公開が2006年だから、今頃になって?という声も聞こえてきそうだが(笑)「嫌われ松子の一生」を見ました。


邦画最高傑作だと思ってる「ジョゼと虎と魚たち」と同じくらい好きな作品に出会えて、すごく嬉しかったです。



音楽大好き♪ サイン大好き♪


画像は、愛情あまって、頑張って入手した、嫌われ松子の台本ですが、その物語はというと…


昭和22年福岡生まれの、川尻松子という、超不幸な女性の53年間の生涯をつづった小説を映画化したもの。



松子は、冒頭から、もういきなり殺害された状況から始まり、死に至った過程を、彼女の親族が回想するという展開です。


元教師の松子は、教え子に○○られてクビに…。


その後、愛を求めて、次から次へと、男性遍歴を重ねるが、重ねれば重ねるほど、不幸になり、やがて、ソープ嬢に身を落とし、同棲してる彼まで殺害。刑務所に入ってしまう。


出所してからも、一緒にいても、不幸になるだけの男としかくっつかず、殴られても、殴られても、「一人ぽっちよりは、まし…」と、離れることが出来ない。


「小さい頃は、誰でも、自分の未来は、キラキラ輝いてるって思うでしょ。でも、大人になると、自分の思い通りになることなんて、1つもなくて…。つらくて、情けなくて、逆ぎれして。」


「もう誰も信じない。もう誰も愛さない。もう誰も自分の人生に立ち入らせない…」


劇中出てくるセリフも、辛らつで、重め。


それだけに、ヒロインの中谷美紀さんが、終始痛々しく、えげつない場面も多いのだけど、この作品は、超不幸で、超悲惨な物語を、優しく、暖かく、明るく、綺麗に、かつお洒落に、ミュージカル風に仕上げているところが、素晴らしい!!!と思う次第です。



ほんとうにね…


見てて、話が進めば進むほど、「なんで、そこまで不幸なん…」 と思う。 ^^;


でも、超悲惨な人生であるにも関わらず、決して、凹む意味で泣かせるのではなく、少しくらい心がボロボロになっても、傷ついても、屈することなく、前へ前へと進むことや、生きることの素晴らしさに、自然に感動し、泣かせるところが、実に、にくいと思います。


全編通して、とにかく、甘く、切ない。

悲惨な場面も多いけど、ソフトで、透明で、包み込むような優しさに満ちてて、美しい!!!


いや、 (^^ゞ 美しすぎる!!!


人を笑わせ、人を元気づけ、人を愛し、だけど自分は、いつもボロボロに傷つき、孤独で、ファッションも全然いけてなくて、そんな徹底的にどんくさい人間…。


もう、画面に入って、そんなヒロイン・中谷美紀さんに、声をかけたり、手を差し伸べてあげたい!!! とさえ、思いました。


ラストは、見てのお楽しみで描きませんが、中間だけじゃなく、後味もなかなか良かったし、他にも、小鳥のアニメーションとかも、超可愛かったし、まるで、ボロボロズタズタのヒロインを癒すかのように、優しく、甘く、切なく、包み込むような音楽も素晴らしかったです。


インストも超可愛らしいし、ウィットにとんだ歌の数々も、全てが完璧。


ドキュメントタッチかつ、ファンタジー色も感じる、超美しい超上質のミュージカル映画。

久しぶりに、サントラを買いたくなる作品でもありました。


見終わって、松子の53年間が、ほんの数時間、一瞬にして駆け抜けた印象です。


「バック・トゥ・ザ・フューチャー」の一作目を見た時、すごく面白くて、気づいたら、軽く、1時間半過ぎてて、びっくりした記憶があるけど、こんなに面白い作品に出会ったのは、久しぶりな気がします。


今年も2ヶ月きっていますが、今年レンタルして見た中では、洋画は「50回目のファーストキス」。邦画は「嫌われ松子の一生」が特に良かったと思います。


まるでアルバムのようにデカイらしい愛蔵版と、通常版、どっちのDVD買おうかな?と、悩み中です。