ウチの子供らはなぜかカメが大好きだ。一時的なブームとかではなく、もうずーっと好き。
そのおかげで我が家には、ぬいぐるみから絵本・セトモノに至るまで、あらゆるカメグッズが溢れている。
まぁしかし、カメほど太古の昔から姿形に変化が乏しい動物も珍しい。何万年も何十万年もあのスタイルで子孫を残し続けてきた。
オフェンスよりディフェンス重視。というより、ほぼディフェンスオンリー。
ちょっとでもやばそうな空気を感じたら即座に頭と手足を引っ込めて、嵐が過ぎ行くのを待つ。罠をはるでも戦うでもなく、ひたすら待つ。
攻撃力や知略に長けた連中がお互いに戦って戦って、結局双方絶滅―。カメはそんな歴史の繰り返しを、甲羅の隙間からどれだけ見てきたのだろう?そして何を思い、何を学んだのだろう?
優位に立ってやろう、
出し抜いてやろう、
騙してやろう、
攻め込んでやろう、
制服してやろう、
根絶させてやろう。
そういう発想はいずれ自らの破滅を招く、カメはそう知っているかのようだ。
―戦いの果て、最後に残った者は、策略も武器も戦闘意欲すらもない、バカのひとつ覚えのようにただひたすら耐えることのみを貫く存在でしたとさ、みたいな。
北朝鮮とアメリカにカメを贈呈したい。