日大三校の優勝で幕を下ろした夏の甲子園。


大会前から注目される「超高校級の怪物」みたいな選手がいないことも今大会の特徴だったと思うが、そんな中、日大三の5番打者・高山クンのバッティングは秀逸だった。


行雲流水

準決勝・決勝でホームランを放ち、大会の終盤で一気に見聞を集めた感があるが、ボクが一目置いたのは2回戦の対開星戦。


何てことないセンター前への適時打であったが、スローでみるとその打撃技術はまさに超高校級。「こんなバッティングができる子がいるのか」と、本当に背筋が寒くなるくらいの衝撃であった。


バットのヘッドが立った、体に巻きつくようなスイング。

ストレートに差し込まれているように見えるが、実はギリギリまでボールを呼び込み、一番力の伝わるポイントでしっかりととらえている。習志野戦で打ったレフトへのホームランはこのことを裏付ける証拠といえよう。


普通インコースは詰まりたくない意識が働くため、並みの打者はつい前でさばきたくなるものだ。しかし高山クンは内角の速球に対してさえも、崩れずに体の近くでキッチリさばくことができている。


高校生でこの完成度。


プロでもこの打ち方ができる選手は何人いるか?(稲葉、松中、小笠原・・・くらい?)


圧巻である。


高校生で150キロを超える球を投げるピッチャーがいる、というのは、誰の目にも明らかな驚きであり、わかりやすい進歩だ。

しかし、打者の技術も確実にレベルアップしている。

高校生ではとかく通算本塁打数ばかりが取り沙汰されるが、打者の価値はそればかりではない。

単なる1本のヒットにも、その才能の片鱗を垣間見ることはできる。