そんな雰囲気の民家でした。玄関先になにやらこちらを眺めているような姿が。。

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よく見たら猫君がこちらを眺めていましたよ。いつもならひっそりしているのですが。GW中にはいろんな方が、ここを通り過ぎて賑やかですから。。五月蠅いな!!などと眺めているのでしょうかね。

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旧道から国道へ入り、そのまま飯田方面へと進むことにしました。豊田市稲武地区にある吟醸工房「ほうらいせん」と豊田市稲武郷土資料館「ちゅ~ま」に立ち寄りました。

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まずは郷土資料館「ちゅ~ま」へと入館します。三河山間地域に住む人々の生活用具を中心に資料の保存と展示を目的の施設です。

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合計7500点にものぼる収蔵資料の内、約3000点を公開しているとのことです。

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周辺の生物や化石、縄文式土器などの考古資料、県指定有形民俗文化財「人形浄瑠璃の首と衣装」、市指定有形民俗文化財「河手若宮鰐口」を始めとする文化財資料が展示されています。

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特に生活用具では養蚕や山仕事の道具、農機具などが数多く展示され圧倒されそうですよ。

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かつてはどこでも拝見された身近な道具ですよね。

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食文化に関する道具などを見学すると懐かしいものばかりでしたよ。この地域の人々の生活様式などを理解するには便利な資料ですね。

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そのお隣の吟醸工房「ほうらいせん」へと入ります。

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1階は販売コーナーで2階が日本酒醸造の工程などが見学できるようになっていました。

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蟹江町も醸造業が盛んな地域でしたが、こちらも綺麗な水と美味しいお米を使った醸造業が盛んな地域なのですね。予約が必要ですが、酒文化の豊かさを理解できる体験ができるようです。

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試飲コーナーもありましたよ。「俺が運転しているのだから試飲したら?」と息子君に言われましたが、やはり止めておきました。何か申し訳ないような気がしましたからね。ここから国道を引き返し、蟹江方面へと帰ることにしました。まだ午後1時過ぎでしたから帰路は渋滞もなくすんなりと帰ることが出来、こうして「男達の三河路めぐり」は無事終了することができました。