ある日、水平線より深く沈んでいたぼくに大波がやってきた
ふつうなら、波に巻き込まれないように逃げるか、どこか非難しようと考える
ぼくは慌てず焦らず両手を広げ波を受け止めた
流れに逆らわず波に任せて身をゆだねる
嵐を伴った流れは早く
あっという間にぼくがいた場所から遥か遠に流されてしまった
一瞬の出来事だ
自分から泳いで岸へ這い上がることも出来ただろう
ふわふわした浮遊感がここちよくて
泳ぐことを辞めてしまった
このまま流されてしまえばいい
波に巻き込まれながら流されていけば
きっと大きな海へとたどり着けたはずだった
ところが、嵐が去り
気がつけばゴロゴロした石の上に身を横たえている
しばらく仰向けになって天を見上げていよう
やがて雨が降って頬を濡らすだろう