1日に2時間は電車に乗っている。週5日勤務として、月にすれば40時間だから、1年では480時間。つまり365日のうち20日は電車に乗っている計算になる。
あらためてすごいことだと思う。
不幸と受けとればそれまでだが、このあふれる時間を逆に有効活用し、チャリ通の人たちなんかにむしろうらやましいとさえ思われたい次第である。
DVDを見れたらいいなぁと以前から漠然と思っていたのだが、夏のボーナス支給を機に本腰を入れて比較・検討を行った。
まず考えたのはI-podだ。今持っているnano
では動画の再生はできないが、30GのものであればDVD5~6枚は収納できるので充分。しかし調査の結果、I-podの弱点は充電池の軟弱さにあった。FULL充電でも動画再生の場合には2時間くらいしかもたないらしい。しかもI-podの充電池は完全内臓型なのでヘタってきても簡単に交換ができない。基本的にはAppleに郵送して交換してもらわなければならないのだ。一説によるとAppleの製品はある時期がくると故障や不具合が生じるようにあらかじめプログラムされているとか。新製品に買い直しさせるために。あくまでウワサだが、ちまたではこれを「Appleタイマー」と呼ぶらしい。おそろしや。
次に考えたのはPSP。ハンディだし、I-podに比べて画面も大きい。しかしPSPはHDDではないので、メモリスティックを別途購入する必要がある。2時間の動画を保存するためには最低でも5Gはいる。1Gでも1万円くらいするメモリスティック、5Gなんかになったら一体いくらするのか?そもそも5Gなんて売ってるのか?リサーチのなかばで大幅なコストオーバーが予想されたのでPSPの線は消えた。
情報を仕入れるなかで、「Giga Beat」なるものを発見した。これはHDDに取り込んだ動画の再生のみを目的とした(機種によりワンセグにも対応)もので、容量も30G以上のラインナップだ。充電池も8時間持つとある。価格も3万円程度、ギリギリ許容範囲だ。
おぉこれだっ!と膝を打った瞬間、はたと気が付いた。I-pod・PSP・Giga Beat、いずれにしてもこれらはみなPCから動画データを転送する必要がある。一本のDVDを転送するのにもまず間違いなく時間がかかるだろう。とても朝の忙しい最中にパパッとできるほど手軽なもんではないはずだ。
この時間的コストを全く考慮に入れていなかった。しかも昨今ますます悪業の範囲を拡大している寛大の前でのんびりデータ転送などできたものではない…。
―すべて振り出しに戻った―
と頭を抱えた瞬間、再びはたと気が付いて膝を打った。
そうか、単純にポータブルDVDプレイヤーでいいじゃないか。ディスクを直接挿入するのだからPCを介する必要はないし、何より安い。ディスクを持ち運ぶ手間はあるが、しょせん2時間の旅、1枚あれば充分である。HDDに気を取られ、足元が疎かになっていた。欲しいのは流行りモノではない、生活にフィットした品だ。
巡り巡って出発点に戻ってきた感じだ。しかし徒労だったとは思わない。様々な情報を収集・分析・検討して、ボクは得した。選び、考え、他を否定した分だけ、最後に手に入れたものをより愛せるというものだ。
話はそれるけど、スピード離婚する人たちってこの辺の過程が足りないんじゃないのかなぁ?
で結局、4インチ画面のポータブルプレイヤーを買った。精密機械であることや自分があまり詳しくない製品であることを考慮し、価格コムやネットオークションを避けて普通に電機屋の店頭で買った。
かなり値切ってやった。ライバル店の名を出し「向こうではもっと安かった」とウソをついたら、「いやあの店にはないはずだ」と速攻でバレた。かなり恥ずかしかった。しかし執念が通じたか、あるいは薄給者のすさんだ精神に同情してくれたのか、結局30%OFFを勝ち取った。
―不用意なウソ、つくべからず―
そんなわけで、今は毎朝通勤電車内でDVDを見ている。先日「アンフェア
」を見た。やはりおもしろい。今後は冬ソナや大河ドラマを見るつもりだ。
はたしてチャリ通の人たちがうらやむかどうか・・・
それはまた別の話。