初めて久坂部羊の本 を手に取ったのは、もう10年前のことだ。
センセーショナル でありながらどこか温かみ があり、斬新な切り口 をわかりやすい文章で描かれる久坂部作品は、医療者として教わる ことも非常に多い。
思いあまって先生に手紙を書いたのが昨年夏。
それ以来主にメール でのやり取りをさせてもらえるようになった。
「機会があれば一緒に食事でもしましょう」という社交辞令を真に受けたボクはさっそくアポイントをとりつけ、今日、ずうずうしく大阪に乗り込んだ。
淀屋橋で待ち合わせたのは17時45分。
30分前には到着してしまっていた。
高鳴る鼓動に乾く口。
嫁との初デートでさえこんなには緊張しなかったと思う。
<続く>