えとわの総和数がぼつぼつ1500話に近づいてまいりました。区切り直前の十話はフリーに書き下ろすつもりなので、その前に一つ、久しぶりに新しいサブテーマを投下しておこうと思います。
えとわで作話の起点になるのは画像です。ほとんどがフルカラーの画像ですから、話に色が絡むことは決して珍しくありません。ですが、これまで色に絡んだサブテーマというのはほとんどなかったんですよ。ストレートに色を据えたのは『凝る赤』くらいかな。『白いおはなし』とか『苔緑』とか『青草』とか色が入っているサブテーマは他にもありますが、色自身がテーマというわけではありませんでした。
ですので今回は、どの色と決めずに『色』そのものが直接絡むお話を五つほど編んでみたいと思います。サブテーマは『カラー・ミー』。わたしを彩って、ですね。
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画像を起点にすれば、元画像の色は保存される? いいえ、文章に変換された時点で元画像の色は一旦全て失われます。わたしの印象の中に色が強く残らない限り、個々の色は必ずしも話の骨格に転用されません。瑣末な要素として捨て去られてしまうことも多いのです。
また、色がどれほど三要素(明度、彩度、色相)で定義されていようとも、それらが印象を全て支配することはありません。たとえば。暗闇の中にわずかに滲んでいる赤は明度が黒に近いところまで落ちています。絶対的な評価としては赤の範疇に置けません。無彩色の黒に限りなく近いんです。しかし、わたしたちはそこに残っている赤を意識的に増幅することがあるんです。
あなたとの別れを決めた恋人が、赤い薔薇一輪を部屋のドア前にそっと残していったとしましょう。ほとんど闇に沈んで色が見えなくても、それを見たあなたの脳裏にはわずかな赤が鮮明に焼き付くかもしれません。赤が、物理的な色から情念の色に転換されるからですね。
以前『凝る赤』というサブテーマで何話かお届けした時にも、色の幅を広く取りました。濃淡、明暗、鮮やかさ。どれも、定まった赤のイメージからあえてはみ出るように設定し、それでも赤のカテゴリーの範疇に収まる……そんな風にしたかったのです。
色が意識で作られるものならば、実際の色をことさら強調しなくても話を組み立てることは可能なはず……ですよね。
ということで。色の概念は恣意的に作られる、または変化すると前置きをした上で、いくつかお話を編んでみたいと思います。
今後も利用し続けたいサブテーマなので、使い始めになる今回はやや実験色が強くなるかもしれません。どうかご容赦を。
玉虫にとっては残っても意味がない
甲の虹色を人はなぜか愛でる
Color Me by Taylor Pietz
《 ぽ ち 》
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