神経難病のために両下肢に運動と感覚の麻痺を患った患者さん。かれこれ長い付き合いになる方だ。

病気のせいで家に引きこもりがちだった彼だが、義弟さんの車に乗せてもらってこの夏長野に旅行したのをきっかけに、気持ちがずいぶんと外に向くようになった。

最近では「自分にも車の運転ができるだろうか?」ともらすまでに。

担当PTとしては願ってもないチャンス。さっそく近所のTOYOTA営業所を訪れ、事情を説明して色々と教えてもらった。幸運にも患者さん宅から近い場所に、障害者用の乗用車が展示してある営業所があるという。


そこで先日患者さんと2人で行ってみた。

青梅街道と環八が交差するあたりにあるTOYOTAハートフルプラザ。そこにはウェルキャブシリーズ という障害者向けの車がズラリと並んでいた。
ウェルキャブ
対応してくれたお姉さんはとても親切で説明もわかりやすかった。しかし左肩を骨折しているとのことで、時折しかめる顔に接客業の切なさをにじませていた。

患者さんは意欲的に車に見入り、熱心に説明を聞いていた。ひきこもりのために外部との接触が極端に少なくなっていたので、これだけでも今日のお出かけは大成功といえるだろう。


ちなみに患者さんは対麻痺なので上肢の操作だけで車を運転しなければならない。運転席はだいたいこんな感じだ。
アクセル
このレバーみたいなやつを手前に引けばアクセル、向こうへ押せばブレーキ。ハンドルは普通車と一見変わりないが、遊びが極端に少なく作ってあるらしい。ほんのちょっとハンドルを動かしただけでもタイヤが動くようになっている。肩や肘の可動域に問題がある人でも操作できるようにとの配慮だろう。

しかしこういうのは本当に自分の目で見てみないとわからないことばかり。ボクもとても勉強になった。


今後はまず運転免許センターで、上肢の操作だけで運転してもよいという限定免許に書き換えてもらう。道路交通法上普通運転免許でも公道を走れるそうなのだが、何か保険が下りないとか。乗るならまず絶対に限定免許を持っていたほうがよいとのお姉さんのススメであった。

限定免許に書き換えてもらったら次は、お台場のMEGA WEB TOYOTA へ行く。そこでバッチリ試乗・特訓だ。


久しぶりに、患者さん以上にワクワクしているボクがいる。