##4 天使の風唄(4) | RUNNING HIGH

##4 天使の風唄(4)

"2000/07/31 09:00 県大会決勝戦"
コウヘイ・・・・テニス部期待のホープ。大会初出場ながら県大会決勝に進出。



審判の笛の合図と共に
コウヘイと相手はお互いにコートの真中に集まった。
審判はお互いを確認すると
「フェアプレーで良い試合をしましょう」
などと声を掛けた。
相手と握手をしてお互いに自分のベンチに向かった。
コウヘイはジャージを脱いで体を少し動かしていたら
「悔いのないようにな」
監督は一言だけそう言った。

「ピー」
審判の笛が鳴り
コウヘイは自分のコート側へと向かった。

相手のサーブから試合は始まった。
コウヘイはラケットを構えた。

「パンッ!!」

乾いた音が鳴り響いた。
相手がサーブを打ってきた。
コウヘイはリターンしようとラケットを振りかぶった。
しかし、ボールは気づくと後ろにあった。

「ワー!!!」
歓声が鳴った。
どうやらサービスエースを決められてしまった。

(速い・・・・)

まるで新幹線が真横を通り抜けた感じだった。
コウヘイは手も足も出なかった。

15-0

審判は得点を言った。

「パンッ!!!」
大きくトスを上げ
相手がサーブを打ってきた。
また、気がつくとボールが後ろにあった。
2回もサービスエースを決められてしまった。

「ワー!!!」
より一層観客の声援が湧いた。

30-0

(嘘だろ・・・)

コウヘイは愕然とした。
ビデオで研究した時はこんなはずではなかった。
サーブがこんなに速いとは思ってなかったし 
辛うじてリターン出来ても
すぐに速いストロークが返ってきて
圧倒的に試合は相手が支配していた。

ものの10分ほどで1ゲームが終わった。
コウヘイは1点も決めることが出来ずに
相手に1ゲームを取られてしまった。
ベンチに戻り水分補給をしていた。
すでに、コウヘイは満身創痍だった。

「いいか、落ち着け。
相手のほうが冷静に試合をしている。
硬くなりすぎだから、リラックスしろ。
お前のほうが実力は上だ!!
今度はお前のサーブでこのゲームを支配しろ。
思う存分暴れてこい!!」

監督はコウヘイに強く言った。
「はい・・」
コウヘイは少し逃げ出したい気持ちだった。

「ピー」
審判の笛が鳴りコウヘイはコートに向かった。

今度はコウヘイからのサーブだった。
審判からボールをもらい
一呼吸を置き、コウヘイはボールを高く上げ
力一杯ラケットを振りかぶった。

ボールは相手に一直線に向って飛んで行った。




to be continued・・・

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