今日は10年前に思った憧れの日 | 九学 || 瑞穂 み すぐり

今日は10年前に思った憧れの日

「え? 今日は10年前の憧れの日なんかじゃないですよ」

では、今日は、あなたにとってはどんな日ですか。

「どんな日ったって、特別なことも起きない、ごく普通の日でしょうね」

そうですか、では今日不幸にも事故にあって亡くなると仮定しましょうか。

「自分が今日、死んでしまうのですか?」

仮定の話です。

「当然でしょう、自分は今日は事故には合いません」

そうなのですが、もし亡くなったとしたら、今日が人生最後の日ですよね。

「いやあ、もしそうなったら心残りだろうな、まだ夢が実現していないし・・・」

そうお子さんも小さいし、まだまだやりたかったことがいっぱいあって。

「はあ、考えたくはないですが、もしそうなったら残念だなあ」

では、今の夢の実現は、何年位先に考えてますか。

「10年先くらいですかね」

では幸い事故に合わず、しかも10年先、あなたの夢が実現したとしましょう。

「良いですね、嬉しいだろうな」

でも、その時には夢の実現に気づかず、嬉しいとも感じていないかも知れない。

「そんなことはないでしょう…でも、ああ、今日の私みたいにですか」

そう、今日のあなたの様に。

「そうか、そうイうことでしたか」

10年先、夢を実現させたあなたは、今とは違う新しい夢を持っているでしょう。

「そうだと思います」

新しい夢に向っているその時、10年前の夢が叶ったとは感じていない。

「そうかもシれません。思えば今は10年前に憧れていた生活が出来ています」

素敵な方とめぐりあい、恋愛して、結婚をし、子供が出来て、家も持っている。

「いやあ、本当だ、子供の頃から憧れていた生活が、今は現実になっている」

でも、そうは全く思っていなかった。

「その通りでした、参ったなあ、何てことでしょう、そうか。
夢が叶っている事実に気がついていなかったなんて、信じられませんよね」

でも現実なんです、今の幸せを感じていなかったのですから。
夢は日々の生活の中でじわじわ達成され、劇的ではないので気づかなかった。

「自分の恵まれている現実を、今急に思い知りました、恥ずかしいのですが」

気がついたら、今日がとても素晴らしく感じられますでしょう。

「とても暖かい感じがして、家族にも感謝をしています。不思議な感じです」

さっきから、何も変わってはいないのにね。