風見鶏 | 旅ノカケラ

旅ノカケラ

@人生は先がわからないから、面白い。
@そして、人生は旅のようなもの。
@今日もボクは迷子になる。


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「どこから来たの?」
岬に続く道は一本でこの先に道はない。
あー、めんどくさい。
今来た道を振り返って指差した。
「あっち」
「あはは、あっちって、どこ?」
「昨日はS市」
「S市に住んでいるんだ」
なんだかめんどくさいな。
「いや、その前はA県、1ヶ月前にS県から旅立った」
「ふーん、北上してきたんだ」
「北上?どこへ向かうか迷っているときに、たまたま寄った丘に風見鶏があって、北を指していたんだ。それで走ってきた」
「丘に風見鶏?変なの。そこはいいところだった?景色はいい?」
「それが霧でまったく何も見えなかった。そこが愛妻の丘だったから、北へ向かえば自分にとって大切な人に出会えると思ったんだけどな」
「どうだった?大切な人に出会った?」
「いや」
「で、私に出会ったんだ。これからどこへ向かうの?」
「風に聞いてくれ」