診察後、

医師との話を済ませて、

わずかに、気持ちに落ち着きが感じられるようになった。


待合室での会計待ちの間、ふっと周りを見回してみた。


ここは、午後は手術が入るため、

午後の外来は4時から6時となっている。


私は4時半の予約だったのだが、

病院についた時は、待合室の状況など見る余地もなく、

名前を呼ばれる事だけを意識していた。


今は・・・・6時を過ぎたところ。


まだ診察待ちの方が大勢いた。

会社帰りの様な方も数人見られた。


受付カウンターの脇の柱に、

曜日別の担当医師の表に目がいった。


月曜から金曜日までは午前中に5人、午後に2人の医師で担当。

土曜は午前中5人のみ。


今日は水曜日。


午後の担当医師に、先ほどの医師の名前は・・・・なかった。


ちょっと不思議に感じた。

担当日ではないのに、診察でなくセカンドだからかな?


そんなことをぼんやり考えていたところに、

ひとりの女性看護師が声を掛けてきた。


『先ほど、セカンドで話をされていた方ですよね?

ずいぶん驚かれたでしょう?気分はだいじょうぶですか?』


優しい声と、温かさをかんじられる容姿。

細身のすらりとした長身で、かなりの美人系なひと。


『あ、はい。ありがとうございます。』

なぜかドキドキして、緊張気味の私。


『よかったら、こちらへどうぞ。』

と、その人は待合室の脇にある個別の相談室へと案内してくれた。


二人で中へ入ると、

『遠いところ、わざわざ来られたのですね。

病気が発覚したことで、ショックも大きいでしょう?』


落ち着いた話し方、時間の流れもゆっくりと感じるよう。


『病気になったことは、本当に気の毒なこととしか言えないけど、

まだまだ十分時間はあるから、しっかり自分の体と向き合って、

病気を克服する気持ちを持ってくださいね。』


『最初、ここに来た時は、早期でなかったことがとてもショックで、

もう、このまま終わってしまうのではないかと考えていました。

先ほど、先生とお話しして、焦る必要はないからと、

手遅れでもないし、治療を受けられるからと言われて

やっと落ち着いてきました。』


『最初は告知されたら誰でも、

もう自分は助からないって思ってしまいますよ。

でもね、手術ができて悪い部分を取れるのはいいことなんですよ。

ひどい状態なら、手術はでできませんからね。

あなたには、治る可能性が十分あるのだから。

手術を受けれるんだという希望を持って、前向きに考えてね。』


看護師の方は、本当に優しく話をしてくれて、

これから手術を受けるための心構えとか、

病気に対する考え方や、これからの生活について、

真剣に答えて、教えてくれた。


乳がんの罹患者がとても多くなってきてること。

病気に強気の気持ちで取り組むこと。

気長に病気と付き合っていくこと。

気持の持ちちようや考え方で、病気は克服できること。

そして・・・・

乳房を失っても、得るものがこれからたくさんあることも・・・・


友人から、逃げずに正面から闘わなくちゃいけないと言われて、

やっと、病気と向かい合うことができたことを話すと、


『素敵な友人ね!

そう、それが一番大事なのよ!

あなたの声を、がんは聞いているんだからね。


ここでも十分に話をして待合室に戻ったら、もう誰もいませんでした。

話が終わるまで会計の人待っていてくれてた。


最後に疑問に思っていたことを、看護師さんに尋ねた。


基本的には外来に出ないだけで、医師は毎日病院内に詰めているそう。

名前がないから非番ということではなく、

手術や検診などの対応や緊急事態に備えているとのこと。


こういったセカンドの対応も、外来担当者以外の医師が対応するらしい。


今回の担当した医師は、午後は手術が2件あり、

それを終えたばかりだったようだ。


看護師の方に、感謝をこめてお礼を告げた。


カウンセリング担当なのだろうか?

そう思って病院を後にした。



実はこの方は手術室担当主任で、ちょっとお偉い方だそう。

そして、ご自身も乳がんを患っていて、今もホルモン治療中だとか!

たまたま、私に気づいて声をかけてくれたよう。


後から聞いたお話です。



帰りの車の中で、

私の中での考えが、少しづつ形になり始めていた。


それは、失望や絶望的な考えでなく、

希望をもった前向きな考えとして・・・・



ここをセカンドオピニオンにしたのは、私の中では大正解でした。