久しぶりに女子プロレス・アイスリボン以外の話題を。

 

地方競馬。兵庫県競馬組合に所属する佐々木世麗騎手。今年の4月13日にデビューした18歳の新人女性ジョッキー。誕生日を調べたら今度アイスリボンでデビューする松下楓歩選手と1週間しか違いません。元々彼女をデビュー前から注目したのは世麗(セレイ)という文字を広島県出身という事で世羅りさ選手と同じ“世羅”と見間違えた事がきっかけではあるのですが・・・。

 

その佐々木騎手が昨日の園田競馬で大記録を達成しました。地方競馬所属の女性騎手の初年度(365日)における最多勝利記録更新。

 

表現がややこしいのですが、地方競馬(NAR)の場合中央競馬(JRA)と違いJRAの騎手学校にあたる地方競馬教養センター騎手課程の卒業は年1回ではありません。通常は3月卒業4月デビューですが、中には9月卒業10月デビューの騎手もいます。従って新人騎手の記録はデビュー日から計算される事が多いようです。

 

これまでの女性騎手がデビューしてから1年間の勝利数の記録は愛知県競馬組合に所属されていた山本茜元騎手が2005年10月にデビュー後に記録した66勝。365日でマークした記録を212日で更新してしまいました。しかも前日メインレースでタイ記録になったばかりで翌日の第3レースで達成したのですから重圧とか感じないイマドキの人なんでしょう。

 

勿論15年前と今では女性騎手に関して規定も変わり減量の恩恵もだいぶ違ってきました。現行はほぼ全国的にデビューから50勝までが4kg減、100勝までが3kg減で以後はずっと2kg減になっています。昔は地域によってまちまちでしたけど多くて3kg減止まりですから男子と同じ条件で戦わなければなりませんでした。

 

ただそれを活かすも殺すも本人と周りの関係者の努力次第です。佐々木騎手の場合、この減量恩恵を生かした積極的な逃げ先行策での勝利が目立っています。かつては逃げてナンボのケースもありましたけど、タイ記録や新記録のレースの映像を見ると逃げた梅を終始マークして最後に抜け出すという形も身につけたようです。ただ次のレースで同じような戦法を取ったものの実力あるベテラン騎手が乗る人気薄の馬に追い込まれて競り負けていましたから、課題もまだ沢山あるようです。

 

兵庫県競馬組合は尼崎市園田と姫路市で競馬を開催していて騎手のレベルもかなり高いです。今年4月に佐々木騎手を含め3人、10月に1人デビューしましたけど、兵庫県発の女性騎手として話題にはなったもののデビュー前の評価は他の同期よりも下でした。それを覆すようにあっさり兵庫県新人最多勝利記録を塗り替えると従来の記録を153日塗り替える女性騎手の新人勝利記録更新。これを予想した競馬評論家や記者の人はどの位いたのでしょうか。

 

師匠が兵庫県でも屈指の若き名将・新子雅司調教師というのもありますが、厩舎の所属馬は先輩の実力ある騎手が乗る事が多くむしろ佐々木騎手は他の調教師が管理する馬での騎乗が多いです。それは新子調教師の尽力も大きいのでしょう。どれだけ他の厩舎の馬で愛弟子が勝ってもきちんと褒め称える言葉を添えてTwitterにアップしてますから頭が下がります。

 

そんな佐々木騎手の次なる目標となるのは通算100勝と“女性騎手”という肩書きがない地方競馬所属騎手初年度最多勝利記録更新でしょう。これには高いハードルがあります。

 

先月佐賀競馬に所属する飛田愛斗騎手がそれまでの記録を19年半ぶりに更新する127勝をマークしました。飛田騎手は佐々木騎手の昨日と同じ時点では既に81勝をマークしていたそうですから、かなり厳しい数字とは言えます。もし来年1月5日までに100勝すればこの記録を上回りますけど、新子調教師は年内85勝が目標と話されているようなのでそれは厳しいかな。ただ技術が向上しているので残り153日での60勝上乗せは不可能ではないですし、第2位の金沢競馬場を主戦に活躍している吉原寛人騎手の110章はクリアしそうですね。

 

これから北海道から若手の実力派の2人が冬季期間限定で兵庫県にやってきますし、1月には初めての姫路競馬場での騎乗も控えています。条件はますます厳しくなりますが、怪我なく更に精進して次なる記録を目指して頑張ってほしいです。究極の目標は今愛知県の宮下瞳騎手が達成しようとしている1000勝だそうですから。