後輩のナベケン が実習を無事に終えた。
まぁ一応お疲れ様会ということで、タバ
・ウチ
・シンゴ
らと中野の餃子屋で一席もうけた。
ナベケンの実習談話にチャチャを入れつつガハハと笑っていると、隣席に聞き慣れない言語を話すヤングマン4人組が。
いい塩梅に酔いが回った頃、「ねぇねぇどっから来たの?」と声をかけてみた。
彼らはフランス人、しかもジャパニーズアニメ大好きのオタク系フランス人であった。片言の日本語で語る彼らは「日本の文化にとても興味あるね」と言って、ベジータやフリーザのフィギュア、AKIRAの漫画、エバンゲリオンのTシャツなどを次々と見せてくれた。
みな陽気で社交的な連中だ。
1ヶ月のバカンスを利用して旅行に来ていると言う。歳を聞くと全員年下(21~31)であった。が、みなジネディーヌ・ジダンのごとき涼しげなヘアスタイル。おフランスの流行と受けとめておこう。
「仕事はカーペンターだよ」と自称するひときわ体格のいいガイと腕相撲で勝負することになった。
構えた瞬間、前腕の長さの違いにおどろいた。
全力で挑んだがまさに赤子の手をひねるがごとく、完敗した。
先輩の雪辱とばかりにシンゴ・ナベケンも続いて挑戦したが半笑いの感じであしらわれていた。
ボクはともかく二人はそれぞれ剣道と柔道の有段者、日本男子のなかではけっこう強い方だと思われるが、揃ってサムライ魂を見せることはできなかった。恐るべしオタク系フレンチカーペンター。
その後もフランスと日本の女子のスカート丈の違いなどの話題でひとしきり盛り上がり、「アデュー!」と言って別れた。
まぁしかし、一体誰が今夜フランス人と腕相撲で勝負することになるなどと考えただろうか?
人生、何が起こるかわからないものだ。
―と、そんなこんなでナベケンのお疲れ様のことなどすっかり忘れていた。